タイトルには“20代限定”であるかのようなニュアンスがあるものの、『20代を生きる君へ 今輝く天才たち84人の「未来の切り開き方」』(桑原晃弥 著、リベラル社)は、世代差を超えて広範な読者に響くであろう一冊だといえます。
成功者たちが10代、20代の頃に何に躓き、何に悩み、どうやって未来を切り開いてきたのかを教えてくれる言葉を収録しました。(「はじめに」より)
著者も認めているように、当然ながら人生は20代ですべてが決まるわけではありません。事実、50〜60代からの新たな挑戦によって成功を収めた人も少なくないでしょう。
しかしそれでも、10〜20代のころから「自分はどのように生きようか」と考えることはとても大切で、その後の人生に少なからず影響を与えることになるのです。
ましてや「一生懸命がんばって働けば幸せになれる」と信じながら生きていくことができていたころとは違い、現代においては価値観も働き方も多様化しています。
そのぶん「これが正解」だという生き方を見つけるのが難しい時代だといえますが、だからこそ先達のことばや生き方に学ぶべきだということ。
人が生きていくうえでたしかに環境も才能もとても重要なものですが、似たような環境で育った人が同じような人生を歩むわけではないように、大切なのはどう生きるかという生き方にあるのではないでしょうか。(「はじめに」より)
こうした考え方を軸とした本書の第X章「『夢』をもって生きる」のなかから、きょうはジェフ・ベゾス、スティーブ・ジョブズ両氏のことばをご紹介したいと思います。
挑戦して失敗したとしても後悔はしなかった
「挑戦して失敗したとしても、後悔はしなかったでしょう」
アマゾン創業者 ジェフ・ベゾス(198ページより)
アマゾンの創業者であるジェフ・ベゾス氏はプリンストン大学在籍時から起業を考えていましたが、卒業の際には「企業で働いて経験を積みたい」と就職します。それは、自身が得意とするコンピュータサイエンスの専門知識を活かせる仕事でした。
仕事の能力は非常に高く、転職したバンカーズ・トラスト社では26歳にして同社史上最年少の副社長となり、次に移ったDEショー社でも28歳の若さで最年少の上級副社長になっています。
そしてそののち、インターネットの爆発的成長に気づくことに。インターネットで大儲けした人はいなかった1994年当時、「1年に2300%もの成長を遂げるものはいずれ『ゴールドラッシュ』ならぬインターネットラッシュ」を引き起こす」と考え、初のインターネットビジネスの開拓者になることを決意したのです。
そして、「なにが最適か」を考え抜いた彼が選んだのが、インターネットを使って本を売るビジネス。そこで、そのアイデアを当時のボスであるデヴィッド・ショー氏に打ち明けましたが、氏は「優れたアイデアだが、リスクの高いビジネスは君のような約束された将来の持ち主ではなく、なにも持たない人間のやることだ」としてベゾス氏の退社を慰留します。
理にかなった話でしたが、ベゾスさんは「80歳になった時に1994年のウォール街のボーナスをその年の半ばで棒に振ったことを後悔する可能性はゼロ。
でも、この絶対にいけそうなインターネットなるものに首を突っ込まなかったとしたら、後悔する可能性はかなりありそうでした。それに挑戦して失敗したとしても、後悔はしなかったでしょう。
そう考えたら、決断するのは信じられないくらい簡単になりました」と起業を決意します。(199ページより)
人は「なにかをした」ことではなく、「なにもしなかった」ことを後悔するもの。ベゾス氏は辞表を提出し、すぐにアマゾン創業の地であるシアトルへ向かうことになったのでした。(198ページより)
もし、きょうが人生最後の日だったら
「もし今日が人生最後の日だったら、今日やろうとしていることをやりたいと思うか?」
アップル創業者 スティーブ・ジョブズ(204ページより)
スティーブ・ジョブズ氏がアップルを創業したのは、21歳だった1976年。「アップルI」に次いで発表した「アップルII」は、初の本格的なパーソナル・コンピュータとして大ヒット。アップルの株式公開により、氏は25歳にして「自力で財を成した史上最年少の億万長者」となったのでした。
以後、アップルからの追放と復帰、ピクサーの創業など、なにかと波乱の多い人生ながら、コンピュータ、音楽、映画、携帯電話とさまざまな領域で革命を起こすことになったわけです。
そんなジョブズ氏が大切にしていたのが、17歳のときに出会った「もしあなたが毎日、『これが最後の日』と思って生きるなら、いつかきっと正しい道に進むだろう」ということば。
いうまでもなく、誰にでも最後の日は訪れるもの。そんな限られた時間のなかでよりよく生きるためには、時間をムダにすべきではないし、きょうを最良の日にするための努力が欠かせないということです。そんなことばに感銘を受けたジョブズ氏には、よりよく生きるためにこんな習慣がついたのだそうです。
「以来33年間、毎日鏡を見つめて自問自答しています。
『もし今日が人生最後の日だったら、今日やろうとしていることをやりたいと思うか?』と。もしノーの答えが何日も続けば、何かを変える必要があるとわかるのです」(205ページより)
こう自身に問いかけながら、自分がもっとも好きな「世界を変えるすごい製品をつくる」ことに生涯を捧げたわけです。
なおジョブズ氏はこのことばを紹介したあと、スタンフォード大学の学生に「いちばん大事なのは自分の心と直感に従う勇気を持つことです」と語りかけています。(204ページより)
若年層を中心としたビジネスパーソンを取り巻く環境は、決してやさしいものではありません。しかし、そんなときこそ多くのことばに学ぶべき。そうした考え方に基づいて数々の名言を集めた本書は、人生のどこかのタイミングで役立ってくれるかもしれません。
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Source: リベラル社