田辺三菱製薬のメディカルアフェアーズ部で働く渡辺佳典さん

医療現場で求められる、さまざまな情報の創出と発信を行なうメディカル活動の戦略を練りつつ、社員ひとりひとりが働きやすい魅力的な職場づくりを目指して奮闘している社員の1人です。

渡辺さんが心がける「誰も1人にしない」マインドや、目指したい職場環境とは──。

製品価値を最適化する戦略の要──「メディカル戦略グループ」の役割とは

Image: talentbook
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製薬会社のメディカル部門、とりわけ戦略グループとなると、どのような業務を行なっているのかイメージが湧きにくいかもしれません。

渡辺さんが日々取り組んでいる業務を一言で表すと、一体どんなものなのでしょうか。

製薬会社のメディカル部門は、医薬品の研究開発段階から発売後にかけて、製品特性を明らかにし、製品価値を最大化する部署です。

今どんな薬が求められているかを調査したうえで、既存の製品との違いは何か、医療関係者や患者にとっての真の価値は何か、という観点でデータを創出して、世にお届けする仕事です。

当社のメディカルアフェアーズ部は、臨床研究や疫学研究を通してデータを創出し、医学的・科学的な面から製品の適正使用や製品価値の最適化を推進する役割を担っています。

そんなメディカルアフェアーズ部の中にあるメディカル戦略グループは、マネージャーを含めて全部で10名。

それぞれの疾患領域に対して1人ずつ担当がつき、メディカル戦略を立案するべく、社内外の医科学専門家や研究者などとの議論、医療関係者や患者さんへのインタビュー調査を通じ、「アンメットメディカルニーズ」(既存の薬や治療法では解決されていない医療ニーズ)を特定しています。

さらに、医療現場の課題解決に向けて、疾患認知向上のためのメディカルエデュケーションを実施したり、臨床研究や疫学研究によるエビデンス創出等について具体的なプランを立案するなどの役割もあります。

メディカル部門は、製品のプロモーションや販売を担う営業・マーケティング部門とは別で独立してはいますが、医療関係者や患者さんに最適な医療をお届けするという面では、社内関連部署との連携が重要となります。

ただエビデンスだけを追い求めるのではなく、研究開発や営業部門のプロモーション活動なども意識して、全体最適の観点からメディカル活動の戦略を練るんです。

実際に、チームの中にはマーケティングや市場調査のエキスパートもいるので、より俯瞰的かつメディカル部門にしかできない活動を意識しています。

オンラインでも「顔が見える関係」を。連携を促す職場環境とは

同社キャラクターのたなみんと一緒に
同社キャラクターのたなみんと一緒に
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目下の業務としては、疾患領域全体のメディカル戦略の取りまとめ役を担っている渡辺さんですが、同時にオンライン環境であっても、グループ内で円滑に連携できるように取り組んでいます

コロナ禍で直接顔を合わせる機会が減るなかで、グループ内のコミュニケーションを密にすることを大切にしています。そのために情報共有に力を入れていますね。 たとえば、ビジネスチャットツールなどを駆使して、1週間の予定を週の頭に共有。

また、その日の体調を朝一番で確認しあい、誰が今日出社しているか、業務開始と終了時間などを共有し、誰が今何をしているのかが明確になるよう心がけています

また、接する機会が減ると、何か困ったときに相談しにくいと感じる人もいるので、チャットや電話などで気軽に声をかけてもらえるような雰囲気づくりも大切にしていますね。

ほかにも、今年新たに入ってきたメンバーに対しては1on1や定期ミーティングを行なうなど、ひとりひとりと話す時間をつくっているという渡辺さん。

コミュニケーションを取りやすい環境をつくることで、お互いの状況が可視化されたと言います。

チャットを活用すると気軽にお互いの状況を知ることができますが、メンバーで顔を合わせる機会も必要だと思っています。

週に一度はオンライン会議を開き、顔を見ながらコミュニケーションを図るなど、目的を切り分けながらそれぞれのツールを活用しています

オンラインでもグループメンバー同士が連携しやすいよう、働き方改革推進室の担当者と一緒に取り組みを進めている渡辺さん。

一方で、オンライン環境下でいかにしてナレッジを共有するか、どのようにメンバー同士が連携し戦略を推進していくかという部分は、現在手探りで進めています

戦略をつくっていくうえで、市場環境分析、医科学的知識、戦略策定プロセス、プロジェクトマネジメントなど、さまざまな知識やスキルが必要になります。

どういった教育やプロセスが必要なのかといった部分を含めて、今まさにグループ内で議論しています。

2020年にはメディカル部門全体で戦略立案のワークショップを開催。

さらに、グループ内ではプロジェクトマネジメントの研修を担当する渡辺さんは、コロナ禍であっても個々のスキルを磨き、円滑に仕事を進められるような土台をつくっているのです。

