投資で失敗したくない──誰もがそう考えることでしょう。しかし、リスクのない人生はないことと同様に、リスクのない投資は存在しません。

未来を見通す投資思考」特集では、本格的に投資をはじめる前に知っておきたい投資の基本原則から思考法、現在の最新トレンドや最先端のテクノロジー投資、FIREを実現したエピソードなども交えて、「未来を見通す」投資をするために必要なことをお伝えします。

今回ご紹介するのは、資産を築き上げて早期退職をする「FIRE」よりも現実的で、ビジネスパーソンにとっては等身大と言える「FIRE」のかたち。お話を聞いたのは、前編にもご登場いただいた「ゆるFIRE」生活を謳歌するちーさんです。

自身いわく「ゆるFIREは、人より少し努力すれば何歳からでも挑戦できる」とのこと。その「少しの努力」の部分を詳しく聞きました。ぜひ前編から読んでみてください。

▼前編はこちら

元OLが資産3000万円で「ゆるFIRE」。不労所得を得て仕事も楽しむ | ライフハッカー[日本版]

元OLが資産3000万円で「ゆるFIRE」。不労所得を得て仕事も楽しむ | ライフハッカー[日本版]

人より少し努力をすれば、何歳からでも挑戦できる

億万長者になりたいわけじゃない。仕事をしたくないわけでもない。ただ、今よりもうちょっとゆるく働けたらいいのに…」。そんな思いで始まった、のちに「ゆるFIRE」につながるちーさんの投資生活。

100万円を元手に投資を始めたのが二十歳のとき。失敗しながらも少しずつ資産を増やしていたところに、リーマンショックで資産は60%も目減り。いったんは心が折れて、売りも買いもしない完全放置をするも、がむしゃらに働いて貯めたお金もあわせて投資を再スタート。33歳のときに3000万円の資産形成を達成。現在は「ゆるFIRE」生活も4年目に入ったそうです。

そこで気になるのは、ちーさんがどうやって資産を形成したかということ。ちーさんはSNSなどで「稼ぐ、貯める、増やす」の掛け合わせの大切さを説いています。

冒頭で「ゆるFIREは、人より少し努力すれば何歳からでも挑戦できる」というちーさんの言葉を紹介しましたが、この「少しの努力」とは、どれかひとつに集中するのではなく「稼ぐ・貯める・増やす」のすべてに取り組むことなのだそうです。

どうでしょう。ちょっとやってみたいなと思いませんか?

ゆるFIREを目指すための下準備

と、ゆるFIREを目指すその前に、準備しておきたいことが2つあります。

<1. 資産形成の目標金額を設定する>

まず考えておきたいのが、いくらあれば「ゆるFIRE」ができるのかということ。資産を頼りに生活していくのがFIREなので、資産が生む不労所得とかかる生活費との関係は、しっかりと把握しておかなければいけません。

完全FIREの場合、年間の生活費を投資元本の4%以内におさえられれば、資産を減らさずに暮らしていけるとされています。

ただ、長寿大国の日本では、長生きすることでかかる生活費も考慮しなければいけません。

さらに、世界恐慌やリーマンショックぐらいの暴落が起こって、資産が半分まで目減りしてしまった場合、生活のために築いた資産を取り崩さなければいけなくなるかもしれません。そうなれば、「ゆるFIRE」の継続はあきらめて、再び就職するなどの道を検討する必要も出てきます。

そこでちーさんが実践しているのが「2.5%ルール」。生活費を「不労所得で半分、仕事による収入で半分」でまかなうちーさんの場合、年間の生活費150万円の半分、つまり75万円(税引後)÷2.5%=3000万円の資産をキープできれば2.5%ルールはクリアすることになります。

