役職が高い管理職の下で仕事をしていて、「この人はリーダーの器じゃない」と突然気づいたときのことを想像してみてください。
そうなると、次に思い浮かぶのは、「一体全体この人はどうやってここまで出世したんだろう」という疑問です。
感じて当然の疑問です。仕事と全く関係ない理由で偉いリーダーの立場に昇進するマネージャーは後を絶ちません。
その昇進は、社内政治によるものか、えこひいきによるものか、あるいは、高い採用コストをかけたくないので、適当に社内で昇進させたかです。いずれにしろ、間違った選択です。
確かに、優れたマネージャーは、仕事の要点(プロジェクト、仕事の範囲、予算、タイムライン)を効果的に管理して、部下に結果を出させる方法を知っているかもしれません。
でも、果たして社員を人間的に成長させ、より健康に、より聡明に、より自由に、より自律的にする能力はあるのでしょうか(「奉仕するリーダーシップ」のパイオニアであるRobert K. Greenleafさんの言葉を引用しました)。
マネージャーが直面する最大の課題は、リーダーの最善の特性として設定されている基準を満たすことです。つまり、その基準は非常に高いのです。
結局、成功しているリーダーとマネージャーの違いは、「結果」と「人間関係」の2つに尽きます。
社員を犠牲にして結果を出すことはできませんが、どんなにチームに尽くしても結果が出せないと、それは無駄な努力です。
自分自身のリーダーシップを高める方法3つ
優れたリーダーシップが発揮されると、社員は自発的に頑張るようになります。そのリーダーのために、働きたくてたまらなくなるからです。
これは、ポジティブで自律的な(恐怖に支配されない)環境を生み、その環境が社員の経験を新たな高みに引き上げます。
こうした機会は、一般的にマネージャーにとっても成長と発展に導くでしょう。
1. 目的の共有を促進する
優れたリーダーは、社員の心を引き付けて物の見方や感じ方に影響を与えるような未来のイメージを伝えます。チームがどこに向かっているのかわかるように、常に目的地を示すのです。
優れたリーダーはチームメンバーに、「なぜ今、この仕事をするのか」という質問の答えになる「目的」を提供します。
すると、社員は自分がどのように役立っているかわかるので、最終目標に向かって意識を集中し続けることができます。
優れたリーダーは、チーム全員で合意した共通の価値観によってチームを運営します。この共通の価値観は、チームの日々の歩みの中で意思決定と行動を導く原則になります。
明確に定義された共通の目標や価値観がチームにあると、膨大なエネルギー、情熱、生産性が発揮されます。
2. 職権をチームのために使う
優れたリーダーは双方向の信頼に基づいて本物の人間関係を築いているので、まずチームのニーズに応えることで、チームと力を共有し、職権を発揮できます。職権を利己的に使わないので、社員の忠誠心が強くなります。
優れたリーダーは、個人的な利益、自分の宣伝、特権のためでなく、社員をリーダーのポジションに就けて、成長を促し、新しい強みと役割を開拓するために職権を行使します。
優れたリーダーは、リスクを取ること、創造性、オープンなコミュニケーションに関してチーム全体の手本になります。
力をチームと共有し、管理能力を発揮することにより、自分の影響力を通じて真の力を獲得するのです。
3. 学びの精神を育成する
人材育成は、社員の離職防止の目的で人事部だけが行う活動ではなく、優れたリーダーのマインドセットに根付いているものです。人材育成はチームのパフォーマンスを向上させるので、明らかに優れたビジネス戦略です。
しかしそれ以上に、人材育成はそれ自体がリーダーシップの目標であり、リーダーとしてのあり方でもあります。優れたリーダーは次のような行動を通して、人材育成を行います。
- 社員が最適な仕事に就き、潜在能力を発揮できるように、社員の才能、能力、強み、性格のタイプを見極める。
- 「社員の成長は我が社の最優先事項の1つです」という明確なメッセージを送り、組織内の学びの精神を擁護する。
- 仕事の目的、パフォーマンスの尺度、組織のミッション遂行に沿った継続的なトレーニング、コーチング、メンタリングの機会を提供する。
ーー2020年11月17日の記事を再編集のうえ、再掲しています。
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