変化が大きければ大きいほど、そしてそのスピードが速ければ速いほど、私たちが順応するために求められるエネルギーも大きくなり、時にその歪みが私たちの心や体や組織に悪影響を与えます。
そんなときこそ、本書の「仕事のコツ」を活用して、変化を乗り越えていくことができるかもしれません。(「長めの『まえがき』〜『99%のコツ』リニューアルに寄せて」より)
シリーズ累計170万部突破のベストセラーの“決定版”である『99%の人がしていないたった1%の仕事のコツ 決定版』(河野英太郎 著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)の冒頭で、著者はこう述べています。さらに注目すべきは、旧版が発売された当時と現在との関係についての記述です。
本書でお伝えする「仕事のコツ」は、私自身の課題解決ストーリーです。
そして、本書が旧版から10年以上売れ続けているということは、皆さんの先輩や同僚など多くの人たちも同じように悩んでいるということでもあります。
つまり、その悩みは、特別ではなく「よくあること」。(「長めの『まえがき』〜『99%のコツ』リニューアルに寄せて」より)
旧版が出版されたのは、東日本大震災からちょうど1年が経過した2012年3月のこと。そこから10年を超える時間が経過した結果、社会には多くの、しかも大きな変化がもたらされました。しかし究極的な意味において、悩みの本質は普遍的であるわけです。だからこそ、ここで紹介されているさまざまなトピックスのなかには、役立つものが多いはず。
そんな本書のなかから、きょうはCHAPTER 8「目標達成のコツ」に焦点を当ててみたいと思います。
パニックにならない
同時に多くの案件が重なったり、緊急事態の知らせが入ったりすると、誰でも多少は動揺してしまうもの。問題は、その結果です。気持ちが動揺してしまうと、本来とるべき正確な判断や対応ができなくなってしまうのです。
しかしそういった状況下においても、平常心で対応できる人がいるもの。著者のまわりにも、「なぜこの状況でこの人は笑っていられるんだ?」と感じてしまうほど、極限状態のなかでも淡々と仕事を進められる人がいるのだそうです。
そういう人たちが決まって口にする言葉は「今すぐに命をとられるわけではない」「やるべきことは決まっている」というものです。
これは、図太いとか、感度が鈍いというものとは異なります。
状況の深刻さをわかったうえで、本来の目標を達成するためには、今、何をすべきかを冷静に考えるための自己制御のテクニックを心得ているのです。(218ページより)
まず気をつけなければならないのは、パニックにならないこと。パニックに陥ってしてしまっても、得るものはなにもありません。もちろんそれでも、急いでなにかアクションをとることは求められることになるでしょう。しかし、だからこそまずは冷静になる必要があるのです。
イギリスの紳士教育では、この「Don’t Panic」を若い頃から徹底的に教え込むそうです。確かに泰然自若としているイメージはありますね。(219ページより)
心の持ちようとして著者がすすめているのは、開きなおりに似た考え方を持つこと。日ごろから「すべてのトラブルは、実はたいしたことではない」と自己暗示のように念じておく。そうすれば、いざというときに平常心に立ち戻り、有効な対応策を打つことができるのです。(218ページより)
ストレス解消の方法を決めておく
仕事をするにあたっては、ストレスを避けて通ることはできません。そのためさまざまな対処法が必要となるわけですが、著者は「ストレス解消」という、比較的労力のかからない対症療法をすすめています。
対処療法は人それぞれですが、ここでのポイントは、今までにストレス解消できたときの成功例を思い出し、「自分はこうすればストレスが解消される」というパターンを複数持っておくということです。(220ページより)
過剰にストレスがかかっているときは、記憶力、判断力、思考力のすべてが低下してしまうもの。新たに方法を考え出す余裕がなくなったしまうため、急なストレスを感じたときには、すぐ実行できるようなストレス解消法を持っておくべきだという考え方です。
読書でも、映画鑑賞やドライブ、旅行やスポーツなどなんでもOK。自分の気持ちの治療法は自分でしか決められないので、自分に合った方法を“事前に”考え、常備し、見方にしておくのです。たしかにそうすれば、常に仕事に打ち込める状態を保つことができそうです。(220ページより)
体調の維持をする
どれだけ知識や技能を身につけても、どんなにマインド面での研鑽を積んでも、体が弱ってしまっていたのではそれらを活かすことはできません。「体が資本」であるという表現がありますが、体調・体力は仕事をするうえでの最低条件。一般的に、体力が低下すると思考力や精神力も低下してしまうからです。
つまり、いかに体調を高いレベルで維持するかは、なによりも大切なこと。
食事や睡眠といった生活習慣については、どういうときに自分のベストコンディションを保てるかを把握しましょう。
「平日だけなら4〜5時間睡眠でも大丈夫」とか「3日に一度は休肝日を設ける」といった自分なりの管理方法を決めてください。それが守れないときの対応策も、準備しておくといいでしょう。サプリメントや移動手段、作業場所の変更などが対応策の一例です。(230ページより)
また当然のことながら、うがい・手洗い、マスクの着用、予防接種の受診など衛生面での予防は不可欠。自分のためだけでなく、チームや家族を守るための義務だとさえいえるはず。
健康診断などの健康管理手段も積極的に活用すれば、生活習慣の悪化による体調の変化を感知することもでき、悪くなる前の早期発見にもつながるのですから。(230ページより)
90種にもおよぶ「仕事のコツ」のなかに気になったものがあれば、それらを仕事の現場で試してみてほしいと著者はいいます。そうすれば、自身の仕事が飛躍的に効率化・高度化するはずだというのがその理由。仕事を中心とした生活をよりよいものにするために、手にとって見る価値はありそうです。
>>Kindle unlimited、30日無料で読み放題トライアル中!
>> 「Voicy」チャンネルでは音声で「毎日書評」を配信中【フォロー大歓迎】
Source: ディスカヴァー・トゥエンティワン