私たちは感情に振り回されがちで、とくにネガティブな感情から大きな影響を受けているもの。でも、そうでありながら、多くの人は感情についての知恵を学ぶ機会に恵まれないまま大人になってしまったーー。

コミュニティプロデューサーである『ネガティブ感情向き合い練習帳』(吉武大輔 著、光文社)の著者は、そう指摘しています。つまり本書は、そんな人の気持ちが少しでも軽くなり、生きるのが楽になる「ネガティブ感情の秘密」を伝えるために書かれたものなのです。

1万人以上のカウンセリングを行ってきた著者は、感情についてはほとんどの方が同じようなパターンにはまっていると気づいたのだそうです。それは、「どんな人の感情の根底にも、寂しさという感情が隠されていた」ということ。

寂しさとは、「理解されたい、理解したい」という思いが叶わないときに生じる感情。つまり、「寂しさを感じている人は、本当は理解されたいし、相手を理解したいという思いを持っている」ことを知っていれば、ネガティブな感情にとらわれずに生きることができるというのです。

「人は、目の前で起きている出来事や表層的に感じているネガティブな感情ではなく、その奥に隠された本当の思いに気づくと、本当の人生を生き始めることができるようになる

これが、私が気づいたネガティブ感情の秘密です。

ネガティブな感情は、あなたにとって大切なことを教えてくれます。

何かの出来事や対象に対して感情的になるということは、「それだけ大切なことや思いが、そこに隠されている」ということです。(「はじめに」より)

ネガティブな感情を否定したり、ないことにするのではなく、自分の感情を味方にして、望む人生を生きていくべきだということ。こうした考え方に基づく本書のなかから、きょうは第五章「感情を使いこなし、現実を思い通りに生きる」に焦点を当ててみたいと思います。

環境を変えると感情が変わる

感情と環境は、強い相関関係で結ばれているもの。どれだけ感情を扱えるようになろうと思っていたとしても、整っていない環境、自分に合っていない環境においては、なかなか自分の望むようにはならないわけです。著者はそれを、果物にあてはめて解説しています。

メロンを育てたければ北海道などの寒い地域、パイナップルを育てたければ沖縄などの暖かい地域を選びますよね。メロンを沖縄で、はたまたパイナップルを北海道で育てようとしてもうまくいきませんが、それはメロンやパイナップルに問題があるのではなく、種と環境が合っていなかっただけのこと。

多くの人が自分自身(種)については考えようとしますが、どんな環境が自分に合っているのかはあまり考えていません。

自分という種はどんな環境で育つのか。どんな環境ではのびのびとできて、どんな環境では能力を発揮できないのか。

自己理解の中には、自分を取り巻く環境を知ることも含まれています。(160〜161ページより)

環境が合っていれば、多少疲れていたり無理を続けていたとしても、感情的・肉体的にブレることは少なく、高いパフォーマンスを発揮できるということ。逆にいえば、環境が合っていないと、どれだけいい状態でも本来の力を発揮できないわけです。

したがって、「本当はがんばりたいのに、がんばれない」「なぜか集中できない」「全力を発揮できている気がしない」「疲れがとれにくい」「不安な気持ちが続く」というようなときは、視点を切り替えてみることが必要。いまいる環境が、自分に合っていない可能性も考えられるからです。

もし、「今の自分と環境が合っていない」と感じるなら、今とは違う環境に身を置いてみてはどうでしょう?

今、実家に住んでいるのなら、一人暮らしをしてみたり、シェアハウスに住んでみる。逆に、実家に戻ってみるという選択肢もあります。

また、これまで関わったことがないコミュニティに顔を出してみたり、しばらく一人の時間をとってみたりするというのも環境を変える一つの方法です。(162ページより)

そこが自分にとって大切な場所だと思っていたとしても、苦しくなってしまうのであれば一度離れてみるべきだという発想。離れることは、相手はその環境を否定することでも嫌いになることでもなく、ただ距離感や関係性が変わるというだけ。

環境を変え、感情をこれまでとは違った形で扱えるようになれば、内面も整っていくということです。(160ページより)

「それもいいね」で世界を広げる

自分の知らない価値観や考え方と出会ったとき、自分にとってそれらは害のあるものであるかどうかを、人は瞬時に判断するものです。

害があると思った場合は、できるだけそれらと関わらないように接触を避け、害がないと感じたなら、様子を見ながら接触し、自分にとって有益な情報がないかを確認するため、より詳しくそれらの情報を得ようとするわけです。

その結果、自分にとって有益で信頼に値する情報(多くの場合、自分との共通点)を見つけることができると、そこでやっと心を開き、次は自分の情報を相手に伝えて交流をはかっていくことになります。それが初対面の人間の基本的なコミュニケーションだということですが、著者いわく、ここで多くの人がもったいない経験をしているのだとか。

それは何かというと、「過去の経験から判断してしまい、本当は自分にとって有益な情報や考え方なのに、害があるor有益ではないと判断する」ことです。

基本的に、人の本能は知らないことに対して拒否反応を起こします。なぜなら、本能は「自分が知っている世界が一番安心で、自分が知らない世界は危険な場所だ」と思い込んでいるからです。(167ページより)

ところが、そういった本能の働きに従うと、いつまでたっても世界は広がらず、狭い世界のなかで生きていくことになってしまいます。本当に安心したいなら、自分が知っている世界を広げ、知らなかった価値観や違う考え方を吸収していくほうが効果的であるわけです。とはいえ、知らない世界を受け入れていくことに抵抗を感じる方もいらっしゃるでしょう。

そのときに使えるのが、「それもいいね」という言葉です。

「私の考え方もいいけど、あなたの考え方もいいね」という自分の世界も相手の世界も大切にできる言葉なのです。(167ページより)

感情に左右されるのではなく、いったん冷静になり、自分のフラットな気持ちから、自分の立ち振る舞いを考えてみるということ。そして大切なのは、自分の気持ちに素直になることだと著者は述べています。(166ページより)

ネガティブ感情に振り回されなくなれば、感情の力を使ってよりよい人生を歩めるようになるはず。本書を参考にしながら、そんな自分を目指してみるべきかもしれません。

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Source: 光文社