慢性的な睡眠不足の状態が続き、その負債が蓄積されて心身へ支障をきたしている状態を指す「睡眠負債」。多忙なライフハッカー読者の人のなかには、睡眠負債を溜めこんでしまっている人も少なくないのではないでしょうか?

「脱・睡眠負債」を掲げるブレインスリープが、2022年度版の「睡眠偏差値調査結果を発表しました。

ウィズコロナも2年が経ち、私たちの平均睡眠時間や意識、行動にはどのような変化があったのでしょうか?

日本人の平均睡眠時間は2年連続で上昇

Image: ブレインスリープ

まずは平均睡眠時間の推移から。2022年は「6時間48分」という結果で、コロナ前の2020年の調査結果(2019年12月実施)と比較すると21分増加したことが明らかになりました。

昨年からの伸びは5分にとどまりましたが、それでも改善傾向にあることに違いありません。テレワークの普及や出社頻度の減少、自宅で過ごす時間が増えたことなどが関連しているのでしょう。

さらに、近年問題視されていた睡眠負債も減少傾向にあるのだとか。

平日と休日の睡眠時間が変わらないと答えた人は年々増加傾向にあり、かつ「睡眠時間に差がある」と答えた人においても、昨年の調査では休日の睡眠時間が平日の睡眠時間の+1時間14分だったのが、今年の調査では+1時間9分と、5分短くなりました。

つまり、平日に溜まった睡眠負債を休日の寝だめで解消しようとする人が減っているのです。

OECD加盟国の平均睡眠時間は8時間25分であることを考えれば、まだ大いに改善の余地はありますが、こうした変化はコロナ禍で得られたポジティブな成果の一つといえるでしょう。

年代別睡眠アプリ・ガジェットの利用状況は?

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睡眠をハックしたい――そう考える人なら一度はスリープテックを活用しようと考えたことがあるはず。 実際にApple Watchをはじめとしたスマートウォッチやアプリで睡眠をトラッキングし、改善に励んでいる人もいるでしょう。

今回の調査では、そんなスリープテックの利用状況にも着目しています。

睡眠の質を上げるためにアプリを利用している人は全体のうち5.6%、ガジェットを使用している人は4.3%に留まり、まだ少数派のようです。

利用者がそれぞれに費やしている平均金額はアプリでは1カ月で601円ガジェットでは1カ月で1134円。睡眠に関するアプリだけでも月600円と考えると、利用者層はわりと積極的に投資している印象です。

注目したいのが年代別の結果。アプリの利用率が一番高い年代は男女とも20代ですが、ガジェットの利用率が一番高い年代は男女ともに60歳以上、という結果になりました。

また、アプリ、ガジェット両方ともに女性のほうがスリープテックに関心が高いようです。

40-60代と比較すると若い世代はアプリをダウンロードすることに抵抗がなく、生活のあらゆる場面で気軽に活用している様子でした。

危険信号! 自身をショートスリーパーだと誤認?

今回、個人的に最も不安を感じたのがショートスリーパーに関する調査結果。

この言葉、一度は耳にしたことがあるという方も多いと思いますが、ブレインスリープによる定義は以下の通りです。

睡眠時間が4時間程度以下でも日中の眠気を感じることがなく、長期的に見ても心身ともに何ら支障をきたさない人のこと。

多くは短眠の遺伝子を持った非常にまれな存在であり、日本の統計では平均睡眠時間が4時間未満の人は全体の約1%と言われている。

つまり、この定義上ショートスリーパーはかなりのレアケースなのですが、今回の調査では自身がショートスリーパーであると回答した人がなんと23%もいたのだとか。

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グラフが示す通り、ショートスリーパーであると回答した人の平均睡眠時間は6時間15分と日本全体の平均睡眠時間より40分以上少ないのですが、一般的にショートスリーパーと言われている人の平均的な睡眠時間(約4時間)よりは2時間ほど長くなっています。

つまり、ショートスリーパーという言葉を自分なりの定義で解釈し、自身をショートスリーパーだと思い込んで無理をしているだけの可能性がある、ということ。

「5、6時間しか寝てないけど特に問題を感じていない」といった人はもしかするとこのケースに当てはまるのかもしれません。睡眠が足りていない状態が慢性化し、感覚が麻痺してしまっている恐れもあります。

ブレインスリープ代表取締役で『スタンフォード式 最高の睡眠』(サンマーク出版)著者である⻄野精治先生は「ショートスリーパーの定義にもよりますが、23.4%とかなり多くの人がショートスリーパーであると自認しているのは、願望もあるのでは?」と警鐘を鳴らしています。

睡眠薬と専門クリニックへの通院率

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最後に、睡眠薬と専門クリニックの通院状況をチェックしてみましょう。

「睡眠薬の服用あり」との回答が最も多くみられたのは20代男性で、15.7%に上りました。

若くて働き盛り、夜はぐっすり眠れていそうなのにと意外に感じましたが、食事含めた生活習慣やブルーライトの影響、ストレスなどメンタル面の負荷など今や私たちの生活は眠りに悪影響を及ぼす因子で溢れています。

若いから大丈夫、といったイメージで一概に結論づけるのは安直すぎるのかもしれません。

睡眠薬を服用したうちの約3割強が、過去に睡眠専門クリニックに通院していることも明らかになりました。こうした状況について、西野先生は以下のようにコメントしています。

気になった点は若い人の睡眠薬の使用率が高い点です。市販のものも含まれているようですが、睡眠薬はあくまで対症療法ですので、睡眠薬を使用する前に、睡眠に良い生活習慣を身につけることを推奨します。

薬や専門クリニックなど外部の力にも頼りつつ、状況を観察しながらうまくバランスを取ることがポイントになりそうです。


睡眠は重要だと分かっていても、改善に向けて行動に移すのはなかなか難しいもの。

まずは今回のデータを話のタネに、家族やパートナー、友人と睡眠について話し合うところから始めてみるのも良いかもしれません。

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