話し方で損する人得する人』(五百田達成 著、ディスカヴァー携書)は、2018年に刊行された同名書籍を携書化し、再編集したもの。著者は個人カウンセリング、セミナー、講演、執筆など、多岐にわたって活動を展開する作家・心理カウンセラーです。

そんな立場に基づいて本書で強調しているのは、「話し方」の重要性。話し方次第で、人間関係はよくも悪くもなるということです。

世の中には2種類の人がいます。まずはこんな人。

・いろいろな人に誘われる

・いつも和やかで楽しそう

・ストレスが少なくいつも笑顔に満ちている

・「あの人のためなら」と、まわりが動いてくれる

一方でこんな人もいます。

・あまり誘われない

・いつもイライラしていてまわりに人がいない

・つねにストレスを抱えていて眉間にしわが寄っている

・号令をかけても人が動かない

この2人、何が違うのでしょうか?

私は「話し方」が違うのだと思います。見た目や社会的な立場などがまったく同じでも「話し方」が違うだけで人生はこんなにも変わります。(「はじめに」より)

つまり、話し方ひとつで得もすれば損もするということ。そこで本書では、状況に合わせた「得する話し方」を紹介しているのです。第3章「職場・ビジネス編」のなかから、2つのケースをピックアップしてみましょう。

あいまいに? 具体的に?

[損]あいまいに話す

[得]具体的に話す

プライベートにおいては、空気を読んだり共感するなど、「あいまいに」話すこともときには有効かもしれません。しかし、仕事であいまいなコミュニケーションをするのはNG。きちんとはっきりと、具体的に話すことこそが「得する話し方」だということです。

なお、このことを訴えるにあたり、著者は次のような会話を引用しています。

「予算については、どのように考えておけばよいでしょうか?」

「まあ、それはゆくゆくご相談しながらということで」

「次回の会合はどうしましょうか?」

「それはまた追ってメールで調整しましょうかね」

「はあ……そうですか」

「じゃあ、そういう感じでひとつよろしくお願いします」

「……(そういう感じって何? 何にも決まってないんですけど)」

(137ページより)

「ゆくゆくご相談しながら」「のちほどメールで」など、結局はなにも決めていないーー。すなわち、これこそが損な話し方。話があいまいすぎて、まったく話が進んでいないわけです。やや極端な例かもしれませんが、似たタイプはどこにもいるもの。そしてこういう人と仕事で出くわしてしまうと、大変な思いをすることになってしまいます。

一方、得する話し方は「具体的に話すこと」。そのためにも大切なのは「とりあえず決める」習慣をつけることだと著者は述べています。

たとえば、「あとで変更があるかもしれませんが」と断ったうえで、「次回は◯日にしましょう」と伝えるようなクセをつけることが大切だということ。また、「◯個用意してください」というように、きちんと「数字」をつけて話すと、具体的な印象を与えることが可能になるといいます。(136ページより)

前置きは、長く? 短く?

[損]前置きが長い

[得]すぐ要件に入る

自分から話しかけておきながら、前置きが長かったりなかなか用件をいわない人がいるものです。

「何? 相談って」

「それが、今度田中さんが異動になるじゃないですか」

「えっ、そうなんだ」

「で、私すごく田中さんにはお世話になってるじゃないですか。去年私がヘルニアで休んだとき、得意先を全部フォローしていただいたし。いや、私だけじゃないと思うんですよ、田中さん世話好きだから。それで……いやでも、あまり大げさなことをしちゃうのもどうかなと思って。かえって気を使わせちゃったらあれだし、でも……」(145ページより)

田中さんの送別会、または贈り物について相談したいことはなんとなくわかるものの、前置きが長く、なにをいいたいのかがわからない。なかなか本題に入ってくれないわけで、これはとても「損」な話し方

「では、どうすればいいのか?」という問いに対して著者は、「得するのは、要件から話すこと」だと主張しています。そのためのコツは、とりあえず要件をひとつに絞ること。最初に要件をいえない理由は、相手に話したいことが多すぎて、要件をひとことにまとめられないことにあるというのです。

送別会のお店の相談もしたいし、贈り物の相談もしたい。できればちょっとした出し物も一緒に考えてほしい……などといろいろ考えながら話しかけると、冒頭の例のようになってしまいます。

そこで、まずは最初にバシッと「ちょっとお店の相談なんですけど」と言ってしまいましょう。それだけで相手は「なるほど、お店ね」とスッキリします。それ以外の相談は、お店の相談が終わってからすればいいのです。(146ページより)

ビジネスにおいては、とにかくシンプルなコミュニケーションが重要。そのためには、「これを英語でいうとしたらどうなるだろう?」と考えるべきだと著者。

日本人が英語でなにかを伝えようとするときには、長々と前置きなどはせず、「◯◯を◯◯したい」とシンプルに伝えるのではないでしょうか。したがって、つい前置きをしたくなるときには、「英語ならどういうか」を意識してみればいいという考え方。それもまた、「得」する話し方だというのです。(136ページより)

このように「損する話し方」と「得する話し方」を比較しながら話が進められていくので、無理なく理解できるはず。職場でのコミュニケーションを円滑にするために、大きく役立ってくれそうです。

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Source: ディスカヴァー・トゥエンティワン