良質の睡眠は誰にとっても必要不可欠なもの。寝汗のせいで十分な休息がとれないとしたら苦しいことです。
夜中に寝返りを繰り返したあげく、汗だくで目覚めたことがある人なら、そのつらさがよくわかるでしょう。
真夏にフランネルのパジャマを着て寝たなら別ですが(それは明らかな選択ミス)、何を着て寝ても汗だくで目覚めるようなら、対策を考えなければなりません。
医療の専門家に相談すべきケースなのかもしれませんが、環境や生活習慣を見直すことで、涼しくて快適な睡眠を手に入れるチャンスはまだ残されているのです。
なぜ寝汗をかくのか?
「私たちの体は、老廃物を排出したり、熱がこもったときに体を冷やすために汗をかきます」と看護師でダイエットアプリ「Noom」のコーチでもあるChristina Graham氏は言っています。
汗の成分は99%が水分で、1%が塩分と脂肪です。私たちは、暑さを感じていないときでも、運動していないときでも、常に汗をかいています。熱くなると汗の量も増え、活動レベルや環境にもよりますが、1日あたり最大1クォートから数リットルの水分を失います。
しかし、なぜ夜中に汗をかきやすい人がいるのでしょうか?
「概日リズムが、私たちの睡眠と覚醒のサイクルを制御しています。就寝時間が近づくと、体温が下がりはじめ、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌が促されます」とGraham氏は話します。
深部体温は夜中の間は低下し、朝方、目覚めに向かってゆっくりと上昇します。深部体温が高いと、寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったり、睡眠の深い回復段階である徐波睡眠とレム睡眠の時間が遅くなったりします。
汗は大切で必要な生理機能ですが、寝汗をかくと眠りが浅くなり、睡眠の質も低下します。また、目覚めたときにパジャマやシーツがびしょ濡れだとしたら気分が悪いのは言うまでもありません。
以下に、寝汗をかく理由と、安眠を得るために体をクールダウンする方法を紹介します。
1. パジャマが原因かも
ポリエステルやフランネル、サテンなどのパジャマを着ていませんか?
こうした素材は熱がこもりやすくなります。
また、靴下を履いて寝ている場合は、靴下も熱がこもりやすいので脱ぐようにしましょう。
Graham氏は、綿やシルクなどの通気性の良い素材や、吸湿性の良いパジャマを勧めています。あるいは、裸で寝るのもよいでしょう。
2. 睡眠環境を見直す
これは当たり前のことかもしれませんが、部屋の温度、寝具や一緒に寝ている人などを見直し、睡眠環境を涼しく保つことが大切です。
「睡眠に理想的な周囲温度は華氏60~67度(摂氏15.6〜19.4度)という研究結果があります。エアコンを低めに設定し、寝室を涼しく保つと寝汗をかきずらくなります」とGraham氏は言っています。
部屋を暖かくして、心地よい寝具をそろえ、パートナーやペットと一緒に寝ると、深部体温が上昇します。その結果、睡眠に備えて体温を下げるために体が汗を分泌することがあります。
興味深いことに、暖かいシーツに潜り込むと、血液が温まり皮膚に送られるため、最初は深部体温が下がりやすくなるそう。
それでも、暖かい布団に長時間入っているうちに、体が温まりすぎて、不快な寝汗をかくことがあります。
涼しく過ごすには、綿素材のシーツや保温性の低い寝具を購入してください。
パートナーと一緒のベッドで寝ている場合は、それぞれに合った保温性の異なる布団を使うとよいでしょう。
ペットと一緒に寝ていて暑いと感じているなら、ペット用のベッドを買うか、寝室から締め出すことも考えたほうがいいかもしれません。
3. 夕食の時間を調整する
夜中に食べるパスタはおいしいですが、寝汗の原因になることがあります。
「就寝前2時間以内に大量の食事をすると、消化のためにエネルギーが消費され、体温が上昇します」とGraham氏。
食べた物を消化するのには2~3時間かかるので、食べ物による体温の上昇を避けるためには、最後の食事の後に、消化する時間を十分に確保する必要があります。
ですので、最後の食事は、就寝の3時間前までに済ませるのが理想です。
4. 夜遅くに運動しない
夜の遅い時間にランニングをするのが好きな人は、思ってる以上に汗をかいているかもしれません。
運動をすると体温が上昇し、寝汗をかきやすくなります」とGraham氏。「運動の後、体温が下がるまでに数時間はかかるので、運動するなら、朝かお昼、あるいは午後の時間帯がいいでしょう。
5. ホルモンの影響であることも
「更年期や閉経期の女性の場合は、エストロゲンの減少によって寝汗をかくことがあります」とGraham氏。
エストロゲンとプロゲステロンが体温調節に影響を与えますので、排卵前や排卵期間中にも同じことが起きる可能性があります。
医師に相談して、この現象が起きていないかどうかを確かめてから、室温を下げ、涼しいパジャマに変えて、就寝時のルーチンを調整してみてください。
6. 薬の副作用(または感染症)の可能性も
「特定の薬や健康状態が寝汗の原因になることがあります。寝汗をよくかき、環境を変えても改善しない場合は、医療機関に相談することが重要です」とGraham氏は言っています。
抗うつ剤、ホルモン療法、糖尿病の治療に使用される薬など、一般的な薬のなかでも、低血糖を引き起こす可能性があるものもあります。
発熱や寝汗は、インフルエンザやCOVID-19などの感染症のサインである可能性もあるので、そのほかの症状も見られる場合は注意してください。
「寝汗が続き、そのせいで睡眠が妨げられる、または発熱、体重減少、疲労、咳、胃腸の症状などが見られる場合は、医師の診察を受けてください」とGraham氏は言っています。
生活習慣や環境を変えても寝汗が解決しない場合は、医師に相談し、深刻な原因がないかどうか調べてもらいましょう。
Source: SLEEP FOUNDATION