じっくりと自分の将来を考える時間は持てていますか? あっという間に1年、3年、5年…と経ってしまうことは珍しくありません。

ビジネスパーソンにとって、自分の未来をじっくりと考え、さらなるステップアップを積み重ねることは重要です。そのために必要なのが定期的な「内省」

方法は難しくはありません。数十分でいいから、スマホを手放してノートに振り返りを記すだけ。でもやってみると、「思った以上に時間がない…」と気づくはず。

白状すると、私自身つい目の前のことに邁進するタイプだったため、「やばい! もうすぐ20代も終わってしまう」「もう30代後半か…」と思うこともありました。

しかし、考える時間(内省の時間)を持つようになったことで、「次の5年、10年をどのように過ごせば良いのか」を自分なりに整理できるようになったのです。

今回は、忙しい状況でも「自分の将来」を考え、市場価値を高める内省の技術を紹介します。

現在地を確かめ、次の手を決める内省の手法とは?

内省を行なうには、まずは時間の確保が必要です。カフェでの休憩や、電車での移動など、ちょっとした1人時間を使いながら30分程度取りましょう。

さらに大切なのが、環境づくり。集中力を途切れさせないよう、スマホのない場所で考えるようにしてください。

その代わりに用意してほしいのが、紙のノート。頭に思ったことを「そのまま書き出す」。それがおすすめの内省の手法です。

私の過去のノートを見直すと、以下の写真のように思いつくままに書いていました。

写真提供: 伊庭正康

これは30代半ばに書いていた実際のノート。当時は、会社で管理職を務めていました。

忙しい日々でしたが、「それでも将来のことを考えないとマズい」と、そんな危機感だけは持っていました。そこではじめたのがこのノートテイキング。

誰に見せるわけでもないので、自分にしか読めないような乱筆です。でもそれでOK。ペンを走らせるほどに、自分の想いが整理できます。

書く内容と、書き出したことで感じた効果は次の通り。

ノートに書く内容

  • 今の状況に対して、率直に思うこと(不満、不安)。
  • 人生で何を大事にしたいのか? 人生の最期で、何ができていないと後悔するのか?
  • 5年ごとにどうなっていたいのか?(時系列に)
  • 今の自分に点数をつけるとしたら? 何があれば100点に近づくのか?

得られた効果

  • 今、自分が感じている漠然とした不安も、文字にすれば正体が明確になる
  • 人生で「後悔しないため」に何が必要かを整理できる。
  • 未来を考える際は、年齢軸を明確にすると「危機感」「やるべきこと」が鮮明になる。さらに、子どもの年齢など他の要素を加えると、想像以上に「時間が短い」ことに気づく。
  • 今の自分に点数をつけることで、潜在的な課題を発見できる。
  • 2~3年後に改めてこの記述を確認すると、自分の成長を実感できることも。

現在、筆者は53歳です。このノートを書きはじめてから、ほぼ20年弱を経て思うことは、「内省を書き出すようにしたからこそ、人生の選択のタイミングを間違えなかった」ということ。

忙しくても、決して流されることはなかった。その効果を確信しています。

考える時間は、希少価値を高める「正しい努力」につながる

さて、次に確認すべきは市場価値の高め方です。コツコツと頑張るだけは、あなたの市場価値は高まりません。

ビジネスパーソンにおける市場価値は、「頑張りの総量」ではなく「希少価値(その人にしかできないこと)」で決まると考えてください。

少しシビアな話をします。

たとえば、あなたがハンバーガーチェーン店の接客スタッフだったとします。その企業でがむしゃらに努力し、上位20%にランクイン。それでも、その実力が買われて年収を1000万まで上げることは、まず不可能でしょう。

いくら頑張りを“足し算”で重ねていっても、それだけでは「希少価値」が低いからです。

だからといって、ハンバーガーチェーン店で接客の仕事をすることがダメな選択なのかというと、全くそうではありません。

正しい努力、つまり「希少性」を高める努力をすれば良いのです。どんな仕事も、ほかのスキルをかけ合わせることで希少性は高まります。

たとえば、接客スタッフとして上位20%に入る実力をつけたのなら、早い段階で指導役としても上位20%の評価を得るほどに実力をつける。さらに勉強して、販促プロモーションを企画できるまでになったとしましょう。

販促プロモーションができる人がその会社で5%しかいないとしたら、あなたの希少性は、

20% × 20% × 5% = 0.2%

つまり、500人に1人の逸材になるというわけです。

こうしたことをじっくりと考えることも、時には必要ではないでしょうか?

自動車レースでたとえると、ピットイン(レースコースを離れてピットエリアに侵入すること)のようなもの。

レースで休まずに走り続けると、途中でパンクすることだってあります。長いレースにはメンテナンスが不可欠。ちょっとした時間で良いので、考える時間を持ってみてはいかがでしょう? きっと飛躍的にチャンスが増えるはずです。


今回は、自分の将来を見据え、市場価値を高める内省の技術について解説しました。今回の内容が、あなたの未来づくりの一助になれば幸いです。

※2022.08.30: 本文に一部誤りがあったため加筆修正を行ないました。

伊庭 正康 株式会社らしさラボ 代表取締役

伊庭 正康 株式会社らしさラボ 代表取締役

リクルートグループ入社。残業レスで営業とマネジャーの両部門で累計40回以上の表彰を受賞。その後、部長、社内ベンチャーの代表を歴任。2011年、株式会社らしさラボ設立。リーダー、営業力、時間管理等、年間200回以上の研修に登壇。リピート率は9割以上。現在は、オンラインを活用した研修も好評。近著に15万部を超える『できるリーダーは、「これ」しかやらない メンバーが自ら動き出す「任せ方」のコツ(PHP研究所)』『できる営業は、「これ」しかやらない(PHP研究所)』のほか、新刊の『結局、「しつこい人」がすべてを手に入れる(アスコム)』をはじめ、他多数の書籍がある。

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