円安が加速。為替に関するニュースが増え、儲かりそうだと気になっている人も増えているのではないでしょうか。一方で、円安・円高の理屈は知っているものの、自分の生活への影響を具体的にイメージできない方は案外多いかもしれません。
そこで初心者でも円安を活かして為替で儲けることは可能なのか?お話ししていきます。
個人投資家は、買った時より円安になれば得する
円安・円高は、どちらがいいとは一概に言えません。ただし、ドル建ての米国株式や外貨預金など、海外資産に投資している人に限れば、買ったときより円安になった方が得になります。外国資産を円ベースに換算したとき、為替の値上がり分の利益が増えるから。
投資において、通貨で儲ける方法はこの2つ。
・価格差:円高のときに買って、円安のときに売る
・金利:金利収入を得る
つまり購入時より円高になったとしても、必ず損をするわけではなく、金利収入でトータルがプラスになることもあります。
長期投資に向いている為替の運用方法と注意点
為替相場はプロでも勝つのが難しい、厳しい世界。投資初心者は短期で大きく儲けようとせず、積立投資を利用し、長期目線で利益を狙うのがよいでしょう。今回は2つの方法を紹介します。
1. 外貨を保有する|外貨積立や外貨預金など
まず、外貨積立や外貨預金などを利用し、外貨を保有する方法。執筆時現在、日本は低金利政策をしており、円にはほとんど金利が付きません。一方で外貨の中には、円と比較して高い金利がつくものも。つまり、外貨を保有することで金利収入が期待できるのです。
2. 海外資産に投資する|投資信託など
次に、投資信託などを利用し、外国株式や外国債券といった海外資産に投資する方法です。為替だけでなく、株や債券からの利益も期待できるため、外貨預金よりも高い利回りを期待できます。ただし、円安で為替収入はプラスでも、投資先の収益がマイナスになれば、トータルでマイナスになる可能はあります。
たとえば、ドルは世界の基軸通貨。価値が大暴落するとは考えにくいため、保有を検討している方も多いでしょう。米ドルの外貨普通預金の金利は、ネット銀行で約0.01%~0.5%、大手銀行で約0.010%。
一方で、ポートフォリオの約50%をドル建ての米国債券に投資している外国債券のインデックスファンド(※)は、最終利回りが約2%です。ドル建ての定期預金と比較して、高い利回りが期待できることが分かるでしょう。
なお、執筆時現在、アメリカは0.75%の大幅な利上げを決定し、世界の中央銀行も利上げを行なっており注視が必要です。こうした金利上昇局面では逆相関の関係にある債券価格は下がります。つまり金利上昇が得になるとは必ずしも言えません。
※FTSE 世界国債インデックス(ヘッジ無、円ベース)をベンチマークとするファンド。パフォーマンスは2022年5月時点のもの
投資信託を購入する際には、為替ヘッジの有無を確認してください。為替ヘッジとは、為替変動リスクを抑制する仕組みです。為替ヘッジがついている商品は、円高のとき価格が下がりにくい一方で、円安のとき利益を得にくいという特徴があります。
どちらの方法も手数料と税金が掛かかります。金利は変動すること、外貨投資は元本割れの可能性があることも知っておきましょう。
高金利通貨は、初心者には不向き
ブラジルレアル、トルコリラ、アフリカランドは高金利である一方、値動きが激しいという特徴があります。高金利は魅力的ですが、投資初心者には不向き、手を出さないのが無難です。
外貨はじめるなら長期投資から検討を
円安と円高、どちらにもメリット・デメリットはあるものの、米国株式など海外資産を保有している方にとっては、円ベースでの利益が増えるため、円安が得です。外貨に興味を持った方は、まずは長期投資を検討してみてください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではありません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行なってください。
Source: 野村證券