国際情勢が緊迫し、景気の見通しが不透明になってきました。
投資した資金が目減りした結果、生活に困った方や、マイホーム購入のようなライフプランを先送りにした方もいるかもしれません。このような場合は、ポートフォリオをリスク資産に振り分け過ぎている可能性があります。
リスクの高い投資は余裕資金で行うのが基本。不安定な時こそ資産を見直し、適量を知りましょう。今回はお金を3種類に色分けし、資産を見直す方法を紹介します。
資産の見直しに効く「お金の色分け」
資産を見直す方法は沢山あるものの、手間がかかったり、専門知識が必要だったり、自分では実践しにくいものもあります。おすすめなのは、お金の色分け。3つの項目を算出するだけで整理できる簡単な方法です。
キャッシュ全額を3色に分けるイメージで、以下の金額を算出してください。(投資分などは除きます)
- いざという時のための生活費
- 使い道の決まっているお金
- 余裕資金
1.いざという時のための生活費=3ヵ月分を現金で確保
サラリーマンの場合は、いざという時のための生活費として、最低3ヵ月分の生活費を現金で確保しておきましょう。3ヵ月とは、もしもの事態が起きた時にセーフティネットに繋がるまでの目安の期間。
病気や怪我で働けない時の傷病保障や、会社の倒産といったやむを得ない事情で働けなくなった場合の失業保険は、申請から受給まで1ヵ月から3ヵ月ほどかかります。一家の大黒柱に不幸があった場合の遺族年金も同様です。
手続きがスムーズに進み、早くお金をもらえるケースもあるものの、非常時にすぐに手続きを始められるとは限りません。もしもの時にお金の心配をしなくて済むように、多めに備えておきましょう。
3ヵ月分の生活費に加え、冠婚葬祭や車検といったイベントに備えた特別費も含めて準備しておくとさらに安心です。
2.使い道の決まっているお金=使うまでの期間が10年以上あるなら投資も視野に入れる
5年以内にマンションを買いたい、子どもに中学受験をさせたいといった、ライフプランを叶えるために必要な金額をまず把握してみましょう。
必要額に対して、今後の積立金ではまかなえない分を今持っているキャッシュから補てんします。この補てんしたお金が、使い道の決まっているお金です。
ライフプランを実行するために必要なお金
-{(学資保険などで準備している額)
+(学資保険などを除く毎月の積立額×年数×12ヵ月)}
=手持ちのキャッシュのうち、使い道の決まっているお金
使い道の決まっているお金は、元本が保証されている方法での管理が基本です。ただし準備期間が10年以上ある場合は、投資信託での運用など、元本が保証されていない方法を選択肢に入れてもいいでしょう。
ニッセイ基礎研究所の調査によると、長期・分散・積立投資で10年以上運用すれば元本毀損の確率が小さくなるとの結果が出ています。投資でお金を育てるために必要な時間は、10年以上を目安にするとよいでしょう。
もちろん調査結果はあくまで過去のデータを使ったシミュレーションであり、10年以上運用すれば必ず儲かるというわけではありません。
※長期・分散・積立投資とは、内外債券株式4資産等配分ポートフォリオを毎月一定額積み立てた場合を指す。
投資する場合は、リスクの取り過ぎに注意してください。例えば教育費であれば、金融庁はバランス型投資信託での積立投資を推奨しています。手堅く準備しましょう。
3.リスクの高い投資は余裕資金で行う
余裕資金=全財産-(いざという時のための生活費+使い道の決まっているお金)です。この余裕資金が投資に使えるお金となります。
ここまでお金の色分けをして、いざという時のための生活費や、10年以内に使い道の決まっているお金まで投資に回してしまっていると気づいた方もいるかもしれません。その場合は運用益の一部を現金化し、いつでも使える現金を増やすことを検討してみてください。
一方、リスクはありますが、余裕資金以上に投資をしたいなら、毎月の支出を見直すという方法もあります。
× 収入―支出=貯金・投資
〇 収入―貯金・投資=支出(使えるお金)
簡単にできる支出の見直しには、先取貯金がシンプルでやりやすいでしょう。収入から貯金・投資に充てる金額を引いた金額で、毎月やりくりする方法です。最初からないものとしておけば、投資や貯金として残すお金をうっかり使ってしまうことを防げるはずです。
相場は上がる局面があれば、当然下がる局面もあります。損失が出ている時でも、心に余裕をもって次の上昇局面を待ちたいものです。
不透明な状況に振り回されないためには、こんな時こそ、あらためて無理のない範囲で投資するべく一度資産の見える化や投資の運用方法を見直してみてはいかがでしょうか?