1日のはじまりには、簡単にできる仕事から手を付けたい。そんな人が多いのではないでしょうか。夜のうちに届いたメールへの返信を書き上げ、ToDoリストの中で1番楽なタスクを処理し、「期限が来週のもの」もいくつか済ませてしまう、といった具合に。

なにしろ、1日のはじまりに簡単なタスクを片づければ、生産性に弾みがつき、その日を乗り切る勢いが得られそうですから。しかし、実際にはそうとは言いきれないようです。

2021年に心理学誌「Psychology」に発表された研究によると、1日のはじまりに簡単で期限に余裕のある仕事を片づける人は、「より難易度が高く、重要度も高い仕事」を先延ばししやすいのだとか。

つまり、弾みがつくのは、先延ばしする傾向だというわけです。簡単で期限に余裕のある仕事から先に手をつけていると、たとえ重要性が高くても、難しい仕事には本腰を入れて取り組もうとしなくなってしまいます。

これは、一種の「単純緊急性効果(mere urgency effect)」だと考えられます。単純緊急性効果とは、「客観的に見返りが大きく重要度が高いタスク」よりも、「重要度は低いが期限が近いタスクを優先させてしまう傾向です。

その理由は、実際にはそうでなくても、後者のほうが緊急性があったり、締め切りに間に合わないように感じてしまうため。

タスクを片付けるといい気分になりますが、そうした満足感を得られる1番の近道が簡単なタスクを片付けることなのです。

論文の中で、研究者は次のように述べています

簡単な仕事から取り掛かった人は、難しい仕事から取り掛かった人に比べて、先延ばしスコアが有意に高かった。これは簡単な仕事から取り掛かった人が、難しい仕事から取り掛かった人に比べて、より多くの先延ばしを行なったことを示す。

その一方で、期限が近い場合には、簡単な仕事から取り掛かった人と、難しい仕事から取り掛かった人とで、先延ばしに有意な差は見られなかった。

この最後の1文に注目してください。「期限が近い簡単な仕事から取り掛かれば、やる気が出て勢いがつくのです。1日のはじまりに午前10時までの企画書を完成させれば、気分がいいだけでなく、本当に意味のあることをしていると感じられます。

また、研究者は次のように述べています

難しい仕事から取り掛かることは、自己制御の高さと関連している。それに対して、簡単な仕事から取り掛かることは、自己制御の低さと関連している(ただし、期限が近い場合を除く)。

1日のはじまりに、「来週でもいい仕事」から取り掛かる人は、まだやらなくていい簡単な仕事ばかりを、そのままやり続けてしまう可能性がぐっと高くなります。

一方で1日のはじまりに、重要な仕事、あるいは、「期限の近い簡単な仕事」から取り掛かる人は、長期的な成功を収める上で重要なタスクに集中し続けられる可能性がぐっと高くなります。

こうした点を念頭に置いて、朝の予定を組み立てましょう。可能であれば、朝一番には、キャリアや人生に意味のある違いをもたらす重要な仕事に取り組んでください。そうすればおのずと、先延ばしへの誘惑が消えていきます。

米電気自動車メーカー「テスラ」の最高経営責任者(CEO)イーロン・マスクは、朝の最初の1時間を重要案件への対応に充て、「余計なノイズよりも、実際の信号」に集中し、「事態を改善に導かない物事」には時間を浪費しないのだとか。

米著名投資家のマーク・キューバンも、1日のはじまりには、厄介な問題から片づけるそうです。「ベッドで目が覚めたら、まずはスマートフォンを手に取り、メールを確認します」とキューバンは話しています。また、以下のようにも話しています。

ストレスの多い用件はすべて、朝のうちに片付けるようにしています。

それでも、やっぱり朝一番には簡単な仕事から手を付けたいという人は、簡単だけれど期限の近いものから取り掛かりましょう。近いというのは、日にち単位ではなく、時間単位のものです。

そのように簡単な(けれども時間的に差し迫った)仕事を片付けるようにすれば、処理すべき重要なタスクを先延ばしする可能性はぐっと減るでしょう。

なぜなら、「何をやるか」と「いつやるか」が、ともに重要だからです。

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Source: Scientific Research Publishing, YouTube(1, 2)

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