Googleとその親会社AlphabetのCEO、サンダー・ピチャイ氏が、アメリカのインフルエンサー、ジャスティン・エザリック氏のYouTubeチャンネルでインタビューに応じています。
今年5月に開催されたGoogle I/O 2022の際に収録された短いインタビュー動画の中には、ピチャイ氏のテクノロジーの捉え方が凝縮されていました!
本記事では、ピチャイ氏の経歴、またGoogleを成功に導いたテクノロジーへの考え方を読み解いていきます。今回は後編です。
▼前編はこちら
インターネットが今のように変化するとは予想できなかった
インタビュー冒頭近くでピチャイ氏は、Googleのキャリアの中で“インターネットが今のように変化するとは全く予想できなかった”ことを認めています。
Chrome開発の指揮を執って頭角を現したピチャイ氏ですが、Chromeではそれまで静的ページを表示するツールだったWebブラウザに、Gmailといったアプリが稼働するOSのような役割を持たせ、Webブラウザの新潮流を築き上げました。
AndroidやChrome OSにも携わり、全力でモバイルウェブを推し進めています。
世界中の人に情報へのアクセスを提供する
インタビューでピチャイ氏は、“どこで育ったかも関係なく情報へのアクセス権が持てる”ような世界を目指していることを明らかにしました。
このあたりは、世界中の人に情報へのアクセスを提供するとのGoogleのミッションとも重なる部分ではありますが、南インドで育ったピチャイ氏の口から聴くと説得力が違ってきます。
ピチャイ氏といえば、インドの名門インド工科大学(IIT)で学位を取得し、スタンフォード大学とペンシルベニア大学ウォートン校で修士号を取得しています。
半導体企業のアプライド・マテリアルズ社でエンジニアとして働いた後にマッキンゼーでコンサルタントを経験。2004年にはGoogleに入社…と、学歴、職歴は華々しいものですが、幼少期を過ごしたインドの都市チェンナイでの生活環境は、必ずしも十全なものではなかったようです。
母校スタンフォード大学で行われたインタビューでピチャイ氏は、インドでは祖父母が片道1時間かけて病院に行き、血液検査の結果を聞いていたとのエピソードを披露。
テクノロジーへのアクセスが制限された中で育った経験が、“Androidの安価な携帯電話で次の10億人をオンラインに”といったミッションの原動力になっているのでしょう。
ちなみにエザリック氏によるインタビューでピチャイ氏は、障がい者のアクセシビリティを重要視している点にも触れています。翻訳や書き起こしといったAIの仕事が、社会から取り残されがちな人々にも新たな情報へのアクセス機会を提供する可能性があります。
GoogleがAIに力を入れる理由
エザリック氏のインタビュー最後の質問、「5~10年後のビジョン」についてピチャイ氏は、携帯電話の域を超えた情報端末の進化についてほのめかしました。
スタンフォード大学でのインタビューでは、GoogleからスピンアウトしたNianticを例に挙げ、スマホゲームを通じて人々を歩き回らせるポケモンGOは刺激的だった一方、人間にテクノロジーへの関与を強いていることからまだ生活に十分適応しているとはいえないと指摘します。
コンピュータとのやり取りにより自然なものになれば、テクノロジーはさらに素晴らしいものになるはず。これは、Googleが音声入力に注力している理由でもあります。
またピチャイ氏は、「AIがすべての領域を変える」と言及。そういわれてみれば写真やメールの自動整理など、今やAIは当たり前のように環境に溶け込んでいて、これなしでの生活は考えられないほどです。
一方で、ヘルスケアなどうまく機能するにはまだ10年かかるものもあるとのことで、この先さらに、気づかないうちにAIが生活の基盤に組み込まれていた…なんてケースが増えそうです。
ピチャイ氏自身は、素晴らしいプロダクトを開発して人々の手に届けることがモチベーションとなっているようです。
Google I/Oでは世界がどうなるかについてのヒントを示してくれていますので、エザリック氏のインタビューと一緒にキーノートを見直してみてはいかがでしょうか?
▼前編はこちら