Appleは2022年8月22日、アメリカでのセルフ修理プログラムの枠を広げて、M1 MacBook AirとMacBook Proもその対象に加えると発表しました。これに合わせて、Macのパーツと修理ガイドも、初めてカタログに追加されました。

M1 MacBook AirMacBook ProM1 ProM1 Max MacBook Proユーザーの方は、Appleのお墨つきで、自分のデバイスを自分で修理できるようになったのです。

ところが、事態は、早くも混乱の様相を呈しています(しかも悪いことに、むしろ高くつくことも判明しています)。

Appleのセルフ修理プログラムについて

予想どおりの展開ですが、Appleのセルフ修理プログラムは、ややこしくてお金がかかる、おしなべて不親切なものになりました。

Appleは2022年4月、このプログラムをローンチして、iPhoneの一部モデルのパーツとマニュアルの提供を開始しました。そして、今後はサポートの枠をほかの製品にも広げると約束しました(冒頭で紹介した8月22日の発表がこれです)。

はっきり言って、このプログラムは何もかもが変です。まるでAppleらしくないサイトもそうですし、一貫性のない価格設定や、有料でレンタルできる修理キットもそうです。

この点は忘れないでほしいのですが、Appleにしてみれば、デバイスが壊れたらApple Storeに持って来てもらいたい、と思っているはずです。ですから、このプログラムをとりたてて快いものにするつもりはないのでしょう。

しかしそれでも、このプログラムを提供しているのは、ほかならぬAppleです。つまり、ついに私たちユーザーは、公式の修理ガイドと純正パーツを手に入れる手段を得たのです。そして今回、そこにMacBookのパーツと修理ガイドが加わりました。これは大きなことです。

以前から知られているように、Appleのデバイスは、Apple製以外のパーツを使って修理すると文鎮化します(これは、消費者を大事にしない、攻撃的なやり方ですが)。

また、修理ガイドもサードパーティーの技術者の手の届かないところにあるため、これが修理をいっそう難しくしています。

修理ガイドは、Appleの各デバイスをよく知るための手段になるというだけでなく、セルフ修理プログラムにも欠かせません。Appleは、修理に必要なすべてのパーツと工具、それぞれの価格をリスト化しています。

MacBookパーツの価格

ところが、この価格表も一筋縄では行きません。手に入る全パーツのシンプルな価格表を見せてくれるのではなく、デバイスのシリアル番号を入力したあと、メニューツリーを進んで、ようやく該当パーツとその価格にたどり着く仕組みになっています。

全体的な価格を調べたいだけなら、これには本当にイライラさせられます。

みなさんは、こんな面倒なことをわざわざする必要はありません。The VergeのSean Hollister氏が、この厄介な仕事を引き受けて、MacBookのパーツと価格の完全版リストをまとめてくれています。

控えめに言っても、これはわかりやすいです。記事の中には、Appleが下したその他の奇妙な決定についても触れられています。

たとえば、パーツの多くは実際の価格では売られていません。代わりにAppleは、使えなくなった古いパーツを返送したら、代金の一部を払い戻すことを約束しているのですが、場合によっては、話にならないほど、とんでもない額を上乗せした金額を請求してきます。

M1 Maxボードの例

その最たる例が、64GBメモリ/8TBストレージの16インチMacBook Pro用のM1 Maxボードです。価格は、前払い金が衝撃の4222.24ドル(約58万円)で、払い戻し金が3634.40ドル(50万円)です。

つまり、このボードの実際の価格は587.84ドル(8万円)なのです。高価なマシンの高価なボードではありますが、最初に請求される4222.24ドルよりはずっと安いです。大型パーツに関しては、ほとんどがこんな調子です。

M1 MacBook Air用ボードの例

8GBメモリ/256GBストレージのM1 MacBook Air用ボードの場合、前払い金が526.24ドル(7万2000円)で、払い戻し金が158.40ドル(2万2000円)。最終的な値段は367.84ドル(5万円)です。

トラックパッドの前払い金は95.92ドル(1万3000円)、払い戻し金は17.60ドル(2400円)なので、実際の価格は78.32ドル(1万600円)です。

MacBook Air用バッテリーの例

MacBook Air用バッテリーの前払い金は119.25ドル(1万6000円)、払い戻し金は22.50ドル(3000円)なので、実際の価格は96.75ドル(1万3000円)です。

ちなみに、ここで私がMacBook Airを特別に取り上げたのにはわけがあります。今のところ、それ用のバッテリーが買えるMacBookは、MacBook Airだけだからです。

MacBook Proの例

MacBook Proの場合、バッテリーだけを購入することはできません。トップケースを丸ごと買うことを余儀なくされます。バッテリーつきトップケースの価格は、前払い金が527.12~615.12ドル(7万3000~8万5000円)で、払い戻し金が88ドル(1万2000円)です。

