英ロンドンに拠点を置くスタートアップ「Nothing」が、大々的な宣伝を繰り広げた末にようやく、スマートフォン「Phone (1)」を発表しました。
同社はすでにワイヤレスイヤフォンを発売していますが、スマートフォンは初めてです。
Nothingが目指しているのは、標準的なスマートフォンではなく、ユーザーが望む機能だけを搭載したスマートフォンの開発です(つまり、ユーザーが望まない機能は「ナッシング」というわけです)。
Nothingが7月12日(現地時間)に行ったオンラインプレゼンテーションは確かに、型破りなものでした。
出だしで音声障害が少し発生したのちに、Nothingの創業者カール・ペイ氏が登場しました(彼は、日本未上陸の中国モバイルブランド「OnePlus」の共同創業者でもあります)。
最大の特徴は背面デザイン「Glyph」

Phone (1)は、独特な見た目をしています。言うまでもなく、特に目を引くのが背面です。内部コンポーネントを縁取るようにLEDライトが配置されている、「Glyph」という名前の背面ライトです。これらのライトは、さまざまな場面で起動するようになっています。
Nothing OSでは、着信音一つひとつに異なる光のパターンが割り当てられています。
ワイヤレス充電パッドを囲むライトの輪は、ワイヤレス充電やリバースチャージ中に光り、「プログレス」バーは有線による充電中に光るといった具合です。Glyphはまた、動画の撮影中にも光るようになっていて、バックライトのような役割を果たします。
カメラは2つ
Nothingは、Phone (1)のカメラを誇示していますが、実際に競合スマートフォンと張り合えるレベルなのかどうかは、実機レビューを読むまではわかりません。
Phone (1)の背面カメラは2つあります(メインの広角と超広角)。
いまどきのたいがいのフラッグシップ機より、数は1つか2つ少なくなっています。カメラはどちらも5000万画素(50MP)。
超広角カメラは、サムスン製センサー「JN1」を採用し、画角は114度です。メインカメラはソニー製センサー「IMX766」を採用し、「エキストリーム・ナイトモード」に対応しています。
また、動画撮影は4Kの30fps対応で、1080p/30fpsのナイトモードも利用可能です。驚くのは、1080pの動画撮影ができる1600万画素(16MP)のフロントカメラです。近ごろのフラッグシップのセルフィーカメラは4K動画が主流なので、意外です。
目玉は、ディスプレイのベゼル
Phone (1)とほかのスマートフォンのちょっとした見た目の違いは、ベゼルにも見られます。近ごろは、端から端までほぼ縁のないディスプレイが当たり前ですが、Nothingはベゼルの厚さを四方で均一にしたいと考えました。
Nothingは、「折り曲げられる」OLEDディスプレイをここに採用しています。従来のディスプレイよりもコストが倍になりますが、おかげで均質な見た目が実現していると同社は胸を張っています。
Phone (1)のディスプレイは、6.55インチのOLEDで、10-bitのカラー表示とHDR10+に対応しています。解像度は2400×1080ピクセル、画面密度は402ppi、輝度は500ニトで、ピーク輝度は1200ニトです。
リフレッシュレートは最大120Hzで、スマートフォンにできて当然と思われるようになった、流れるようなスクロールが可能ですが、アダプティブ・リフレッシュレートなので、60Hzまで下げればバッテリーの消耗を抑えられます。
Phone (1)は、メモリと容量に応じて3タイプあり、メモリ8GB/容量128GB、メモリ8GB/容量256GB、メモリ12GB/容量256GBから選べます。
性能は未知数
今後、興味をそそられる点のひとつがパフォーマンスです。Phone (1)ではあえて、最新のプロセッサーが採用されていません。代わりにSnapdragon 778G+を搭載し、性能とバッテリー寿命のバランスを取っているというのが、Nothingの主張です。
バッテリーの話が出たついでにお話しすると、Phone (1)に搭載されたバッテリーの容量は4500mAhで、フル充電にかかる時間は、33Wの有線充電なら70分、15Wのワイヤレス充電なら120分となっています。バッテリーの持続時間は公表されていません。
ちょっとしたことですが、Phone (1)の防水防塵性能はIP53と、かなり残念な値です。こちらの記事によると、水没はもちろん、液体をこぼした場合でも耐水性はありません。
また、Phone (1)のソフトウェアサポートは3年、セキュリティサポートは4年です。
アメリカでは発売予定なし
私を含むアメリカ在住者にとっては残念なことですが、Phone (1)はアメリカでは発売されません。
それ以外は、8月から広い地域で販売が始まります。しかし、アメリカ未発売のほかのスマートフォンと同じく、入手できれば使うことは可能です。継続的に出荷してくれる小売店が現れることを期待しましょう。
Phone (1)の販売価格は以下のとおりです(現時点では、日本で発売されるのはメモリ8GB/容量256GBのタイプのみ)。
- メモリ8GB/容量128GB:399ポンド(約6万5600円)
- メモリ8GB/容量256GB:6万9800円
- メモリ12GB/容量256GB:499ポンド(約8万2000円)