日本を代表とするアーティストとして世界的な活躍をみせる書家・紫舟さん。「書」を絵や彫刻、メディアアートへと昇華させた作品は、国内外で高く評価されています。

幼少期、さまざまな習い事をするなかで、唯一続けられたのが書道。しかし書の道で生きていこうと決めたのは、意外にも社会人経験を経てからだったとか。

書家として人生を歩むこととなった経緯や、自身を成長させるためのルーティン、そして自身の表現に欠かせないツールについてお話を聞きました。

書道を楽しいと感じたことは一度もなかった

「6歳から続けていた書の道で、芸術家として国内外から高い評価を得るまでに──」

そんな紫舟さんの経歴は、天賦の才を欲しいままにして順風満帆に道を築いてきたのだろうと想像させますが、「私には才能はなかったし、書道を楽しい、好きと思ったことは一度もなかった」と紫舟さん。

努力を続けても才能とセンスを見いだせず、大学進学を機に書くことをやめてしまったそうです。

大学卒業後、周囲に流されて一度は企業に就職するも「自分が生涯をかけてまっとうすることはなんだろう」と自問して退職。「流されるように生きてきた人生に、ここで一度ストップをかけ、本当に自分がやりたいことは何かを考え直そう」と下した決断こそが、書家の道へとつながりました。

子どものころから、自分の気持ちに蓋をして生きてきてしまったんです。ですから、自分が何が好きか、自分がどうしたいかがわからなかった。自問するだけの日々を過ごし、前の見えない曇りガラスがようやく晴れてきたのは3カ月が経ったころですね。

生涯をかけてまっとうしようと決めたのは、才能やセンスがないと一度はやめてしまった書の道でした。

いくつ習い事をしても続かなかったのに、書道だけは子どものことから「自分の自信の礎となるから手放してはいけない」と感じていたことを思い出したのだそうです。

誰にでも平等に、活躍の機会は与えられている

しかし、書家を名乗ったところですぐに生活できるわけではありません。やっと開いた個展で酷評を浴びたことは、1度や2度ではないそうです。

うまくいかないことばかりでした。もともと書道での成功体験はありませんでしたから、底辺から上がってきましたので、厳しい日々も大したことではなかったですね。個展でも「今日は1人しか来場者がなかったけれど、昨日はゼロだったから、良くなっている!」、 そんなふうに思いながら、今まで活動を続けてきました。

PCなどのテクノロジーのおかげで、誰もがクリエイターになれる時代。そんななか、創作環境に制限があり、発表の場を持たない若手のクリエイターを支援する動きも出ています。

紫舟さんが駆け出しだったころのことを聞いてみると…。

どうして自分たちにはチャンスが巡ってこないんだろうと、同世代の仲間と夜な夜な集っては、誰かのせいだと文句ばかり言っていました。

でも実際は、誰にでも平等にチャンスは与えられていたんだと思います。それに気づけなかった。チャンスが来たのに怖気づいて逃げたり、手を伸ばしてみても準備が整っていなくて届かなかったり、捕まえたのにつかむ力がなくて手から落としたり。

それをくりかえしていたんだなって、今になってわかりますね。

チャンスの波に乗り遅れないために、磨きたい2つのこと

せっかく訪れたチャンスを見逃さないようにするためにはどうすればいいのでしょうか。若きクリエイターだけでなく、自分らしく働きたいビジネスパーソンとしても、紫舟さんのアドバイスは気になるところです。

まず1つ目は「洞察力を身につけること」と紫舟さん。

私たちは、常にバイアスがかかった目や思考で物事を捉えています。これまでの経験や誰かに言われた言葉、本で読んだ知識などによって、物事はそういうものだと決めてつけてしまいがち。

もちろんそれが身を助けることもあるけれど、常識や制約やルールが、正しい判断の妨げになることもあります。自分の心で物事を正しく観る訓練も大切かもしれません。

そしてもう1つは「自分自身とコミュニケーションを取ること」。自分はどう生きたいか、どうすれば幸せな気持ちでいられるのかを察し、できるだけそれを叶えてあげること。

私は長く自分の気持ちに蓋をしながら生きてきました。

自分の内側からあふれる想いと、蓋をした自分とのズレは、はじめは小さいものかもしれませんが、それを繰り返すと大きなズレとなってしまい、自分に何を問えど、本当の自分がわからなくなるほどです。

自分は何をして生きていきたいか、自分の内側と信頼関係を築くためのコミュニケーションを取り続ければ、心の声はその答えを教えてくれ、本当の自分の生き方に気づけることもあります。

そうすれば、人生の波にも上手に乗れると思います。

自らの才能を引き上げるために

紫舟さんが自身の才能を磨き、ベストなコンディションで制作を行なうために続けているのは、規則正しい生活。ルーティンというと寝る前や起きたあとといった、短い時間で行なえるものをイメージしますが、「同じ生活を毎日続ける」というのが紫舟さん流。

朝起きて、散歩をし、朝と夜はお風呂に入って、夜は22時までに寝る。筆を握らない時間であっても、書家としての成長を考えながら過ごしています

またここ数年、仏教にまつわる書や絵の題材にするなかで、仏教について学び、菜食を中心にした食事から導き出される精神性の整う感覚を知りましたので、食事もコントロールしています。

