パンデミックによる激動の2年を振り返って1つわかったこと。それは、社員のウェルネス対策に関しては画一的なやり方ではもう通用しないということです。

あなたの会社で、福利厚生がパンデミック以来見直されていないとしたら、既にライバル企業に遅れを取っていると言えましょう。

我が社には3300名ほどの社員が勤務していますが、福利厚生の改正に注力した結果、社員の定着率はプロフェッショナル・サービス業界では平均を大幅に上回るものとなりました。

進化した職場環境に寄り添う形で制度を整えたことが大きな要因だと考えています。

「ガイドラインと信頼」を拠り所に、新しいルールを構築

まず、最初にしたこと。それはリモートワークの現実とメリットを受け入れることでした。

効率を落とさずリモートで完了できる業務もそれなりにあることがパンデミックで明らかになり、また、リモートワークのフレキシビリティーは維持したいと社員も望んでいました。

そこで私たちは、リモートワークがすべての状況、とりわけ長期的な関係構築に適しているわけではないことを踏まえたうえで、「基本出勤」というモデルをあえて採用

ただし、最大限フレキシビリティーを持たせることにしました。

どんなリモートワークの形態にも使える方法はないと理解したうえで、我が社では「今日の勤務先」というプログラムを導入しました。

スタッフは、クライアント先や会社、自宅など、その日の仕事内容にあわせて働く場所を日々決めることができます。

社員が適切な判断をしてくれると信じて、フレキシビリティーを持たせたのです。

彼らは、クライアントと良い関係を構築することができる一方、働く場所の自由が個人や自身の家族との生活にも良い影響があると感じるようになりました。

毎月・毎週あたりの最低出社日数などの制限も特に設けませんでしたが、プログラムが施行されると、クライアント先に出向いたり出社したりすることが実は一番効率が良いと社員自身が結論付けていたこともわかったのです。

他方、多くの企業で採用されている「ハイブリッドワーク」は週に最低2~3日の出社を義務付ける方法ですが、私の知る限りではこの規定はかなり不評

出社が不本意だからではなく、いつ出社するか管理されることに納得がいかないからです。我が社では、規則ではなくガイドラインと信頼を拠り所とすることにしました。

私たちは、パンデミックによるロックダウンや学校閉鎖による精神的ストレスを経験し、リラックスしたり充電したりする時間をつくることがいかに大切であるか実感しました。

そこで、福利厚生の一環として、独自の工夫を盛り込んだ有給休暇を1日追加することにしました。

その1日は、宗教的・文化的に意味のある日や誕生日、または単にメンタルヘルスデーとして、いつ取得しても良い変動制の有給休暇としたのです。

福利厚生のアップデートで「大切にされてる感」を醸成

さらに、パンデミック前にはフィットネス関連に限定していた補助金を、ほとんど制限なくウェルネス関連全般に使える「バランス資金」という補助金に切り替えました。

この補助金は、保育関連や料理教室、旅行の資金、家庭運営や旅行計画をサポートしてくれるコンシエルジュ・サービス、ホームオフィス機器の購入、奨学金の返済など、社員の生活に役立つ出費に充ててもらうのが狙いです。

毎月100ドル(1万3000円)がバランス資金として社員に振り込まれ、社員はそれを年間1200ドル(16万円)を上限に、四半期ごとに自己出費に対して払い戻ししてもらうことが可能。

フィットネス関連に限定された補助金の消化率が20%を切っていたのに対し、ウェルネス補助金に切り替えてからは消化率がほぼ100%になることが予想されるので、確かにコストはかさみます。

それでも、社員の「大切にされている感」が上がることで、我が社に定着してくれることを期待しています。

マッサージを受けながら、あるいは楽しみにしていた休暇に出る時、心の中でこの恩恵に感謝してくれれば、社員の定着率向上に繋がることが大いに期待できるでしょう。

コスト増加を伴うこうした福利厚生の向上になかなか踏み切れないのは理解できます。

でも、同様の福利厚生を整備しつつある同業他社が、同じターゲット層の人材にとって魅力的に映り、その結果、将来的に自社の離職率が上がってしまうことを危惧するべきです。

これらイニシアティブに共通して言えることは、社員ファーストを念頭に置き、社員を信頼し、各自がベストな決断をするよう促しているということ。

雇用主にとっては大胆な策のように感じられますが、私たちの経験では、社員への信頼は、組織に対する忠誠心や実績という形で十二分に返ってくるものです。

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