コロナ禍3年目、ウクライナ侵攻、インフレ。まだまだ不安や懸念が拭えず、混沌とした思いを抱えている人もいるでしょう。

この現状で、少しでも幸せな気持ちを持つにはどうすればいいのでしょうか?

幸福度と「ルーティン」の意外な関係性が明らかに?

企業でもその思いを強くしているところがあるようです。

化粧品メーカーのポーラは、2021年4月に『ポーラ幸せ研究所』を創設。幸福度と実施ルーティンの数についての関連性を調査しました。

この調査の興味深い点は、特に男性の幸福とルーティンの関係にフォーカスした点。

これには、同研究所の創設に協力した前野隆司教授(ライフハッカーでもおなじみですね)が次のようにコメントしている現状が背景にあります。

「男性の幸福度向上は日本社会全体の課題であるといえます。

日本人男性の幸福度が低い要因は、勤務時間が長く余裕がない傾向にあることの影響などが考えられます」(前野教授)

2021年10月に行なわれたスクリーニング調査では、20〜69歳の男女それぞれ1万人を対象にルーティンと幸福度に関する15の質問を実施。

そして、その1万人の男性のうち、幸福度スコアの高い層と低い層それぞれ150人、合計300人の男性が本調査の対象になりました。

この調査では、ルーティンを以下の4つに定義。

(1)月2〜3回以上やること

(2)動作を伴う

(3)自分でやる(他人にやってもらうものではない)

(4)気軽にお金をかけずにできるもの

具体的な選択肢として挙げられたのは、以下の20項目です。

散歩・ウォーキング、ランニング、筋トレ・ジムでの運動、

ヨガ・ピラティス、ストレッチ、その他スポーツ、

ガーデニング・家庭菜園、森林浴など自然に触れる、

瞑想、 音楽を聴くこと、楽器を弾くこと、

香水などの香りをまとうこと、アロマをたく・アロマスプレー、

花を飾ること、 コーヒー・紅茶を淹れること、白湯を飲むこと、

サウナ、スキンケア、ハンド・ボディケア、メークアップ

それでは、その結果を見ていきましょう。

結果1:男女ともルーティンが多いほど幸福度が高い

実施ルーティン数別幸福度平均値の男女比較<br>クリックして画像を拡大
実施ルーティン数別幸福度平均値の男女比較
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Image: ポーラ

調査からは、男女ともルーティンが多いほど幸福度が高い結果が明らかに。ポーラは次のように考察しています。

ルーティン化できた、という小さな成功体験の積み重ねが幸福度の1つのポイントになることが示唆される。

これは私にも心当たりがあります。

ずっと「やらなければ」と思いつつなかなか実行できなかった筋トレを、ようやく週3回の宅トレ習慣にすることができたんです。

詳細はこちらの記事に譲りますが、確かに習慣化できたことには達成感や充実感があり、同時に心身の健康への良い影響も実感しています。

ワークアウトを習慣づけるのは「柔軟性」と「制限」のバランスだった | ライフハッカー[日本版]

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結果2:幸福度が高い男性は、セルフケア意識・行動が高い

幸福度スコア男女比較<br>クリックして画像を拡大
幸福度スコア男女比較
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Image: ポーラ

男女の幸福度スコアを比較したところ、スクリーニング調査では次の2点が浮かび上がってきました。

  • 高スコアの男性の割合は女性よりも低い。
  • 幸福度の高い男性たちは心身のケアを意識して行なっている。

つまり、セルフケア関連のルーティンをしている人のほうが幸福度が高いと言えそうなのです。

調査で行なわれたインタビューからは、幸福度の高い人は「毎日10分間だけランニングする」のような小さなルーティンを多く実践している特徴が見えてきたのだとか。

「ルーティン化」というハードルの高そうな表現に惑わされず、その時点で自分にできる「ちょっとしたこと」からはじめるのがコツのような気がします。

在宅勤務で生活リズムが崩れているなら、「毎晩11時前には寝る」「デンタルフロスを使う」などの基本中の基本に立ち返ったってOK。

調査には含まれていませんでしたが、これだって立派なセルフケアです。

1日5分の投資で最高のコスパ。デンタルフロスを習慣化しよう | ライフハッカー[日本版]

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結果3:幸福度が高い男性は記録を取っている

男性の幸福度高い層と低い層の、自分の記録をとっている人の割合<br>クリックして画像を拡大
男性の幸福度高い層と低い層の、自分の記録をとっている人の割合
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Image: ポーラ

幸福度が高い男性は、ルーティンの記録を取っている傾向があることも見えてきました。

体重や体脂肪、睡眠時間運動量などの記録を取ることで、変化が可視化されて達成感や自己肯定感の向上につながるとポーラでは考えています。

今では、スマートウォッチやデバイスで、記録のみならず分析も簡単にできるようになっていることも、デバイス好きな人が多い男性陣にとってプラスに働いているようです。

ルーティンと絡めて、気軽に思考整理や内省ができるアプリを利用するのも役立ちそうです。

思考整理・内省に! メモ帳感覚でつける、きままな日記アプリ「試行錯誤」【今日のライフハックツール】 | ライフハッカー[日本版]

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結果4:男性は女性よりルーティンが少ない

月2〜3回以上実施しているルーティンの数<br>クリックして画像を拡大
月2〜3回以上実施しているルーティンの数
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Image: ポーラ

ルーティン数については、男性の55%が3個以下だったことも判明しました。一方、女性は半数以上が6個以上のルーティンを持っており、かなり差があります。

これは、調査の実践ルーティンに、ガーデニングやアロマ、スキンケア、ハンド・ボディケア、メークアップなど、一般的に女性が行なう傾向が高いルーティンがいくつか含まれていたことも関係しているかもしれません。

ちなみに、私の一番身近にいる男性(夫)に聞いてみました。

調査に含まれていたルーティンは4つ。でも、本人いわく、「ヘアカットやイラスト描き(アプリで描く家族や友人向けの自家製絵文字のようなもの)も、自分にとってはセルフケアのルーティンだと思う」とのこと。

そうなんです、ヘアカットは月に2〜3回、鏡とにらめっこしながら自分でやっています(カット歴30年、上手です)。これらを行なっている時は集中しており、マインドフルネスの効果があるそうです。

幅広く考えてみると、調査対象のルーティン以外にも、ヒゲやムダ毛のお手入れ、靴磨き、ツールのメンテナンス、断捨離など、男性のルーティンはもっとあるのかもしれません。


少しずつ見えてきた、男性の幸福度とルーティンの意外な関係性。

後編では、ジェフ・ベゾスやビル・ゲイツなど世界で活躍する実業家たちが実践するルーティンのほか、調査結果から明らかになった「幸せにつながるルーティンの原則」をご紹介します。

▼後編を読む

ビル・ゲイツはどうしてる? 幸福度を上げる「セルフケア習慣」5カ条 | ライフハッカー[日本版]

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Source: ポーラ