「あの人、ツイているな…」と思う人はいませんか?
その人は、なぜか仕事でチャンスをもらうこともあれば、時にはエコひいきされているのでは、と思うくらいラッキーな人かもしれません。
そんな「なぜかいつも選ばれる人」は、どの職場にもいるものです。
20代の頃、私は「結果を出していれば、チャンスは掴めるもの」と思っていましたが、それは最低条件にすぎません。
実は、「常に選ばれる人」には、共通する習慣があったのです。私がそれに気付いたのは30代になってから。もっと早く知りたかったと悔やんだものです。
今回は、ビジネスパーソンが絶対に知っておきたい「選ばれる人」がやっている習慣を紹介しましょう。きっと、日頃の過ごし方、特に人との接し方に変化が出るはずです。
仕事のファンを増やすには、「ちゃんとする」を見直すこと

「ちゃんとしないといけない」と、常に私たちは教わってきました。「人に迷惑をかけるな」と教わった人もいるでしょう。
でも、仕事においては、その言葉を鵜呑みにはしないほうがいいのです。
「叱られないようにしないと…」「迷惑をかけないように…」といった考え方では、あなたの「ファン」を増やすことはできません。
まず、ビジネスにおける「ちゃんとする」とは、「期待される結果を出す」「迷惑をかけない」と同義ではありません。だからこそ、「ちゃんとする」の基準をチューニングすることが必須です。
先に結論を言ってしまうと、「『選ばれる人』になれるかどうか」は、期待に「応える」レベルではなく、期待を「超える」ことを習慣としているかどうか。これが答えです。
「感動レベル」で期待を超えて唯一無二の存在に

これだけでは曖昧ですよね?
まず覚えておきたいのは、「ちゃんとする」という言葉には4つのレベルがあること。以下の図をご覧ください。
「ちゃんとする」の4つのレベル

人によって、「ちゃんとする」のレベルは異なります。以下の2つまでが「期待に応えようとする」レベル。
レベル1:「約束を守る」
レベル2:「期待通りにする」
言われたことをキチンとしたところで「すごいね」とは言われないし、印象にすら残りません。
店員さんが「いらっしゃいませ」と言い、営業なら「アフターフォロー」をするようなもの。「いちいち言わないものの、やってもらって当然」のレベルです。
レベル3以上がようやく「期待を超えようとする」レベル。「もしもやってくれたら嬉しいけど、そこまでは要求できない」といったレベルです。それが、次の2つ。
レベル3:「願望に応える」
レベル4:「感動を呼ぶ」
私が知る中でも、上記のレベルで仕事をしており、かつ第一線で活躍する人やお店の事例を紹介しましょう。やっていることは本当にちょっとした気遣い。誰もがすぐにできることばかりです。
事例1
私のYouTubeチャンネルは、動画制作をあるクリエイターに依頼しています。
彼は、こちらから言わずとも著作権の確認をしてくれたり、私が話す内容が専門的な場合、自ら調べて図に起こし、動画内でわかりやすく説明してくれたりと驚きの連続です。
競争が激しい中でもひっぱりだこのようで、確かにさまざまなクリエイターを見てきましたが、同じ動画制作の仕事でも満足度が違います。
「知人に紹介したい」。そう思う方の1人です。
事例2
いつも通っている整骨院の鍼灸師は、私が抱える腰痛の悩みを相談をした際、依頼がなくとも私用にアレンジした腰痛ストレッチの方法を資料としてまとめてプレゼントしてくれたことがありました。
この件は忘れないでしょうし、嬉しい出来事はこうして人に語るもの。ほかの方は、そこまではしてくれませんから。だからこそ、競争の激しい業界ながら指名が多く入るわけです。
事例3
あるコンビニの話です。
その店舗では「●●さん、いらっしゃいませ」と、店員全員が「顧客の名前をつけた挨拶」を実践しています。そんなコンビニはほかにはないでしょう。
1万店舗近くある店の中で、お歳暮やお中元、母の日のカーネーションの売上が10年連続で日本一、サービスレベルも全国1位の店舗だそうです。
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「選ばれる人」の習慣は、「こうすると喜ばれるかな?」「こんなことに困っているのでは?」と想像し、それを実際の行動に起こし続けること。
仕事を「ルーティンだから面白くない」と思っているうちは、「選ばれる人」にはなれないでしょう。どんな仕事もルーティンです。一見すると、華々しく見える仕事であっても、ルーティンの連続。
だからこそ、「期待を超える」という発想を持つことが「選ばれる人」となり、その結果として「仕事を面白くすることができる」人になるのです。
今回は、「なぜか選ばれる人」が持っている、幸運を呼ぶ習慣について解説しました。スキルは不要。意識するだけですから、誰もができることです。「知っているか知らないかの差」と言っても過言ではありません。
今回の内容が、あなたの仕事のヒントの一助になれば幸いです。
伊庭 正康 株式会社らしさラボ 代表取締役

リクルートグループ入社。残業レスで営業とマネジャーの両部門で累計40回以上の表彰を受賞。その後、部長、社内ベンチャーの代表を歴任。2011年、株式会社らしさラボ設立。リーダー、営業力、時間管理等、年間200回以上の研修に登壇。リピート率は9割以上。現在は、オンラインを活用した研修も好評。近著に15万部を超える『できるリーダーは、「これ」しかやらない メンバーが自ら動き出す「任せ方」のコツ(PHP研究所)』『できる営業は、「これ」しかやらない(PHP研究所)』のほか、新刊の『結局、「しつこい人」がすべてを手に入れる(アスコム)』をはじめ、他多数の書籍がある。
※無料メーリングニュース(全8回)
※YouTube「研修トレーナー伊庭正康のスキルアップチャンネル」、音声メディアVoicy「1日5分 スキルアップラジオ」もスタート。
※伊庭の研修をオンラインで学べるUdemyの講座も好評(Udemyベストセラー入り!)
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