ランニングの途中にウォーキングを取り入れるのは邪道だという主張は間違っています。
ウォーキングとランニングの組み合わせは、どんなレベルのランナーにも使える方法です。
目標が距離を伸ばすことであろうと、レースの完走のためにエネルギーを温存することであろうと、運動のためであろうと、ランニング中にウォーキングをしているランナーは大勢います。
ランニング中にウォーキングを取り入れるべき理由と、それに適したタイミングを見ていきましょう。
ウォーキングを入れると回復時間が短縮される
途中で休憩を兼ねてウォーキングを取り入れるのは弱さではなく、戦略です。長年、ランニングコーチやトレイルランナーの間では、ウォーキングを組み込むことは人気ある方法になっています。
歩くことで精神的に一息つけますし、フィットネスやレース時間を犠牲にすることなく身体を休めることもできます。
「Journal of Science and Medicine in Sport」誌の調査によると、一般的なランナーは、全距離を走るときの負担と比べて、ランニングとウォーキングを組み合わせることによって不快感を減らしながらもほとんど変わらない完走時間を達成できるそうです。
この方法にためらいを感じるなら、ランニングにとってチャレンジである坂道のとき、ギアを入れ替えてウォーキングをしてみることは検討する価値がありそうです。
上り坂はウォーキングにぴったり
上り坂をウォーキングすると、全体的な有酸素運動の負担が少なくてすむだけではなく、走るよりも速く上れる場合もあります。
それに、目標が単にできるだけ長く走ることであったとしても、上り坂について次のように考えてみてはどうでしょうか。
ウォーキングとランニングの実際の違いは片足がいつも地面についているか、それとも一歩一歩で体が宙に浮いているか。坂の傾斜が急になるにつれて、ウォーキングとランニングのギャップは次第に狭まっていきます。
これが信じられない人は心拍数を確認してみてください。上り坂を早足で歩いても心拍数を目標範囲まで上げることができるんです。
上り坂を歩くか走るかは、目標や強度、坂の傾斜によって異なるでしょう。
考慮すべき要素がなくても、上り坂はウォーキングのチャンスと捉えてみると、以前より上り坂に抵抗を感じることはなくなるでしょう。
考慮すべき点
ランニングとウォーキングを組み合わせるのは、どんなレベルのランナーにとっても役立ちます。もちろん、ウォーキングする時間とフィットネス面の効果には限りがあります。
歩く時間が走る時間より長くては意味がありませんし、ランニング&ウォーキングがランニングだけよりも短時間になることを期待するのは無理というもの。
また、数分ごとにウォーキングを取り入れるべきでもありません。ある研究では、ペースを切り替えれば切り替えるほど、継続的に一定のペースで行なった場合と比較して全体的にエネルギー消費量が多いことが示唆されました。
常にペースを上げていきたいなら、定番のファルトレクをやるのが良いでしょう。また、5分ごとにウォーキング休憩が必要だとしたら、全体的にもっと楽なランニングをすべきです。
上り坂ウォーキングのヒント
上り坂のウォーキングの際のフォームにはいくつか注意点があります。
- 歩幅を狭くします。平らな地面を走るときと比べて、大きな歩幅よりも小刻みで速い足取りのほうが効率的です。
- 少し前かがみになりますが、傾きすぎないように。前かがみになるのは体の自然な動きですが、前かがみになりすぎて両手が膝近くになるようなら、背筋を伸ばして直立姿勢に近づけます。
- 頑張りすぎて途中で燃え尽きてしまわないよう、坂全体でペースが維持できるようにします。
また、坂道を繰り返すことにはメリットがありますが、それは別の日のトレーニングにとっておきましょう。
レースをしっかり完走するためにエネルギーの温存に努めている人やカジュアルなランニングで体力アップを目指している人にとって、上り坂にウォーキングを取り入れるのは適切な手段になるかもしれません。
Source: Runners World 1, 2 , Outside Online 1, 2, Journal of Science and Medicine in Sport, Research Gate