秋が訪れると、不安や憂鬱に襲われる。そんな人たちのことが、私には痛いほどわかります。

私が育った米東海岸の観光地では、夏が終わると、海辺の遊歩道に面した店々が閉まり、ほとんどの人が車で町を去っていきます。

私たち地元の人間は、そうした「シュービー(shoobie)」たちの悪口ばかり言っていました。

シュービーとは、ペンシルベニア州フィラデルフィアやニュージャージー州北部から、夏になるとやってくる旅行客のこと。サーフィンもスケートもできない、つまらない彼らのことを、地元ではそう呼ぶのです。

でも、レイバーデー(9月の第1月曜日)を過ぎて、町の住宅の2/3が空っぽになり、信号機が消されてしまうと(車がほとんど走らなくなるので、信号機なんて要らないのです)、そうした迷惑な旅行客たちを私は懐かしく思っていました。

秋は新学期がはじまり、観覧車が回るのをやめる季節。海は冷たすぎてもう泳げず、ライフガードも姿を消します。楽しい時間が終わって、何もかもが静まり返る季節です

かくいう私も、今ではシュービーの仲間入りをして、ロサンゼルスで暮らしています。

ロサンゼルスはもともと季節の変化がなく、生き生きしたところのない場所ですが、それでも秋は過ごしづらい時期です。

個人的に何かあるというわけではありません。ただ、何であれ、物事は終わりを迎えるという感覚に不安をかき立てられるのです。わかってもらえるでしょうか。

The New York Timesが指摘する通り、2022年の夏の終わりは、とりわけやり過ごすのが大変でしょう。なにしろ、多くの人にとっては、ほぼ普段通りに過ごした数年ぶりの夏だったのですから。

さらに、このところの混乱した世の中を思うと、今年は、ほぼ普段通りに楽しめる最後の夏になるかもしれません(気の滅入るような発言で申し訳ないですが、そういうことを言いたくなる季節なのです)。

皆さんも、そんな“秋の憂鬱”に悩まされているのなら、落ち込んでいるのは自分1人ではないこと、そして、憂鬱もいつかは過ぎ去っていくことがわかれば、多少は慰めになるはず。

では、夏の終わりとともに訪れる憂鬱を、できるだけ楽にやり過ごす方法をいくつかご紹介しましょう。

事実を受け入れ、自分に優しくする

生きる力、いわば「フォース」に少し乱れが生じているなら、最良の方法の1つは、今起こっていることを受け入れ、自分の気持ちを大事にすることです。

そう、もっと辛い思いをしている人はいることでしょう。でも、今の状況は自分にとっては重大なものです。

こんな時、大事なルールがあります。「友人に接するように、自分に接する」こと。

大切な人から、「この季節になるといつも気分が落ち込むんだ」と言われた際に、「ばかばかしい」などと返す人は恐らくいないはず(いないと思いたいです)。でも、自分に対しては、たいていの場合、そんな風に言っているも同然なのです。

代わりに、自分が抱いている感情を認め、自分にもう少し優しく接しましょう

「セルフ・コンパッション(自分への思いやり)」を実践している人は、そうでない人に比べて全般的な幸福感が高い傾向にありますよ。

憂鬱から学びを得る(あるいは気にしない)

心理学の世界で一般的な対処法は(少なくともThe New York Timesで専門家が語っているところでは)、自分の抱いている感情から学びを得ること季節の変わり目の不安感がいったい何を知らせているのかを自問自答することです。

ニューヨーク市立大学ハンター校の心理学者で、感情制御を専門とする研究室を率いるTracy Dennis-Tiwary氏はThe New York Timesの記事で次のように述べています。

それは、自分が生きていくうえで何に価値を置き、何を求めているのかに関して重要なことです。

たとえば、夏の終わりに悲しみや不安を覚えるのは、あなたが親で、まもなく新学期だというのに、子どものグループ送迎の手配や時間割の確認が済んでおらず、具体的な予定が掴めていないからかもしれません。ちょうどいいタイミングですから、新学期に向けて段取りを整えましょう。

あるいは、夏季休暇が終わることに動揺しているのは、「職場に戻るのが怖くない仕事」を探す時期に来ているからかもしれません。

自分の感情が指し示すものが、現実で解決可能な問題なのであれば、安心です。また、そうでないとしても、心配することはありません。

私は長いこと、自分が落ち込んだ気分になるのは、人生における特定の出来事に原因があるからだと考えてきました。でも、次第に、心がざわつくのは、ストレスや人間関係、仕事のせいではないことがわかってきました

基本的には、原因など何もなかったのです。あるいは、知りようのない何かだったのでしょう。もしかしたら、脳内に存在する化学物質のいたずらか、神様の気まぐれのせいだったかもしれません。

人それぞれでしょうが、私の場合、自分はなぜ落ち込んでいるのか、どうにかできないかとあれこれ思い悩んだところで、何の成果も得られませんでした。答えなど、どこにもなかったのです。

代わりに、こう考えるようにしました。「9月頃には、私はいつもこんな風に落ち込むのだ」と。あとはそれきり放っておくのです(薬も役に立ちます)。

楽しいイベントを心待ちにする

私は、昔からハロウィンが大好きです。それは単に、自分が最も不安を感じる時期に、おもしろおかしい偽物のホラーを目にすると、心が安らぐからかもしれません。

そうしたイベントが、クリスマスやサンクスギビング、アメフトのシーズン開幕だという人もいるでしょう。ハロウィンというより、その時期に出回るかぼちゃのスイーツが楽しみな人もいるかもしれません。

楽しみにできることなら、何でも構わないのです。楽しみが待っていれば、目の前の不安ばかり見ずに、視野を広げることができます

古代イスラエルのソロモン王が説いたように、「これもまた過ぎ去る」というわけです。

定番の解決策を試す

あなたの不安や悲しみが、夏の終わりと関係があるかどうかにかかわらず、心の持ちようを正しい方向へ戻せる建設的な方法があります。

すでにご存知かもしれませんが、改めてご紹介しましょう。

解決策の一例

  • 定期的に運動する
  • 健康的な食生活を送る
  • 屋外で過ごす(秋はハイキングやサイクリングに最適です)
  • 気が滅入るニュースばかり追いかけない
  • 友だちや家族と時間を過ごす
  • 気分の落ち込みが、もっと深刻な問題だと思った場合は、専門家に相談する

Source: The New York Times, ScienceDirect