中学生の我が子が同級生のいじめを目撃したら、毅然とした態度で「そんなことをするのは良くないよ」と言える子であってほしいと思いますよね。
でも、中学生は帰属願望と仲間からのプレッシャーを人生で一番強く感じる年頃です。
ライターのジェニファー・アンダーウッドさんの娘は、そうしたストレスが原因で、近所の店でキャンディを万引きしてしまいました。
アンダーウッドさんはマインドセットと啓発のコーチの立場から、「状況は特に深刻ではありませんでしたが、境界線、人間としての誠実さ、個人の責任について、娘と話し合う絶好の機会になりました」とThe Washington Postに書いています。
周りに流されない自分になるために
とはいえ、話の仕方を工夫しないと、子どもは右から左に聞き流してしまうかもしれません。
そこで、アンダーウッドさんは娘に川の中にある「大きな岩」になる方法を教えることにしました。
「川岸に立って、小さな小石を投げ込むところを想像してみてちょうだい。
その小石は投げた場所にそのまま留まるかしら? それとも川の流れに乗って川下に流れていくのかしら?
川の中を歩いて小石があるところまで行ったら、あなたは足で小石の場所を変える? 小石を蹴り上げて動かす? 川と岩のどちらが強いと思う?」
娘は、ほとんどの子どもと同じように「川」と答えました。
「小石に比べれば、川のほうが強いわね。でも、もう一度川を見てちょうだい。泥に埋もれながらも水から突き出ている大きな岩があるのが見える? 水はそういう岩を動かしている?」
「ううん。水は岩のまわりを流れていくだけ。岩は全然動かないよ。だって岩は大きすぎるから」
キャンディ万引き事件の数カ月後、中学校ではまた別の人間関係のドラマが発生したので、アンダーウッドさんはどんな影響やプレッシャーを前にしても泰然としているべきだということを、この比喩を使って娘に話しました。
川の流れを受けても大きな岩は微動だにしないのに対して、小石は仲間からのプレッシャーに負けて流されてしまいます。
すぐには変われない。でも、徐々には変われる
私はアンダーウッドさんのこのたとえ話が気に入っています。正しい行ないをすることで、どのように強くなれるか、子どもは視覚化できるからです。
娘はいつも正しい道を選ぶわけではないでしょう。常に正しい選択をするわけでもないはずです。
でも、違いを理解して、自分には選択肢があるとわかっています。
それがわかっていることが娘の力になり、そこから自信と境界を育んでいけるでしょう。
これまで周囲の影響を受けやすかった子が一夜にして毅然とした態度で自立できるわけではありません。
でも、小石から中ぐらいの石になり、徐々に大きな岩へと変化していけるでしょう。
──2019年4月12日公開記事を再編集して再掲しています。
訳:春野ユリ
Source: The Washington Post