かなり以前になりますが2014 年、私は起業家の間で広がりつつある、ある運動についての記事を書きました。

世界42の都市で開催された『F‐アップ・ナイト』。起業への厳しい道のりのなかで、やらかしてしまったとんでもない失敗や挫折を起業家が各自披露するという集会です。

以来、この催しは185の都市に広がりました

自分の過去の失敗を大っぴらに公表するなんて気まずいはずなのに、こんなイベントが大盛況になるのは、なぜだったのでしょう。

コミュニティと繋がりたい、というのも理由の1つでしょう。自分ばかりがと思い込んだ時点で、失敗というのはより耐え難く感じるものです。

ただ、学びもまた然りで、自身が試行錯誤してつまずき、二度とこんな間違いはしないと誓うよりも、楽に学びを得られる方法もあるのです。

失敗から学ぶことの重要性をF‐アップ・ナイトの盛況ぶりが示唆していると言えましょう。

ところが、ほとんどの人は避けられない失敗をすることのメリットを見逃していると、科学で示されています。

シカゴ大学ブース・ビジネススクールのローレン・エスクライス・ウィンクラーとアイエレット・フィシュバック両氏の研究によると「大抵の人は、よくないこととわかっていても失敗を直視することなく、見て見ぬふりをすることが多い」そうです。

ただし、両氏の研究では、自尊心や感情が、失敗から学ぶ機会の妨げにならないようにする方法についても解説しています。

カリフォルニア大学バークレー校グレーターグッド・サイエンスセンターでは、近年この研究に着目。

人々が失敗から学ぶことを妨げるいちばんの要因は何か、また、それらのありがちな精神的なハードルを乗り越えるにはどうすべきかを明らかにしました。

1. 自分のせいだと考えてしまう

学びの最大の敵は自尊心です

過ちを認めるのは、有能で聡明だと思っていた自分の土台を揺るがしてしまいますが、同時に、誤った考えを正し、新しい知識を求め、視野を広げるチャンスでもあります。

では、自尊心が自己研鑽の妨げにならないようにするには、どうすればいいのでしょう。

学びの対象である失敗と自分の間に距離感を保つのが1つのやり方です。

自身の経験を、まるで中立的な立場の第三者が外から見つめているように捉えるのです。

『どうして自分は失敗したんだろう』ではなく、『どうしてジェレミーは失敗したんだろう』 というふうに。

ちょっと作為的な感じもしますが、これがうまくいくのです。

このようにグレーターグッドは述べています。やや奇妙ですが有効なこの手法を裏付ける科学については、こちらこちらを参照してください。

2. 失敗を隠してしまう

人は誰しも恥の意識から自分の失敗を隠したがる傾向があります。

そうグレーターグッドは指摘します。しかし、それを心に響くストーリーに仕立てて他者に語ることが、自分にとって最高の学びになるのです。

自己啓発セミナーの話し手が、過去の失敗話を巧みに観客のモチベーションアップにつなげるように、話の組み立て方によって、過去の誤算を有益な人生の教訓に昇華させることができる、と研究は示唆しています。

自分の挫折を中学生の後輩に話した高校生は、そうでない高校生に比べ、よりよい成績を残した

小学生に助言をした中学生は、より長い時間を宿題に費やした。

このようにグレーターグッドの研究は報告しています。

成績が振るわずに苦労した生徒でなくても、この洞察を生かすことはできます。

F‐アップ・ナイトのような催しでは、やり方がちゃんと定められていますが、そうでなくても、あなたが苦労して得た学びを起業家の友人にちょっと話す(オンラインででも)だけでも、あなたがもっとも苦労した経験から学びのエッセンスを引き出して、確かなものにすることができるのです。

3. 感情を押し殺してしまう

失敗したとき、気分はいいかと言うと、そんなことはないでしょう。

しかし、いいものではないにしても、必要悪ではあります。

人は痛みを感じることで、二度と同じ過ちを繰り返さないと学習します

ところが、痛みを抑え込むと、学びをも封じ込んでしまいます

長期にわたって失敗の積み重ねを通じて英知を磨くには、失敗を身にしみて感じることが肝要です。

なので、感情から逃げたり、気晴らしで気を紛らわせたりしてはいけません。

悲しみには、記憶や判断力を向上させる作用があるようで、これは将来的に失敗する確率を減らします

後悔は、やる気を起こさせます。

このようにグレーターグッドは指摘しています。

4. 「なぜ」を考えない

過ちを犯すと、誰しも、自分を責めたり、どこで間違ったかと悩んだりしがちです。

反省したり、残念に思ったりすることは、失敗を消化する過程のひとつですが、失敗の一部始終に囚われすぎるのも、立ち直って教訓を次に生かすためにはなりません。

では、どうするのがいいのでしょう。

失敗するかもしれない立場に、そもそもなぜ自分を置くのかということを注視してみましょう。

「医師になる」「セーリングの資格を習得する」など、明確な長期的目標を念頭に置いておくと、短期的な挫折に心が折れたりせず、情報忌避を避けられます

そうグレーターグッドは述べています。

サイモン・シネックが教えてくれるように、人生で何度も不運に遭遇した時、気持ちを強く持って耐え抜くには、「なぜ」を理解することが肝要だからです。

5. 自分を責め続ける

繰り返しますが、挫折は気分のいいものではありません。

しかし、上で述べた通り、自分の過ちをいつまでも悔いるだけでは士気も下がり、挫折から得られたはずの貴重な学びをも逃してしまいます

どこで間違ったか振り返ることは大事ですが、自分の欠点について、いつまでも考え込んでしまうのは止めましょう

そうではなく、自分への思いやりを持つのがよいと研究で明らかになっています。グレーターグッドも次のように述べています。

挫折に遭遇した時、愛する人があなたにするように、自分自身に思いやりを持って語りかけるほうが、のちの成長につながる近年の研究で示唆されています。

さらに、失敗を自身の弱さの表れと捉えるよりも、過ちは人間にとって普遍的なものであることを思い起こしてください。

「失敗するか、しないか」ではなく「いつ失敗するか」なのです

その時、何を学び取れるのか、それだけを考えておきましょう。

そのように記事は続けています。

F‐アップ・ナイトは、個別の恥ずかしい失敗事例をコミュニティの学びの機会に変換させるよう考えられていますが、挫折を生かすのに、必ずしも同じように考える(そして同じくらい頼りにならない)同志を募る必要はありません。

研究をベースとしたマインドセット変革の意識を持ち、これまでに述べたテクニックを駆使すればできるはずです。

失敗は、無駄にするにはあまりにも貴重ですから

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Originally published by Inc. [原文

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Source: F***Up Nights, Harvard Business Review, Greater Good Science Center(1, 2, 3), Chicago Booth,