また、道具についても、紫舟さんならではのこだわりがあるそうです。選ぶのは「扱いが最も難しい筆」。道具は、人が作業しやすいように工夫してつくられていますし、文具についても私たちは書きやすさや使いやすさを重視して手にとるはず。

熟練した技術があれば、どんな道具を使ってもそれなりに上手に書けてしまいます。しかし、小手先で書いた文字は人の心に響きません。逆に、圧倒的な集中力のもとでつくられた作品には力が宿り、人の心に届く気がします。

扱いが難しい筆を選ぶのは、常に高い集中のもとで制作をするためです。道具は人を育ててくれる、そう信じています。

繊細な色使いも、美しく再現してくれる

道具といえば、ここ数年、さまざまなテクノロジーとコラボレーションしている紫舟さんにとって欠かせないのがノートPC

紫舟さんは、メールやオンラインミーティングはもちろん、「Adobe Photoshop」で作品の下絵を描くときなどにもノートPCを活用しているそうです。

理想のノートPCの条件は、一番に「軽さ」。そして出先にはいつも持ち歩くため、バッテリーの持ちも気になるそう。

そこで今回「新しいもの好き」を自称する紫舟さんに試してもらったのが「HP Spectre x360 14-ea」。HPの最高傑作(マスターピース)と名高い最新機種です。

紫舟さんをまず驚かせたのは、画像の美しさ。紫舟さんが描く色使いの繊細な絵画も、美しく再現されています。

アスペクト比3:2を採用した大きめのディスプレイが特徴で、ディスプレイは360°回転するのでタブレットのように使用することが可能。また、映画や動画の視聴が大好きと話す紫舟さんには、タブレットモードからヒンジの反対側を広げて自立させる「テントモード」も便利です。

開いたときに、グラフィックの美しさに驚きました。また、オンライン上の自分の作品をPCで説明することもあるので、タブレットのように2 in 1で使えるのはいいですね。

サウンドシステムは「Bang&Olufsen」。また、ペンが付属しているので、創作のインスピレーションをすぐに書きとめられるのもいい、と紫舟さん。

紙のメモは書いたらすぐ捨ててしまうんですよね。残しておきたいなと思ってタブレットを買ったのですが、ノートPCとタブレットを持ち歩くことはしません。1台で両方を兼ねてくれるのはすごくうれしいです。

撮影中、カメラが回っていないときも、タブレットモードの画面にスラスラと文字を書く手が止まらない紫舟さん(写真提供/紫舟アトリエ)
撮影中、カメラが回っていないときも、タブレットモードの画面にスラスラと文字を書く手が止まらない紫舟さん(写真提供/紫舟アトリエ)

ペンはもちろんPC内蔵で充電もできるので、忘れたり充電が切れたりといった心配も不要です。

アーティストの表現を、より自由にするノートPC

これらの機能を実現させたのは、「HP Spectre x360 14-ea」が「インテル® Evo™ プラットフォーム」準拠PCだからなのです。

「インテル® Evo™ プラットフォーム」とは、インテルのハイスペックCPUであるインテル® Core™ i5 プロセッサー以上を搭載し、ユーザーがより上質で快適な体験ができる仕組みのこと。

本体に貼られた青いバッジは、「軽さ」「薄さ」「速さ」などのいくつもの厳しい条件をクリアしたノートPCにだけ与えられる、「インテル® Evo™ プラットフォーム」準拠PCであることの証。

紫舟さんが理想のPCの条件に挙げていたバッテリーの持ちに関して言えば、ACアダプターを外した状態でも高パフォーマンスのまま9時間以上もバッテリーが持ち、30分の充電で4時間以上の駆動が可能なことも「インテル® Evo™ プラットフォーム」準拠の条件のひとつ。

1秒未満でスリープ状態から復帰する」というのも、インスピレーションをすぐにメモしたい紫舟さんにとってはうれしい条件です。

また、高速通信規格Wi-Fi 6(Gig+)Thunderbolt™ 4といった高速伝送を実現する最新規格も「インテル® Evo™ プラットフォーム」準拠PCの条件で、標準的なWi-Fiと比較すると、インターネット接続が3倍近く高速化。外出先などで複数のデバイスが接続した環境下でも、安定した高画質動画の再生やダウンロード時間の短縮が実現します。

筆は扱いにくいものを選びますが、ノートPCは快適に使えるほうがいいですね(笑)。

デジタルアートにも挑戦し、2022年3月には初めてのNFT作品を発表したことで話題になった紫舟さん。インテル® Evo™ プラットフォーム」準拠PCは、紫舟さんのようなアーティストの表現を、より自由にしてくれるに違いありません。

紫舟(ししゅう)

書家、芸術家、大阪芸術大学教授。大学卒業後、アパレル関連企業を経て、書家として人生を歩むことを決意。日本の伝統文化である「書」を、紙の上だけではなく、絵画、彫刻、メディアアートなどの形で表現する。国内はもとより、フランス、イタリアなどでも受賞歴多数。2015年にはフランス・ルーヴル美術館地下会場でのフランス国民美術協会展にて「主賓招待アーティスト」に選出。大規模展を開催するのは日本人としては横山大観以来の快挙となり、話題を集めた。

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撮影: YUKO CHIBA、ヘアメイク: 望月香織、衣装協力: SUGAR MATRIX

Source: hp, Intel