新しい恋人や新しい友人に対して、信用できないと思う人は、もしかすると、捨てられる恐怖があるのかもしれません。
「見捨てられる恐怖とは、親しい人が自分から離れていくかもしれないという、すべてを飲み込むような恐怖です」と、精神科専門医のNereida Gonzalez-Berrios医師は語ります。
周りの人が去ってしまうのではないか、一人取り残されてしまうのではないか、社会構造の中で孤立してしまうのではないかと、常に不安を抱えている状態です。
また、見捨てられる恐怖は、不安や自己イメージの悪さ、無能感の象徴でもある、とGonzalez-Berrios医師は話します。
こうした状態は正式な恐怖症には分類されませんが、放置しておくと「不安が時間とともに悪化するようです」とGonzalez-Berrio医師は指摘します。
では、見捨てられる恐怖は何から生じ、どのような徴候があり、それに対して何ができるのでしょうか?
見捨てられる恐怖の原因
見捨てられる恐怖は多くの場合、他人を信頼できない、ある種の愛着トラウマに根ざしています。
「(見捨てられる恐怖が生じるのは)愛着を感じている相手、通常は幼児期の親ですがいつもそうだとは限りませんけれども、その相手に何らかの形で放棄されるときです」と認定専門カウンセラーのBrianna Sandersは言います。
物理的に見捨てられたり、感情的に無視されたり、そばにはいるけれども安全を脅かすような形で危害を及ぼしてきたり、あるいは突然亡くなったりすることもそうです。
こうしたことはすべて愛着トラウマの一種になり得ます。
こうしたトラウマになるような出来事をきっかけに、将来見捨てられることがあっても被害を最小限に抑えられるように神経系が書き換わるのです。
こうしたトラウマになるような出来事は、死や離婚によって親やパートナーを失ったり、信頼していた人から受けたある種の裏切りに苦しんだりすることから発展します。その結果、見捨てられることへの恐怖にが生まれてしまうのです。
見捨てられる恐怖はどのように表面化するのか?
見捨てられる恐怖は様々な形で表面化することがありますが、通常は人間関係における愛着とつながっています。
この恐怖は、一般的には3つある形のうちの1つとして現れるとSandersは言います。不安型愛着、回避型愛着、恐怖型愛着の3つです。
不安型愛着型
不安型愛着を持つ人は「愛着に関するニーズが満たされるようにすることに気を取られます」とSandersは説明します。
これは、相手がまだ自分を好きかどうかを常に確認し、相手のコミュニケーションのパターンが変化したり減ったりするとすぐに気づき、何が何でも相手が離れていかないようにすることが自分の責任であるかのように感じているように見える状態です。
このようなことをしないと、大きな不安を感じます。不安型愛着を持つ人の目標は親密さを維持することであり、それは親密さが安心(と同じこと)だからです。
回避型愛着型
回避型愛着を持つ人は「見捨てられる恐怖があるため、他人に愛情を感じることを避けます」とSandersは言います。
これは、親しいと感じ始めると人から距離を置き、自分をさらけ出すことを避け、物事を表面的なレベルにとどめ、特に恋愛関係ではスペースをたくさん必要とするように見える状態です。
回避型愛着を持つ人の目標は自立を維持することであり、それは自立が安心と同じことだからです。
恐怖型愛着型
恐怖型愛着を持つ人は「親密さを経験したいし自立も維持したいけれども、その両方を恐れています」とサンダースは話します。
通常、恐怖型愛着を持つ人の養育者は非常に予測のできない人だったために、このタイプの人は親密な関係の中で安心を感じることが難しいのですが、同時に親密な関係がないと不安になるのです。
自分の中にある見捨てられる恐怖をどのように軽減すればいいのか自分でもわかりません。このような人の行動は、外からは非常に混乱しているように見えるかもしれません。
Gonzalez-Berrios医師によると、見捨てられる恐怖の兆候にはその他に以下のものがあります。
- 知らない人とすぐにつながろうとする
- 注目を浴びようとする傾向がある
- 長期的で健全な人間関係を築けない
- 揚げ足を取り、非難する傾向がある
- 間違った行動の責任を一切取らない
- 一人にされると傷ついたり苦しいと感じたりする
- 誰であれ他の人が自分の愛する人と話すと嫉妬する
- 他人への信頼が欠如している
- 愛する人の行動に隠された意味を探る
- 感情のコントロールが欠如している
- 交際状況を常に疑っている
- パートナーや親、友人、子供を失うかもしれないという不安が常にある
見捨てられる恐怖に対処する方法
見捨てられる恐怖は通常、根深い不安や幼少期のトラウマから生じるため、Gonzalez-Berrios医師は、できればセラピストやカウンセラーの助けを借りて、自分のトラウマの根源を理解しようとすることが重要だと語ります。
「なぜ…苦しいと感じるのか、人が離れていったらどうなるのか」を考えてみることだ、とGonzalez-Berrios医師は言います。
最悪のシナリオを認識できれば、思い切って恐怖に立ち向かえるようになります。
Sandersは、自分が今していることが、かつて自分の安心を守ってくれていたことを認識することも重要だ、と言う。
自分が持つ防衛機制に対して感謝し、自分の中に安心感ができ始めたら防衛機構が自分から離れていくことを許してあげましょう。
考えてみたいエクササイズがもうひとつあります。自分の中の、怖いと感じている部分とつながるのです。
「今、自分が自分自身に対してどのように言葉をかけているかに気づきましょう」とSandersは言います。
それが、自分の現在のパターンと見捨てられる恐怖をどのように根付かせているかに気づきましょう。
それがどこから生じているのか、人が離れていったり自分を感情的に無視したりすることを恐れるようになったのは何才の時なのかに気づきましょう。
そして最後に、自分の中に安心感をつくり出すことが不可欠です。
「子供の頃に必要としていた、自分を見捨てない人の内なる声をつくり出しましょう」とサンダースは話します。
見捨てられる恐怖を感じた時はいつでも、その人になって自分に話しかけましょう。自分自身にしっかりと愛着を覚えることができるようになれば、見捨てられる恐怖は時間とともに着実に癒す(ことができます)。
Sandersによると、こうしたことをすべて行うのに最善の方法は、定期的に瞑想をすることです。
1日5分から始めて、1日15分まで増やせば良いのです。瞑想初心者であれば、誘導付きの瞑想を使うのは決して恥ずかしいことではありません。むしろ私は推奨しています。
Source: Mind