相談される力 誰もに居場所をつくる55の考え』(廣瀬俊朗 著、光文社)の著者は、元ラグビー日本代表キャプテン。

現在は株式会社HiRAKU代表取締役として、学生の部活動サポートから企業研修まで、チーム・組織作り・リーダーシップのアドバイスやサポートを行っているそう。また、多彩なプロジェクトを通じ、多くの人を支援する場づくりを目指しているといいます。

そんななか、「相談されるにはどうしたらいいのか?」と考えたのだとか。

まずは自分自身の在り方が大事だと思いました。どんな人であれば、相談したくなるのか。この役職の人に相談しようではなく、廣瀬俊朗に相談しようと思ってもらえることが大事だと思っています。

そうあるために大事なことは、聞くこと、自分なりの視点で勝手に判断しないこと、相手が持っているものを引き出すこと、自分がご機嫌でいることなど色々なことが出てきました。

また関係性も大事です。普段からどういったコミュニケーションを取るのか? どのタイミングで声がけをすれば良いのか? 色々と考えるべきことが出てきました。(「まえがき」より)

そんなことに思いを馳せつつ、頭に思い浮かんだことをまとめたものが本書なのだそうです。ちなみにタイトルには「力」ということばが使われていますが、パワーをアピールしたいわけではなく、手っ取り早いスキル習得の話とも違うのだといいます。

ありたい姿、ありたい人を貫いた延長線上に、結果として力が付くイメージです。(「まえがき」より)

そんな本書のなかから、ビジネスに活かせそうな2つのトピックスを抜き出してみましょう。

「聞く姿勢」を大切に

人間関係を築いていくなかで重要なのは、「相手の話を聞く」こと。

仕事仲間でも家族でも、あるいは友人同士でも、相手を理解するためにはその相手の話を「聞く」ことが欠かせないわけです。

また当然のことながら、「いつ、どこで、どのタイミングで」聞くのかも大事。

たとえばカフェで話を聞くとしても、「いつ」聞くのか、カフェの「どこに」座るのか、向き合って座るのか、横並び、あるいは斜めに座って聞くのか、コーヒーを飲みながらにするのか、それともお酒を飲むのか、などなど。

どういう手段を選択するかによって、それぞれ雰囲気が変わってくるということです。

ラグビーを通して、様々な国籍の指導者や選手と接してきました。

外国籍の人たちは、日本人に比べて「聞く姿勢」をうまく作り出すイメージです。シチュエーションの選びかたがうまい。真剣度の高いミーティングとか打ち合わせは会議室で、カジュアルな会話はコーヒーを持ってきて「ちょっと話さない?」と誘ってきたり。(56ページより)

いずれにしても大切なのは「相手へのリスペクトを前提とした聞く姿勢」。相手は「受け入れられている」と感じて初めて、ちゃんと話してくれたり適切な判断をしてくれるわけです。

また、もうひとつ忘れるべきでないのは、自分の意見をしっかり伝え、同意したことには責任を持つこと。著者も、自分が「やる」といったことはきちんとやることを心がけているのだそうです。

なぜならそれが、「次のタイミングで廣瀬に話をしにいこう、廣瀬の話を聞いてみたい」と思ってもらえることにつながるから。(55ページより)

リーダーとキャプテンの違いとは

一般的にリーダーとは、いちばん上に立って引っぱっていく人。対するキャプテンは、「現場のリーダー」ではあるけれども上の人と下の人との間に挟まれている存在。そのなかで、「いかにしてチームをよい方向へ導いていけるか」を考えるわけです。ラグビーチームであれば、上の人が「監督」で、下の人は「選手たち」。

キャプテンは現場を引っぱっていく立場ですが、仲間のひとりでもあるため、「この人と一緒にやっていこう」「この仲間と力を合わせてやっていこう」と思ってもらえることが大事。一体感が生まれれば、チームがまとまっていくからです。

企業で中間管理職の立場にある人は、上司と部下との間に挟まれていかに組織を運営するべきか、頭を悩ませているかもしれません。新しいプロジェクトのリーダーに指名されたものの、まったく知らない仲間とどう仕事していったらいいのかと苦悩することもあるでしょう。

では、どうしたらいいのか? そういった場面では、キャプテンが発揮するキャプテンシー(リーダーとしての資質や統率力)が役立つのではないかと著者は述べています。

日本代表のキャプテンに指名された僕は、「みんながハッピーになるにはどうしたらいいんだろう?」と考えました。

そのために居場所づくり、場づくり、一人ひとりに声をかけました。その中で大事にしたことは、「全体最適」です。日本代表という組織全体が最適な状態になることで、様々なメリットが期待できるからです。

加えて、局所的になるのではなくときには俯瞰しながら、チームのなかで選手、キャプテンがどうあるべきかを考えました。そのためにも対話を大事にしました。(76ページより)

さらには、選手のサポートについても「リーダーにはできないこと」を意識していたのだといいます。リーダーは人事権があるため最後までは歩み寄れない。そのすき間を埋めにいくイメージだそう。

ヘッドコーチのエディー・ジョーンズさんはとにかく厳しい人で、彼が求めるスタンダードに全員が到達するのは、決して簡単ではありませんでした。

エディーさんのスタンダードに到達できない現実にぶつかって、「なにくそ」と歯を食いしばって頑張る選手がいれば、「しんどいなあ」と気持ちが萎えてしまう選手もいます。

そこで僕は、「しんどいのは、ツラいなー。どうしようか。より良い自分になるために頑張ろう」とか、「意外と乗り越えてみたら大したことなかったと思えるから、毎日ちょっとずつ積み重ねていこう」「頑張れないならどういうときなら頑張れたんやろね」とか「新たな挑戦やな」というようなことをその人に応じて対話をしました(76〜77ページより)

いうまでもなく、それがキャプテンとしての役割のひとつだと著者は考えていたからです。

とはいえラグビーの世界だけに限られた話ではなく、同じことはビジネスの世界におけるリーダーにもあてはまるはずです。(75ページより)

本書を読むことが、自分のことを振り返り、なにかを考えなおすきっかけになれば本望だと著者はいいます。相談相手と向き合うような気持ちで、肩肘を張らずに読んでみてはいかがでしょうか?

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Source: 光文社