『勉強が面白くなる瞬間 読んだらすぐ勉強したくなる究極の勉強法』(パク・ソンヒョク 著、吉川 南 訳、ダイヤモンド社)は、ごく単純な真理を紹介する本なのだそうです。
勉強は「頭」でするものでなく「心」でするものです。つまり、勉強で驚くような奇跡を起こそうと思うなら、常に自分の心を見つめる必要があるのです。勉強したくてたまらなくなれば、人から言われなくても、自分から「勉強の面白さ」にどっぷりと漬かるのは当たり前のことです。(「プロローグ」より)
周囲を山で囲まれた田舎町で勉強していたという著者は、この真理に気づいてから人生が大きく変わったのだと振り返っています。
勉強する「理由」と勉強の「意味」だけにこだわって深めた結果、勉強がおもしろくなったのだと。つまり、ノウハウや特別な奥の手などなくとも、心さえあればよかったということです。
そこで本書では、「どうやって」勉強するのかではなく、「なぜ」勉強するのかについてお話ししようと思います。実際、「なぜ」勉強するのかさえ分かれば、「どうやって」勉強するのかの答えは自然に見つかるのです。(「プロローグ」より)
きょうはPART 4「人生で最高に勉強に適した日は今日である」内の、「不平不満をなくす3つの心構え」に焦点を当ててみましょう。
ここで強調されているのは、「勉強は『条件』ではなく『心』でするものだ」という考え方。「なにかが足りない」と思うとき、人はもっと自分の気持ちを整えるようになり、勉強もはかどるというのです。
1.「やったことがない」のと「できない」のは違う
挑戦するより前に、さまざまな浅知恵を絞って自分の人生を「シミュレーション」し、「ダメだ」とあきらめてしまうこと。それは金属に広がる「さび」のようなものだ。最初は取るに足らないような小さなさびだとしても、やがてさびのせいで物体の元の形も分からなくなってしまうのだ。
――チョン・ヨウル『あのとき知っておきたかったこと』から(225〜226ページより)
不平不満をいうのが癖になった人は、新しいことに挑戦するのをためらうもの。「一度もやったことがないから、やってもどうせできないだろう」と文句をつけたがるわけです。
しかし、やったことがないことを避けてばかりいたのでは、チャンスは永遠に巡ってこないでしょう。挑戦してこそ、できるようになるのですから。
このことについて著者は、「やったことがない」のと「できない」のは違うと主張しています。たしかに100回挑戦してもダメなら、「できない」と判断することができるかもしれません。しかし、問題は私たちが安易に「できない」と決めつけてしまいがちだということ。それでは、不平不満が消えなくても無理はないのです。
大切なのは、マイナス思考を追い払い、思い切って挑戦してみること。絶えず挑戦し続ける人は、“文句屋”になることはないわけです。(225ページより)
2.「正しい選択」も「誤った選択」も存在しない
すでに決定したことについて「ああしていればよかった」と愚痴をいってみたり、選択したことを変える勇気がないときに「あのとき別の道を選択していれば、まだマシだったかもしれない」と後ろ向きになってみたりーー。
いうまでもなく、そんなスタンスは無駄以外のなにものでもありません。
そもそも、暗く長いトンネルを通っていたとしても、それは選択の誤りのせいではないはず。
なぜなら、この世には絶対に正しい選択も、絶対に誤った選択も存在しないからです。あるのは、自分が下した決断を実直に貫き通す過程、すなわち「自分の選択が正しくなるようにする過程」のみ。
自分の選択に満足できず、不満を口にする時間があるのなら、その選択が正しくなるようにすればいいだけなのです。
世界の秘境を旅する旅行家、ハン・ビヤさんは、このように言っています。
「初めて訪れた場所の、険しい道の途中で迷ったときは、誰かに道を尋ねればいいのです。もし誰もいなければ、歩き回ればいいのです。大切なのは、自分の目的地を絶対に忘れないことです」(228ページより)
目標を忘れず「正しく努力」しさえすれば、すべての選択は正しいものになるのでしょう。(227ページより)
3.過ぎたことはすべてうまくいったことだ
私は神からもらった3つの恩恵のおかげで、大きく成長することができました。
まず、家がとても貧しく、幼いころから靴磨きや新聞配達などをして苦労したことです。
おかげで世の中で生きていくのに必要な経験を多く積むことができました。次に、生まれつき病弱で、いつも体を鍛えていたので、健康でいることができました。
最後に、小学校にも通えなかったので、全ての人を師と考えて接してきました。誰に対しても質問し、学ぶことを怠らなかったのです。
――松下幸之助、パナソニック創業者(228ページより)
著者がここで松下幸之助さんのことばを引用しているのは、「自分に起きたことは、すべてうまくいったこと」なのだということを伝えたいから。経験のすべては、「よい学び」として心に刻まれるわけです。
それらを経験しているときは、不快になったり、怒りを覚えたり、気分が悪かったりするかもしれません。しかし、だからといってそんな気持ちを引きずる必要はないのです。過ぎたことは、結果的にすべて「うまくいったこと」なのだから。苛立たしく、なにも得るものがなさそうな出来事でも、長い人生のなかでは価値のある養分になるのです。
心というのは、自分の気持ち次第で変わります。うまくいったと常に言い聞かせていれば、あなたの心は騙されたのを承知でそれを信じてくれるようになります。
「うまくいかない理由」を並べ立てることが癖になっている心に、「でも、うまくいくよ!」と語りかけましょう。(230ページより)
「うまくいく方法」にフォーカスすれば、「うまくいく方法」は必ず現れるものだということです。(228ページより)
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どんな人生を送るかは、すべて決意にかかっていると著者は断言しています。
勉強においてはなおさらで、自身がやってきた勉強は、すべて「『学ぶ』ことに特別なことはない。ただ失われた『心』を探すことだけだ」という決意に基づいていたのだとか。
この考え方に多少なりとも共感できるなら、本書は勉強するために大きく役立ってくれることでしょう。
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Source: ダイヤモンド社