一度、自身が年間どのぐらいのお金を使っているか、どのぐらいまで減らせそうか、そして2.5%ルールに則ると資産はどのぐらい必要なのかを計算してみましょう。

<2. 投資には回さない「生活防衛費」をつくる>

投資には「資本」が必要です。だからといって、持ち金のすべてを投資に注ぎ込むことはあまりにリスクが高すぎます。

そこでちーさんが勧めているのは、万が一の事態に備える「生活防衛費」として、ある程度のお金は普通預金に残しておくこと。

どのぐらい残しておきたいかは人それぞれですが、私は100万円あれば十分だと思っています。大切なのは生活防衛費は絶対に投資に回さないこと。切り離して考えてください。

貯金ゼロという人でも、「2年間、本気で取り組めば100万円は貯められるはず」とちーさん。まず100万円を貯めなきゃ…という人は、著書『ゆるFIRE 億万長者になりたいわけじゃない私たちの投資生活』に年収や出費に応じたタイプ別のロードマップが載っているのでぜひ参考にしてください。

1. 稼ぐ=本業・副業

ここからようやく、ゆるFIRE生活へ近づく「稼ぐ×貯める×増やす」の掛け合わせの話です。まずは「稼ぐ」について。

収入が増えるということは、そのぶん投資に回せる資金が増えるということ。副業や転職などで収入アップが見込めそうなら、考えてみる価値はありそうです。

また、自分への投資も「稼ぐ」の1つと考えていいとちーさん。

たとえば「ゆるFIRE」をしてパン屋を開きたいという夢があるとします。パンづくりを習ったり物件や市場をリサーチしたりするなど、将来の収入につながることへの投資は、ゆるFIREの前にも行なっておくといいと思います。

2. 貯める=ミニマルライフ

Image:Shutterstock

「余った生活費を貯める」というぐらいの甘いスタンスでは、たとえ「ゆるFIRE」であっても実現は無理かもしれません。なぜなら、投資の元手が小さいと、その恩恵を受けにくいからです。元手が大きければ大きいほどリターンもアップするので、積極的に貯蓄をして投資に回したほうが効率的です。

ちーさんが勧めているのは「貯蓄率50%」。貯蓄率60〜70%が推奨される「完全FIRE」に比べれば「50%なら、きっとがんばれます」とちーさん。

「ムダ遣いをしない、節約する」は、きほんのき。さらに「ミニマルライフを楽しんでみては?」とちーさんは自身の経験を踏まえて話します。

もともとちーさんは海外旅行が大好きで、美容にもお金をかけ、学生時代はバイト代を物欲のままに散財していたそうです。しかし、資産をつくろうと決めてから心がけたのがミニマルライフ。ムダを省き、合理的で機能的に生活をすることをいいます。

ミニマルライフを意識することで、住まいと同時に思考も整理され、暮らすことが楽しくなります。また、そう感じるころには投資もおもしろくなっていて、もっとお金を回したくなる。そして生活はもっとミニマルになっていく…。そうやって好循環が生まれると、貯蓄率50%も難なくできると思います。

ただし、人生を楽しめないような過度の節約はNG。自分にとって優先順位が高い、もしくは満足度が高いものには、ちゃんと出費する。そんな「いいお金の使い方」ならあきらめる必要はないとちーさんは著書にも書いています。

また、「稼ぐ」が苦手、もしくはできない状況なら「貯める」に重きを置いて、「貯める」が難しい状況なら「稼ぐ」ほうに注力する、というように上手にバランスを取って、投資の軍資金を増やしていくといいそうです。

3. 増やす=投資

前編でも紹介しましたが、資産形成を成功させる第一歩は「円は安全で、リスクが一番低いのは貯金」という思い込みを捨てること。円を手放したほうがいいというのではなく、分散して投資することがリスク回避の一策となるそうです。

長年、投資の経験を重ねたちーさんがブログや著書などで勧めているのは「インデックス型の投資信託」。ちーさんは「個人投資家でも確実に増やせる最強の方法」と結論づけています。

相場を読む力があるなら自分の裁量で売買すればいいですが、そうでないなら自動で淡々と積み立てていくほうがおすすめ。投資を始めたころにインデックス型の投資信託があったら、私の資産はもっと大きくなっていたと思います(笑)。