一方、簡単なパーツは価格設定も簡単で、以下のようになっています。

  • アンテナモジュール:一律で15ドル(2100円)
  • オーディオボード:12ドル(1700円)
  • バッテリーカバー:M1 MacBook Proは5ドル(700円)/ほかはすべて4.50ドル(600円)

まだ終わりではありません。次は工具です。

修理工具はAppleから買わないほうがいいかも

修理ガイドには、その修理にはどのパーツが必要なのかがきちんと説明されています。ですが、その内容によって、修理全体にかかる費用は大きく変わってきます。

MacBook Proのボトムケースを取り外さなければならない場合、300ドル(4万1000円)のボトムケース・リムーバルキットを買うことになります。

MacBook Airに関しては、ディスプレイの交換に必要なディスプレイ・プレスが200ドル(2万8000円)、バッテリーの交換に必要なバッテリーサポートとプレスプレートが99.50ドル(1万4000円)です。

すべての工具がこんなに高いわけではありません。パーツと同じように、工具によって値段もバラバラで、10ドル(1400円)以下のものもたくさんあります(たとえば、Touch IDアラインメントキットは、たったの0.50ドル[70円]です)。

修理ガイドで必要な工具を確認したら、かかる費用は総額いくらになるのかを計算して、その工具を今後も使う日が来そうかどうかをよく考えましょう

必要な工具を買うのに、とんでもなくお金がかかる。買っても、あまり使うことはないと思う。もしそうなら、49ドル(6700円)で修理キットをAppleからレンタルしたほうがいいかもしれません。

修理に必要な工具をすべて貸してもらえるので、こちらを選べば、工具の調達にお金がかかりすぎることはありません。

たしかに、MacBookを毎週1台修理するつもりなら、この49ドルがどんどん加算されていきます。ですが、1度だけの修理、とくにそれが大きな修理なら、おそらくレンタルを選んだほうがいいでしょう。

ただし、レンタルした修理キットを7日以内に返送しないと追加料金を請求されるので、くれぐれもご注意ください。

セルフ修理にかかる金額の実例

では、ここまでの話をまとめた実例をご紹介しましょう。

私の手元には、バッテリーの交換が必要なM1 MacBook Airが1台あります。個人情報を入力したあとに表示された画面によると、新しいバッテリーは96.75ドル1万3000円)で買えるようです。ただし、これは古いバッテリーを返送する場合の金額であり、返送しない場合は119.25ドル1万6000円)です。

バッテリーのほかには、9ドル1200円のバッテリーテープも必要になります。

必要な工具

工具に関しては、バッテリーサポートフレームとプレスプレート、ESDセーフピンセット、エタノールワイプまたはイソプロピルアルコール(IPA)ワイプ、iPhoneディスプレイプレス、ナイロンプローブ(ブラックスティック)、トルクスドライバー(T3)が必要になります。

どれも私は持っていません。ディスプレイプレスだけで216ドル3万円)もするので、これらの工具を買うのはやめて、49ドルですべてレンタルすることにします。

費用の合計は…?

というわけで、古いバッテリーと修理キットを期限内に返送するという条件つきで、このセルフ修理にかかる費用の合計は154.75ドル2万1000円)です。たしかに高いです。でもきっと、Apple Storeに持って行って修理してもらうよりは安いですよね?

念のために確認してみましょう。Appleの見積もりによると、その場合の金額は…129ドル(1万8000円)?

残念ながら、この例からも明らかなように、ほとんどの修理、ほとんどのユーザーにとって、Appleのセルフ修理プログラムにそれだけの価値はありません

昔ながらの修理センターにユーザーを連れ戻そうとして、パーツと工具のオーダーを無駄にややこしく、無駄に高くつくようにしているとしか思えません。

多くの場合は、古いパーツを送り返して払い戻しを受ける前に、高い金額をクレジットカードで支払わなければなりません。もちろん、修理キットを返しそびれたり、工具を壊したり失くしたりしたら、とんでもない金額を請求されるおそれもあります。

修理をする時はまず比べよう

修理にかかる費用を、はかりにかけて比べる必要があるでしょう。ひょっとすると、Apple Storeの修理見積もりのほうが、セルフ修理にかかる費用よりも高いかもしれません。もしそうなら、自分で修理したほうが経済的です。

また、ほかの誰かに自分のものを修理してもらうなんてもううんざりという人も、自分で修理したほうがいいでしょう。

いずれにせよ、幸運を祈っています。修理キットをレンタルしたら、くれぐれも期限内に返すのをお忘れなく

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Source: GIZMODO, THE VERGE, Self Service Repair Store, Apple