人を「有能なリーダー」にするものとは何でしょうか?
「最も優れたリーダーは、クリエイティブであってリアクティブ(受け身)ではない」と話すのは、リーダーシップ開発を手がけるThe Leadership Circleの共同創業者で最高経営責任者(CEO)のビル・アダムス氏。この知見は、2506人のCEOを対象にした最新調査で明らかになりました。
クリエイティブなリーダーは、ビジョンをもって統率し、結果が達成されるまでの過程を評価します。結果が達成された事実だけを見ることはありません。
リアクティブなリーダーは、結果を出すことよりも慎重さを、エンゲージメントよりも自分の立場を守ることを重視します。
この違いは大きいのですが、ついつい間違ったほうへと足を踏み入れてしまいがちです。
「Inc.」の取材に応じたアダムス氏は、リアクティブなリーダーシップにつながる可能性のある、持つべきではない信念5つについて話してくれました。
こうした考えを持っていると、誰からも望まれないリーダーになってしまいます。筆者も、これまでキャリアを歩んできたなかで、このような誤った思い込みを幾度か抱いたことがありました。みなさんも、心当たりがいくつあるか考えてみてください。
1. 「正しく対処できるのは自分だけ」
こうした信念は、客観的に見て正しいかもしれません。実際に、特定のタスクについては、ほかの誰よりもあなたのほうが適切に対応できる可能性はあります。
しかし、それは問題ではありません。
というのも、それが事実であろうがなかろうが、このような姿勢で仕事をしていると、いずれトラブルが生じるのは間違いないからです。何もかもを自分でこなしているとしたら、それは有能なリーダーとは言えません。
会社が成長し、自分の責任が増すほど、こうした姿勢はますます不利になっていきます。「つまり、会社の規模を拡大できないのです」とアダムス氏は指摘しています。
2. 「顧客や上司から好かれることが成功への道」
アダムス氏はこれまで、こうした思考を持つ企業幹部を多数、相手にしてきました。なかでも、人を率いる役職に初めて就いた人に多かったようです。
こうした思考を持つリーダーは、自分が他人からどう見られているかをもとにして、自らを評価しています。
自らについて、自分はどんな人間で、何のために存在しているのかを、鋭くかつ明確に理解することによって評価しているわけではありません。
現在の地位を手に入れられたのは、人に好かれ、支持されるようにもっていくスキルがあったおかげかもしれません。しかし、それはリーダーシップではないとアダムス氏は断言します。
一定の時間が経った時点で他人から定義されるのではなく、自らを自分自身で定義するようにならなくてはなりません。
3. 「自分はチームの中で誰よりも頭が切れる」
実際に、あなたは非常に頭脳明晰な人かもしれません。けれども、リーダーとして自らの知性を証明する必要があると思うとしたら、その先にはトラブルが待ち構えています。
このように考えるのは、人を支配しようとする傾向があり、他人の話に耳を貸さず、自分の懐に他人をうまく招き入れることができない人です。
誰よりも頭が良い人間でありたいという考え方には、別の問題点も伴います。
多くの場合、極めて批判的な人間になってしまい、プロジェクトや企業、製品に潜む欠点や弱点を1つ残らずあげつらうことになるのです。
それでは、決して上手くいきません。人を引きつけることができず、逆に追いやってしまいます。
さらに、ほかの人から学びを得ることも、チームで互いに学び合うことも、難しくなってしまうのです。
4. 「自分の言動が部下に与える影響は常に把握している」
「当社のクライアントであるリーダーの大半は、自らが部下に与える影響について気づいてもおらず、フィードバックを得てもいません」とアダムス氏は指摘します。
しかし、リーダーはみな、フィードバックを得て、自分がどのような印象を与えているのかを知る必要があります。
これはアダムス氏自身も例外ではありません。アダムス氏はこのインタビュー当日に、ある同僚から、アダムス氏が女性従業員2人に関して話をしていた時、「否定的に聞こえる姿勢だった」と注意を受けたと明かしてくれました。
私が問題に気づけるよう、積極的に助けてくれる人がチームにいなかったら、しばらくの間、自分のそうした側面を知らずにいたでしょう。
さらにアダムス氏は、優れたリーダーは、自らを正確に認識できるよう努めていると言います。
私にとってそれは多くの場合、ありのままの自分に居心地のよさを感じることと同じです。
つまり、自分はどんな人間か、自分にはどんな弱み・強みがあるのかを知ることです。クリエイティブなリーダーは、非常に透明性があり、根本的に人間中心主義なのです。
5. 「目標達成は自分の責任で、それを助けるのが従業員だ」
クリエイティブなリーダーは、「従業員をどう捉えるか」という姿勢を微妙に変える必要があり、それは重要な要素だとアダムス氏は言います。
リアィテクティブなリーダーは、従業員を目標達成のための手段であり、重要なタスクを処理するために必要だと見ています。
一方クリエイティブなリーダーは、従業員を自分たちの仕事にとって最も重要な一部だと見なしています。
人との関わりのなかにあること、チームをつくり上げること、こちらの気遣いが伝わるような方法で人々とつながること、人を導き成長を促すこと。これらはどれも、とてつもなく重要です。
リーダーは、同僚や部下を管理しているのではありません。彼らとともに働いているのです。これは非常に大きな考え方の違いです。
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登録者の多くは、起業家やビジネスリーダー。大きな成功を手にしたと思われる人たちは、仕事における人間的側面を非常に重視しています。企業や職場を問わず、何よりも重要なのは人間関係だということを理解しているようです。
Source: The Leadership Circle
Originally published by Inc. [原文]
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