「誰も1人にしない」若手もベテランも居心地が良い職場環境づくり

Image: talentbook
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なかなか顔を合わせる機会がなくなったからこそ、メンバー間での情報共有や相手の状況、感情の配慮に留意している渡辺さんですが、これはグループ内だけのことではありません。

グループ内で一緒に働いているメンバーは、それぞれ異なるプロジェクトに参加しています。

そのため、グループ内で検討した結果を各プロジェクトに持ち帰ったとき、そこでどのような議論が行なわれているかまで把握しておく必要性を感じています。

もしかしたら何か困りごとや課題が出てくるかもしれないし、その場合はできる限りサポートをしたい。

私たちのグループの専門性を各所で発揮するためにも、グループ外まで目を向けることが必要ですね。

こうした「誰1人置いていかない、1人きりにしない」という渡辺さんのマインドは、若手のメンバーだけではなく、社歴が長いベテランの社員たちにも向けられています。

誰かが困っていたり、悩んでいたりするときに「頼りにされる」のは誰にとってもうれしいもので、働きがいにつながるのではないでしょうか。

私も、自分の仕事のノウハウが誰かの役に立つと、働く意義につながるような気がするんです。

だからこそ、個々ではなくチームとして働くことができる仕組みが大切だと思います

私自身も、今後10年、20年と働いていくうえで、自身の仕事に価値を感じ、やりがいを見出しながらまわりに貢献したいと願っています。

少しでも役に立っていると感じられたら、働きがいにつながるのではないかと。

そして、そのようにして生み出した価値を医療関係者や患者さんにお届けし、医療水準の向上に貢献することで、社会に必要とされ続ける会社をつくっていきたいです

個々の価値を高めて強い組織に──「ずっと働き続けたい会社」に向けた挑戦

本社正面玄関にて
本社正面玄関にて
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渡辺さんが抱く「今後の人材育成に対する熱い想い」

その背景には、これまでの人生のなかでたくさんの人に助けられ、お世話になったことへの恩返しがしたいという気持ちがありました。

たとえば、本部主管の制度にはなりますが、「社会人大学院」という制度を使い、働きながら大学院の医学研究科に通っていたころがありました

平日でも大学に通わなくてはならない日もあり、早めに仕事を切り上げさせてもらっていたんです。

これは、当時在籍していたグループのメンバーや上司の理解がなければ成し得なかったことです。当時の経験が、私の働き方改革の原点になっていますね

個人が学びの時間をつくることは自己研磨でもありますが、得た知識を還元することで、会社の価値にもつながる非常に大切なことです。

田辺三菱製薬には、渡辺さん以外にも博士号を取るために勉強している社員がたくさんいます。

会社として、個人の学びに対する協力的な制度があることにまず感謝していますし、今ある制度を最大限活用できるように、誰もが使いやすくなるような環境づくりこそが重要なのだと思います

そういった意味でも、これからは互いに学び合い、サポートし合う体制を当たり前につくっていきたいですね。

渡辺さんは今後、個々の学びを深める一方で、グループ内での勉強会を通じて互いに学び得たものをシェアし、それぞれの人材の価値を高めていけるような運営に注力していきたいと考えています。

それが実現できれば、ひとりひとりとしても組織としても、より強くなっていくのではないでしょうか。

社員みんながこの会社に居続けたい、働き続けたいと思えるような組織をつくることが目標です

田辺三菱製薬には、「働かせ方改革ではなく、働き方改革を」という思想があります。

すごく良い言葉だなと思うんです。

会社として働き方改革がはじまり、正解がないゴールに向け取り組みを推進するなかで、社員ひとりひとりが働き方に向き合い、自分だけではなく部門内、部門外、そして社外へと波及させていく──。

1人の影響力が大きな価値をつくると思っているので、足元から1つずつ丁寧に積み重ねていきたいですね

メディカル戦略グループという枠を超えて全社的に横のつながりを深めることで、教え合い、学び合いができる「働きがいがある」組織を目指して。

渡辺さんの飽くなき挑戦は、これからも続いていきます。

Source: talentbook(1, 2)