こんにちは。「5分会議」(R)で人と組織を育成する専門家の沖本るり子です。
人の話を聞いていたつもりが、理解しておらず、つい聞いたつもりになっていたことはありませんか?
私は、「伝え方」のスキル関係の講座でよくお話をしますが、その中で、「話を聞いていないとよく指摘されます…どうすればいいのでしょうか?」という質問を受けることがあります。
そこで、今回はもう「聞いてない」と言わせない、本当の聞き上手になる方法について考えてみました。
本当の聞き上手とは?

コミュニケーションは、「聞くこと」が一番重要なスキルだと思っている人が多くいます。果たしてそれは本当でしょうか?
コミュニケーションとは、日本語では「伝達」を意味し、コミュニケーションスキルは、「伝達技術」のことを表します。
つまりコミュニケーションで一番重要なスキルは、「聞く」ではなく、「伝える」ことだと思うのです。
話を「聞く」ことは、自分が軸になっている行動。一方的に相手の話をただ聞いているだけでは、あなたの話への関心のない様子から相手は話を聞いてもらえていないと感じます。
ただ話を聞いているという自己満足ではなく、相手が話を聞いてもらえたと解釈してくれることこそ、本当の聞き上手なのです。
「話を聞いていない」と指摘される原因
「話を聞いていない」と言われるのには、2つのケースがあります。
1つは、本当に聞いているケース。もう1つは、相手の話が全く聞けていないケース。
前者の、聞いているケースというのは、自分では相手の話を最後まで真剣に聞いたにも関わらず、「話を聞いていない」と言われてしまうのです。
自分は、本当に聞いていると思っているので「聞いているつもりです」と言い、相手は「ちゃんと聞いてよ」と突っ込みます。
自信を持って聞いていると言えないのは、あくまで「つもり」であって確実ではないという自信のなさが原因です。
相手が「話を聞いてもらった」と感じられなければ、真に聞いているとは言えないのです。
コミュニケーションは、すべて相手の解釈次第ですから、聞いてくれたと相手に解釈されなければ意味がないのです。
自分の聞く態度も、見返してみましょう。話し手側の立場で考えてみると答えは明確です。
どういう時に相手が自分の話を聞いていると感じますか?
たとえば、スマホをみながら、あるいはパソコンをみながら聞いている相手の様子を見ると、話をしっかり聞いてくれていないと思うでしょう?
「話が全く聞けていない」人の特徴
後者の、人の話が全く聞けていない人は、常に自分の世界で頭がいっぱいです。
話を聞いていると、最後まで聞かなくてもわかる! と先読みして、相手の話に割って入ってしまいます。話し手に、話を最後までさせることなく、いつも途中で自分が話しはじめてしまうのです。
こういうタイプの場合、話し手の解釈と全く違う解釈をしやすく、思い込みが多く激しいので、自分のミスになかなか気づかないというのも厄介なポイントです。
話を聞いていないと言われる原因は、相手に「聞いていること」が伝わっていないから。
まずは、話を聞いていると相手に伝わる聞き方を心がけましょう。
きちんと聞いているのが伝わる、聞き方のコツ6つ

相手の話をしっかり聞く6つのコツを身につけましょう。
1. 相手に向き合う
聴くという文字は、「耳」「+」「目」「心」という文字で、できています。
まさに、目をそらさず、相手の目を見て心から聞きます。さらに相手に向く姿勢が需要です。目だけ相手に向けるのではなく、体ごと全部相手に向かせます。
2. うなずき・あいづちを打つ
相手の話を肯定する意味でうなずきは重要です。
あいづちは、相手の話の内容に応じて、「はぁ〜」「ふ〜ん」「へぇ」「ほぉ〜」を時々、相手の話の邪魔にならないように使い分けて対応します。
3. 認める・共感する
話の内容を受け止めて認めます。さらに共感します。
オウム返しはNG(オウムは音として捉えて音を繰り返しているだけ)。そんな聞き方は相手に失礼です。
相手の気持ちの入った言葉を認めて、共感する聞き方にしましょう。
4. 途中で遮らない
相手の話がひと段落、終わるまで、遮らず話を聞きます。
5. 要約確認する
相手の話を一文で要約確認をします。
6. 質問する
疑問に思うこと、わからないこと、気になること、そしてさらに話が広がるように相手に質問します。
このような聞き方をすれば、もう「ちゃんと聞いてる?」と指摘されることはなくなるはずです。
聞くという漢字は、「聴く」と「訊く(質問)」の両方を含んだ意味で使われます。ですから、「聴く」だけではなく、相手の話を理解するためにも「質問」も重要なのです。
そうすれば、自分の世界にどっぷり入ることなく、聞き上手といわれることでしょう。
話が長い人への対処法2つ

話の長い相手には、聞き上手に対応すると、相手の話をさらに長くさせてしまう恐れがあるので、対策が必要です。すぐにできるのはこの2つ。
1. 制限時間を伝えておく
相手が話しかけてきたら、最初に制限時間を伝えておきます。
「提出資料を○時までにつくっておかなくてはならないので、10分しか時間とれないんです。」
と伝えておけば、話の途中でも
「あ、ごめんなさい。ちょっと資料づくり急いでいるので、またね。」
上司だったら
「申し訳ありません。夕方までに仕上げる資料をつくる時間です。」
と話を打ち切りやすくなります。
2. 質問で話を収束させる
制限時間を言えなかった場合は、少し時間がかかりますが、質問で話を終わらせるよう誘導させます。
相手の話の切れ目で、要約確認をしてから、答えが、「はい、いいえ」で終わる質問をします。
その答えをもらったあとで、自分の考えを述べて、その場をさっさと去ることです。
これらができるようになると、聞き方名人になれるはずですよ。
――2019年11月14日の記事を再編集のうえ、再掲しています。
沖本るり子(おきもとるりこ)

株式会社CHEERFUL 代表。1分トークコンサルタント。「5分会議」®で、人と組織を育てる専門家。江崎グリコなどを経て、聞き手が「内容をつかみやすい」「行動に移しやすい」伝え方を研究。現在、企業向けコンサルタントや研修講師を務めている。明治大学履修証明プログラムでも登壇中。著書に『相手が期待以上に動いてくれる! リーダーのコミュニケーションの教科書』(同文舘)、『生産性アップ! 短時間で成果が上がる「ミーティング」と「会議」』(明日香出版社)、『期待以上に人を動かす伝え方』(かんき出版)などがある。
執筆:沖本るり子
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