ここ数年で、「同調圧力」という言葉が広く知られるようになりました。

念のため、辞書の説明を記すと、「集団において、少数意見を持つ人に対して、周囲の多くの人と同じように考え行動するよう、暗黙のうちに強制すること」(デジタル大辞林)だそうです。(「はじめに」より)

誰にも嫌われずに同調圧力をサラリとかわす方法』(大嶋信頼 著、祥伝社)の冒頭にはこう書かれています。

自身や周囲にあてはめてみた結果、「ああ、あれもそうかもしれない」と、思い当たることもあるのではないでしょうか?

たとえば職場に関していえば、「多数派の意見に押され、自分とは違う考えに流されてしまう」とか。

しかも現実問題として、同調圧力に対処するのはなかなか難しいものでもあります。そこで本書において著者は、心理カウンセラーとしての立場から、「同調圧力でしんどくならないための向き合い方」を、心理的なメカニズムに基づいてまとめているのです。

「同調圧力の正体」「同調圧力に弱い人の根底にあるもの」「同調圧力の捉え方を変える」などについて、なるべく専門用語を使わずに書きながら、私の体験やそれに基づく仮説も述べて、「同調圧力から抜け出せる自分」のつくり方を紹介します。

「同調圧力の正体」(「はじめに」より)

ポイントは、実体験が軸になっている点。著者自身、もともとは同調圧力に弱いタイプだったものの、自分が陥っている「同調圧力に弱い自分」の構造に気づけたことでしんどさを手放せたというのです。

そうしたバックグラウンドに基づく本書のChapter 4「どんな人でも『同調圧力』の沼は抜け出せる」のなかから、「『感情に溺れない』と決める」に注目してみましょう。

「軽蔑される」「共感しちゃう」を卒業する

著者によれば、同調圧力をかわせるようになるためのファーストステップは、「感情に溺れない」こと。

たとえば職場で、「きょうは疲れたから早く帰りたいな」と思ったとしましょう。ところがそんなとき、他の社員からどう思われるだろうかと気にしすぎると、「『仕事もできないくせに先に帰るのか』と思われていたらどうしよう」などと考えてしまい、どんどん帰れなくなってしまいます。

ましてや上司が遅くまで残るタイプの人で、周囲もそれに従っているような空気があったりすると、「みんな遅くまで仕事をしているんだから、あなたも残るべきでしょ」というような圧を感じてしまうかも。そんなところからもわかるように、他人の感情を優先してしまうと、同調圧力をかわすことができなくなるのです。

「きょうは疲れたから早く帰りたいな」と思っているとき、「あの人は体調が悪いのにがんばっている。なのに元気な自分が先に帰ったら、どう思われるだろう?」「あの人は家庭の事情が複雑なのに、一生懸命仕事してるんだよな」などというようなことを考え始めたら、「お先に失礼します」といえなくなってしまって当然。

まわりの目を気にしたり、まわりに共感性を持ったりして感情に覚えてしまうと、自分自身を同調圧力から逃げ出せない状態にしてしまうわけです。(144ページより)

「人の目」と「共感性」は自分の勘違い

そう考えると、「人の目」と「共感性」のセットが同調圧力を受け入れてしまう原因なのだとわかります。しかし見落とすべきでないのは、自分が「人の目」として感じているものも、「共感性」として感じているものも、実は勝手に想像したものにすぎないということ。

にもかかわらず相手の気持ちを想像し続け、結果的には自分の感情が揺さぶられてしまう。

感情の波に飲み込まれ続け、溺れてしまう。そんな状態を繰り返すことが、“同調圧力の沼にはまっている状態”だということです。(147ページより)

他人の感情に越権行為をしない

多くの場合、「人の目」と「共感性」のセットから抜け出せないのは、「相手の立場に立ってものを考えなさい」と教えられてきたからなのだと著者は指摘しています。

もちろんそれは大切なことでもあるでしょうが、相手の感情を考え過ぎてしまうと、自分が不安定な状態になり、同調圧力を受けて自分らしく生きられなくなってしまうのも事実。

したがって、ときには自分を主張することも重要なのでしょう。人の目を気にしてただ萎縮したり、共感性に引きずられて行動を控えたりするだけでなく、自己を主張し、自分を大切にすることも忘れてはならないのです。

この姿勢こそが、同調圧力をかわすうえでの土台となります。

すなわち、「他人の感情に責任をとるのではなく、自分に責任をとる」ということです。(149ページより)

「相手の感情に責任をとらない」とは、「相手が感じていることは、相手が勝手に感じているものであって、私が責任をとる必要がない」ということなのだと著者。

「私って人の目を気にするときに、相手の感情に対して責任を感じているの?」とピンとこない方もいるかもしれませんが、振り返ってみてください。

相手の怒りや悲しみの感情に、「申し訳ない」とか「なんとかしなければ」と思っているということは、やっぱり責任を感じていることがわかります。

ですから、この際、こう思ってみましょう。

「相手の感じていることは相手のものだから、私が責任をとらなくていいんだ!」と。(150ページより)

常にいろいろなことに責任を感じ、「なんとかしなければ」と感情が揺さぶられていたから、その感情に溺れて同調圧力を感じて苦しんでいたということ。

だとすれば、「相手の感情に責任をとらなくていい」と許可を出すことができれば、同調圧力を感じることもなくなり、自分の気持ちが安定するわけです。(148ページより)

本書は、「嫌われたくないから同調圧力に従ってしまう人が、相手と闘うことなくその世界観やしがらみから自由になれる」というイメージで書かれているのだそうです。

したがって、「だとしたら、自分はどうできるだろう?」というようにイメージしながら読み進めてみれば、同調圧力から逃れるためのヒントを見つけ出せるかもしれません。

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Source: 祥伝社