ちーさんが一攫千金を狙って個別株に手を出していたころは、株価が気になって仕事も手につかなくなり、売った途端に上がったり、買った途端に下がったりするといった感覚にイライラしてしまっていたそうです。

それに比べたら、インデックス型の投資信託は指標に連動するので資金規模も関係ありませんし、プロに任せてある安心感があります。私は個別株への投資をやめて、投資信託の積み立てへとほぼ移行しました。

あなどれない「ポイ活」。ポイント投資なら気軽に試せる

しかし、いくらマネー術の成功者であるちーさんに「100万円の生活防衛費以外の貯蓄は、投資に回してみていい」と言われても、不安を感じるのは仕方がないこと。

「投資にはいろんな方法があるので調べてみるのもいいですし、100円以上1円単位といった少額で買える投資信託も始めやすいと思いますよ」とちーさん。

たしかに実際に投資を経験してみなければわからないこともあります。株や経済の仕組みにも関心が持てるようになるでしょう。

「まずは生活防衛費を貯めなくちゃ」という人は、携帯電話料金や買い物で集めたポイントで投資をしてみるのもおすすめだそうです。

また、あなどれないのが「ポイ活」。スーパーやコンビニ、ショッピングサイトなどで得るポイントもバカにせずに貯めれば“チリツモ”です。

ちーさんは、銀行、証券会社、スマホなど、日常生活に必要なあらゆるサービスを楽天グループに統一した「楽天経済圏」にいることを公言しています。

買い物なども楽天のポイントアップ期間を上手に活用して、月に約1万円分のポイントを得ています。たかが1万円と思うかもしれませんが、1万円の不労所得は400万円ほどの資本がなければ得られない額。投資を始めると、そんなお金のありがたみにも気づけるようになります。

お金は最高の精神安定剤。きちんと考える機会を

33歳で3000万円を達成し、「ゆるFIRE」を始めて4年目。現在は6000万円を突破し、お金がお金を稼ぐ仕組みは完成。そんなノウハウを、ちーさんは手の内を隠すことなくSNSで発信し続けています。その原動力は「自分と同じ失敗をしてほしくない」という思いから。

私が投資を始めたころは、とにかく情報がなかったし、あったとしてもちょっと怪しいかなというものばかりだったんです(笑)。それでも「これなら」というものを探して信じて、勉強させてもらいました。

それなりに失敗もしてきたので、これから始めるという人や迷っている人が、同じような失敗をしない近道を共有できたらと思っています。

生き方、働き方の価値観は人によって大きく異なりますが、その最たるものがお金の価値観と言えるかもしれません。

お金のプランを立てることで、どう生きたいか、どう働いていきたいかを考えるきっかけになります。貯蓄や投資の目的が「ゆるFIRE」じゃなくてもいいですし、今のマネープランが合わないと思ったら見直せばいい。

ただ、お金は自分の心を安心・安定させてくれる精神安定剤になることを、多くの人に実感してほしいと思います。

ちーさん流「ゆるFIRE」術まとめ

1. 「貯金が一番安心」という思い込みを捨てよう。

2. 投資を始めるなら早ければ早いほど、長ければ長いほどいい。

3. 投資には回さない「生活防衛費」をつくろう。

4. 資産を目減させないために「2.5%ルール」をクリアしよう。

5. 「稼ぐ、貯める、増やす」のすべてに取り組もう。

6. 資産をつくることで、自分の人生に選択肢を増やそう。

ちーさん

ちーさん

平凡なOLがセミリタイアを実現。そんな自身の経験や資産形成の歩みをつづったブログ「アラサーdeリタイア」管理人。30代前半で3000万円の資産形成に成功し、2018年末からは生活費の半分を投資資金から出る利益でまかない、残りの半分をSNSなどの事業収入でまかなうサイドFIRE生活を送る。現在、個人総資産額は6000万円を突破。資産形成のノウハウをまとめた著書『ゆるFIRE 億万長者になりたいわけじゃない私たちの投資生活』(かんき出版)は重版を繰り返すほどの反響を集めている。ブログYouTube