夏はキンキンに凍らせたグラスやジョッキでビールを飲みたくなりますよね。
でも、空調がしっかり利いているバーで、太陽がビールに当たる危険性がないなら、凍ったグラスでビールを飲むと、むしろ損をします。その理由をご紹介しましょう。
冷えすぎるとビールの風味が損なわれる
最大の理由は、ビールが冷えすぎて風味が損なわれるからです。
Bluejacket BreweryのGreg Engertさんもこれに同意していて、ビールは冷やしすぎると、(クラフトビールの)繊細な香りが飛んでしまうことから、凍らせたジョッキは風味豊かなビールの敵であるとVine Pairに語っています。
安物のビールを大した期待もせずに飲むなら、凍らせたガラスを使っても構わないかもしれません。
そういう「大雑把なビール」は、冷たくてさわやかであることに価値を置いていることが多いからです。
ほとんどのビールは40℉~50℉(4.4℃~10℃)ぐらいで飲むのが理想的で、それより冷やすと、風味が変わり始めます。
え、信じられない?だったら、凍らせたグラスと室温のグラスでビールを飲み比べてみてください。
氷のように冷たいビールより、少しだけ冷えたビールの方がずっと味わいがあるはずです。
美味しいビールを味わいたくて5ドルぐらいの高めのビールを買っているとしたら、冷やし過ぎたグラスに注いでせっかくの繊細な風味を殺してしまうのは、あまりにももったいないです。
ビールに変な匂いが付くかもしれない
冷凍庫に入れる直前にグラスを洗うはずなので、グラスの側面についている「霜」はグラスを洗うときに使った洗剤である可能性があります。
そんなものは飲みたくはないでしょう。
それに、そのグラスにはビールに付いて欲しくない変な匂いがついてしまう可能性もあります。
バーの冷凍庫の中をよく見てみましょう。
冷凍庫の棚に置いてあるサンドイッチを食べたいですか?そんなものは食べたくないですよね。
そのサンドイッチの匂いも凍ってグラスに付着しているのです。
冷凍庫に保存しているバーテンダーのランチの匂いや、夜間に冷凍庫を拭き掃除するとき使用するクリーナーの匂いもグラスに付着してしまいます。
これは、自宅の冷凍庫でも同じです。
冷凍庫に長く入れて過ぎている食べ物の匂いを思い浮かべてみてください。
わざわざそういう匂いをビールにつけたくないでしょう。
泡が立ち過ぎる
最後になりますが、凍らせたビールジョッキにビールを注ぐと、必要以上に泡が立ってしまうかもしれません。
炭酸の泡がグラス側面の霜に付着するので、室温のジョッキに注いだときよりはるかに泡立つのです。
泡が多すぎるビールを飲みたい人はいません。凍らせたジョッキにビールを注ぐと、かなりの確率で失敗します。
重ねて言いますが、凍らせたグラスで飲みたい人にやめろと言うつもりはありません。
でも、凍らせたグラスと室温のグラスの両方でビールを飲み比べてみてください。
室温のグラスで飲んだほうがずっと美味しいことに驚くはずです。
ーー2019年6月26日公開記事を再編集して再掲しています。