ロバート・K・グリーンリーフは、その名高いエッセイ『リーダーとしてのサーバント』の中で、次のような有名な言葉を残しました。
サーバントリーダーは、第一にサーバント(奉仕者)である。はじめに、奉仕したいという気持ちが自然に湧き起こる。次いで、意識的に行なう選択によって、導きたいと強く望むようになる。
経営コンサルタントとして、また研究者として、グリーンリーフは、繁栄する組織には支援を行なうコーチとして行動し、従業員と組織の両方のニーズに応えるリーダーがいることに気づきました。
グリーンリーフは以下のように述べています。
組織がその人のために存在するのと同じように、人も組織のために存在する。
そのため、自身の考えを推し進めてビジネスと職場を変革することがグリーンリーフの使命となったのです。
グリーンリーフは自身のエッセイの中で、「サーバントリーダーシップは仕事に対する全体的なアプローチを重要視し、共同体意識や意思決定における権力の共有を奨励するものだ」と強調しました。20世紀半ばには聞いたこともないような考え方です。
現在では、グリーンリーフの知見により、世界中で数多くの企業がサーバントリーダーシップを採用・実践しています。こうした企業は、高い信頼を得ていること、従業員のエンゲージメントが高いこと、そして離職率が低いことで知られています。
先の引用について考える
グリーンリーフは、サーバントリーダーシップは「気持ちが自然に湧き起こる」と述べていることに注目しましょう。本質的に、自然に湧き起こる気持ちとは本来備わっているものであり、人の価値観や信念の奥底にあるものです。
リーダーが「第一に奉仕する」ことを選ぶと、「意識的に行なう選択」がはじまり、他者に奉仕することが意図的かつ実行可能なものになります。こうして「導きたいと強く望む」ようになるのです。
サーバントリーダーシップを思い切って実践しようとしないマネージャーが非常に多い理由は主に、リーダーシップに対するこの徹底的なアプローチです。
サーバントリーダーシップは無私のリーダーシップであり、求められる高い期待に応えられる素質をすべての人が持っているわけではありません。
考えてみてください。「サーバントリーダーは、第一にサーバント(奉仕者)」なのです。
第一に奉仕するということは、相手のためになるということです。そのためには、最高のリーダーであれば、自分自身から意識を「遠ざけ」て従業員にスポットライトを当てることが求められます。
まず従業員を成長させ、力を与えることです。グリーンリーフは、何十年にもわたってサーバントリーダーの実践と行動を研究し、サーバントリーダーは従業員から最高の力を引き出すということに気づきました。
つまり、従業員のモチベーションや創造性、生産性を高め、それが業績の向上につながっていたのです。
サーバントリーダーシップという矛盾
「サーバントリーダーシップ」という言葉の矛盾には、非常に強い緊張感があります。「サーバント」と「リーダー」という言葉は、通常は相反するものだと考えられています。
また、「サーバントリーダーシップ」という言葉は、リーダーシップの指揮統制の構造においては直感に反して非常にわかりにくいものです。
実際、サーバントリーダーは権威を持って導く存在ですが、従業員を徹底的にサポートすることによってリーダーシップを発揮します。サーバントリーダーは卓越さを求め、成功と優れた業績に対する責任を従業員に負わせます。
サーバントリーダーシップとは、最も一般的なビジネス上の意味においては、優れたパフォーマンスを実現するための条件を(第一に奉仕することによって)整えることに全力を尽くすということです。
つまるところ、これこそがサーバントリーダーシップなのです。その「本当に難しいところ」は、自身を脇に置き、他者に焦点を当てて目覚ましい成果を達成できるように手助けすることです。
Source: ROBERT K. GREENLEAF CENTER FOR SERVANT LEADERSHIP
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