春の暖かい陽が差し、気温が上がってくると、私たちは外に出たくなってきます。

だからといって、慌ててトレーニングを再開すると、ケガをして挫折することになりかねません。

本格的な春が到来する前に、今準備できることは何でしょうか。健康を維持しながらトレーニングを強化できる方法について考えてみましょう。

春のランニングの準備をするには

単純すぎるように聞こえるかもしれませんが、トレーニングを以前のように増やしていく場合に、覚えておくべき大切なことがあります。

それは、自分が今ある状態からスタートすること。3カ月前にフルマラソンを走ったとしても、それ以降トレーニングを中断していたら、コンディションがピークだったときと同じ運動量をこなすことはできません。

あなたが長年ランニングを続けてきたなら、経験が短い人よりも、コンディションが元に戻るのは早いかもしれません。

それでも、ここ2カ月間に自分がしてきたことを正直に見つめて、そこをスタート地点にしましょう。

基礎をつくり直す

あなたにとって気楽で快適に走れる距離から始めてください。

走るペースより、走っているという努力に目を向けるようにしましょう。

この機会に、GPS端末は家に置いてきてください。速く走ることや、長く走ることを気にせず、継続してランニングすることをしっかりと習慣付けましょう。この時点では、トレーニングの量よりも、トレーニングを継続することのほうがずっと重要なのです。

回復力を向上させるために、筋力トレーニングをする

最初の頃に走る距離は、トレーニングのピークの時期に走る距離よりも短いはずですから、余った時間を使って、ウェイト・リフティングを始めましょう

ジムでウェイトを持ち上げるなら、普通は週2回で十分です。筋力をつけ、モビリティ(可動性)を高めるために、より短い時間の自重トレーニングをルーティンにしている人は、ランニングする日にそれをおこなってもかまいません。

徐々に距離を増やす

「週間走行距離を増やす場合は10%以内に」と、よく言われます。ただしこれは、あなたのスタート地点がどこなのかによって、少なすぎる場合もあれば、逆に多すぎる場合もあります。

冬の間にほとんど走らなかった人は、距離を増やす前に、2週間ほど同じ距離を走るべきです。実際に距離を増やすときは、いつもの週間走行距離に沿って、短い距離のランと、週1回の長距離ランの両方を少しずつ増やしてください。

トレーニングに変化をつける

イージー・ランの基礎の立て直しを始めたら、今度はルーティンに少し変化をつけましょう。

ペースを変えて変化をつけることもできますが(これは、このあと詳しく述べます)、走るルートを変えてもいいですし、異なる地形を走ったり、平坦なコースとアップダウンがあるコースを取り入れたりしてもかまいません。

ペースの速いランニングを取り入れる

走るペースに変化をつけることは大切です。イージー・ランは必ず、会話ができるくらいの本当に楽なペースでおこなってください。

より速いペースのランニングには、ストライドを広げてペースアップした「ストライド」や、ペースなどを設定しない短い「ファルトレク(fartlek:スピードの変化をつけながら走るトレーニング)」を取り入れるのもいいかもしれません。

ファルトレクは、徐々に設定を加えていくと、もっと高度なワークアウトに移行しやすくなります。

ランニングを再開したときに、ケガをしないようにするには

健康で継続的なランニングの基礎を保つため、あるいは基礎をつくり直すために時間をかけてきた人は、素晴らしいスタートを切っています。

ところが、気持ちの良い春の陽気のせいで、体が準備できている以上に、もっと長い距離を、もっと速いスピードで走りたくなってしまう人が多いのです。

春になると、ほぼ毎週末、いろいろな地方でレースが開催されはじめます。友だちとグループで走る機会も増えてきます。いつもランニングを楽しみ、新しい冒険を求めるのは大切ですが、トレーニングに熱が入りすぎてしまうのは避けたいものです。

良い習慣を続けつつ健康な体をつくるために、トレーニングの基本原則は必ず守るようにしてください。

ランニングの前後におこなうこと

すでに述べたように、ランナーとして健康であり続けるためには、筋力トレーニングが欠かせません。

ランニングの前には毎回、動的なウォームアップとして短い距離を走り、ランニングのあとには、部位にフォーカスした筋トレや、モビリティを高めるルーティンをおこなって終わりにするのが理想です。

5~10分のウォームアップをすると、体の準備が整い、家を出た瞬間から、より効率的に走ることができます。

家に帰ってきたら、コアやヒップの筋力を集中的に鍛える15分のルーティンをおこなうと、トレーニングの強度が上がっても、体がついていけるようになります。

トレーニングの負荷を急激に増やさない

トレーニングを進めていくときには、一度に多くの変数を変えすぎないことが大切です。走るたびにペースや地形を変化させるのは効果がありますが、走行距離やトレーニングの激しさ、難易度を急に変えすぎると、ケガにつながることもあります。

走行距離については、快適に走れる最長距離に達するまでは、「10%ルール」を上回る速さで増やしていけるのが普通です。

でもそこから先は、注意して増やしましょう。自分が快適に走れるコンフォートゾーンを超えて走行距離を増やす前に、一定の距離を数週間走り続ける必要があるかもしれません。

同様に、頻度(一週間のトレーニング回数)にしても、速いペースでどれだけ走るか(時間または距離)にしても、あまりに短期間で増やすのは禁物です。

短いファルトレクのワークアウトや、速さを調整した「インターバル」から始めれば、時間をかけて体を順応させながら、よりハードなランニングを徐々に増やすことができます。

続けやすいよう、目標を定める

天気がパーフェクトであっても、やる気が起きないことは誰しもあるものです。

ドアを開けて外に出る習慣をつけるのは、時間がかかるかもしれませんが、練習を続けていけば、最後には習慣化されます。

とはいえ、短期と長期両方の目標を設定すれば、目指すべきところができます。特にシーズンの初めは、体のコンディションが整っているときほどは気楽に楽しんで走れないので、目標設定をおすすめします。

少々の忍耐力と計画性があれば、冬の終わりから春にかけて体を鍛え、トレーニングとレースのシーズンに向けた準備を整えることができるのです。


Source: SR(1, 2