ライフハッカー[日本版]とBOOK LAB TOKYOが手がけるトークイベント「BOOK LAB TALK」。第17回目のゲストは、すてきな相棒! おかね入門』の著者、金融教育ディレクターの橋本長明さんです。

『すてきな相棒! おかね入門』では、子ども向けのやさしい語り口ながら、“おかねの本質”にズバリと切り込む痛快な視点が印象的だった橋本さん。

このセッションでも日銀時代に気づいた「お金の本質」などを交えつつ、日本人の金融教育で欠けているという「お金の上手な使い方」について、惜しみなく伝授してくれました。

日本唯一の「金融教育ディレクター」になるまで

大学卒業後、日本銀行に10年在籍したのちに退職し、現在は「金融教育ディレクター」という肩書きで活動されている橋本さん。「金融教育ディレクターなんて検索しても、たぶんまだ私ぐらいしか出てこない。自分で考え出した職業だから当たり前ですが」と笑います。

「日銀では金融教育を学校教育に導入することや、『金融教育元年』事業に注力していました。異動が決まった時、この仕事を個人でも続けたいと思ったのが独立のきっかけです」(橋本さん、以下同)

社会情勢の不安もあり、「日本人には金融教育が不足しているのではないか」という危機感があちこちで高まっています。

私たちの生きている社会は、良くも悪くもお金が血液のように世の中を循環し、動かしていく“経済社会”。大人も子どもも、お金との付き合い方を自発的に学ぶ必要があると橋本さん。

「お金を上手に使う」ってどういうこと?

学校の時間割になぞらえて構成された『すてきな相棒! おかね入門』では、1時間目から6時間目まで、お金を巡るさまざまなテーマが取り上げられています。中でも、1時間目に設定された「おかねの上手な使い方」は重要なテーマ。

お金を「使う」と一言で言っても、実は3つの意味に分けられる、と橋本さん。

  1. 消費:現在の満足のためにお金を使うこと。
  2. 投資:未来の満足感を高めたり、将来の自分のためにお金を使うこと。
  3. 浪費:必要以上にお金を使って「ムダ使い」すること。

気をつけたいのが3の浪費。浪費をなくすためには、「必要以上」の意味を明確化することがポイントになります。

「今日からぜひ活用していただきたいのが、ニーズ(needs/必要)とウォンツ(wants/ほしい)という考え方。モノを買う時に、『これは必要なものなのか、欲しいものなのか』と自問自答することを習慣にすると、お金の使い方が変わってきます」

欲求をニーズとウォンツに仕分けることで、「踏みとどまる」「一度考える」ことができるようになるそう。

「あれがほしい!」という“今、この瞬間”の気持ちに流されず、本当に必要なものや、将来の自分のための投資にお金を使うことで、人生が豊かになるかもしれないと教えてくれました。

そもそもお金に価値はない!?

そもそも、「お金」とは一体何なのでしょう? 橋本さんがこうした俯瞰的な視点を持つようになったのは、日銀1年目の体験が大きいとのこと。

「現金を扱う仕事をさせてもらって、毎日お金をグルグル運んでいたんです。1億円が10kgくらいで、私にとっては筋トレの道具(笑)。偽造を防ぐために、流通して汚くなった大量のお札をシュレッダーにかける業務も目の当たりにしました。

そこで私が実感したのは、お金というのはそもそもは“券”であって、お金自体に価値はないということ。

1万円札を1枚つくるのにかかるお金は約22円ですから、あくまでみんなの信用に基づいて“1万円”と認識されているだけで、お金自体がすごいわけではない。

お金に振り回される人生にしないためには、そこを認識することが大切なのではないでしょうか」

橋本さんは、現在お金がこれほど流通しているのは、3つの優れた機能があるからだと言います。

  1. 価値交換機能(価値を交換できる)
  2. 価値尺度機能(価値を測れる)
  3. 価値保存機能(価値を保存できる)

「つまり、お金というのは“便利な道具”。

みんな『お金がほしい』『もっと稼ぎたい』と考えがちですが、自分のしたいこととか、生きていくため、夢や目標を叶えるために、『じゃあお金はいくらかかるんだろう』とセットで考えたほうがいい

「生きていくために必要なお金ということは、ニーズ100%ということ。ニーズ100%に対して、どんなウォンツ(やりたいこと)の人生を組み立てようか、自分で考えていくことが大切だと言えそうですね」(遠藤)

自分がやりたいことが先にあり、お金はそのあと。ただし両者はセットで考えないと、どちらもうまくいかなくなる…。

その順序を見失ってしまうと、マネーゲームの罠に陥りやすくなると橋本さんは警鐘を鳴らします。

もっとドライにフランクに、お金と付き合おう

セッションの最後、「お金とは?」という遠藤の問いに対して、「人生に寄り添う便利な道具」と答えてくれた橋本さん。

「お金そのものに価値はありませんが、便利な、もっと言えばかなり優れた道具であることは間違いありません。

そこを理解したうえで、タブー視することなく、もっとドライに、フランクに。気持ち良くお金と付き合っていくといいんじゃないかなと思います」

道具であるお金を追い求める人生ではなく、自分らしくお金を使いこなす人生を送りたい。金融リテラシーを高めることの本当の意味に、改めて気づかされたセッションでした。

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Photo: ライフハッカー[日本版]編集部 / Source: リトルモアブックス, BOOK LAB TOKYO, Peatix