誰かが、「えーと」「あー」「みたいな」などの言葉をあちこちに散りばめて延々と話し続けていると、それが気になりすぎて話が入ってこない、ということがあります。
緊張したり、気が散っていたり、次に何を話せばいいのかわからなくなった時に、誰でもこのような会話をつなぐ言葉に頼ってしまうことはあります。
けれど、このような言葉が口癖になってしまうと、話の内容が伝わらなくなってしまうことも。残念ながら、ほとんどの人にこの癖はあるというのです。
「ハーバード・ビジネス・レビュー」によると、「行動科学、AI、データなどを取り入れた研究を行なっている、人間科学の企業Quantifiedは、このようなつなぎ言葉の最適な頻度は1分間に1つと割り出しました。しかし、人は話す時に平均して1分間に5つ(12秒に1回)は使用しています」。
つなぎ言葉を使いすぎているかもしれないと思った方に、その口癖を抑える方法をお教えしましょう。
なぜ、つなぎ言葉を使いすぎてはいけないのか?
ある程度はつなぎ言葉を使うのも仕方がありませんが、あまりにも使いすぎると、話を聞いている人が興味を失ったり、うわの空になってしまったりします。
つなぎ言葉は、緊張していたり、気が散っているように見えたり、最悪の場合、嘘くさく聞こえたりしてしまいます。
聞き手が話の理解をあきらめてしまうから
「ハーバード・ビジネス・レビュー」によれば、あまりにも「えーと」などのつなぎ言葉が多すぎると話が入ってこなくなり、ほとんどの人が話者が本当に言いたいことを認識するのをあきらめるのだそうです。
「聞き手に自分の伝えたいことを理解して欲しいのであれば、明確に、論理的に、理解しやすいように話さなければなりません。残念ながら、話の重要な部分がつなぎ言葉に覆われていると、聞き手が自発的に理解しようとする以上に、内容を認識するのに努力が必要になります」
つなぎ言葉が仲間意識や親密さの表れとして使われることもありますが、そのような場合は、仲間内で使用しているのでリスクは少ないです。
ステップ1:認識・自分の口癖を知るために話を録音する
まず最初は問題を認識するところからです。
つなぎ言葉などの口癖は、あまりにも当たり前になっていて、自分で気づかないうちに使っていることがあります。
自分が普段家族や友だちに話しているのを録音もしくは録画して、再生して、自分の話し方に潜んでいる言葉に気づきましょう。
「あー」「えーと」「うーん」「みたいな」「ていうか」「それで」「そうそう」「いいね」「だよね」など、気をつけて聞いてみてください。
このような言葉は口癖になりやすいです。(注意:つなぎ言葉として「みたいな」を使うのと、「ドライヤーの風みたいな砂漠の熱風」のように比喩として使うのは違います)
ステップ2:把握・つなぎ言葉をいつ使っているかを知る
一番よく使う口癖やつなぎ言葉がわかったら、次はいつそれを一番よく使っているかを見極めます。
疲れている時、プレゼンの時、会議中に間が空いた時、はじめてのデートで世間話をする時、新しい上司に自分を印象づけようとしている時かもしれません。
または、リラックスしていたり、友だちと遊んでいたり、自分が「オフ」でいられる時かもしれません。
どんな状況になると口癖が頻発するのかを知りましょう。自分の口癖と自分が口癖を頻発する時に気づいたら、どうすれば止められるのか対処できるようになります。
ステップ3:一人で即興で話す練習をする
自宅のリラックスできる環境で、適当にテーマを決めて1〜2分間即興で話す練習をしてみましょう。
トーストマスターズの2018年パブリック・スピーキング世界チャンピオンであるRamona J. Smithは、「空いた時間に即興で話す練習をしています。ランダムに話題やテーマを選び、それについて準備をせずに少なくとも1分間は話し、つなぎ言葉は使わないようにします」と、「Real Simple」で語っていました。
ステップ4:確認・友だちや家族に協力してもらう
また、Smithは、友だちや信頼できる家族に、日常会話で自分がどれくらいの頻度で口癖を使っているか数えてもらったり、観察してもらうこともすすめています。
今度、そのような人と一対一で話す機会があったら、口癖やつなぎ言葉をどれくらい使っているか数えてくれるよう頼んでみましょう。「自分がどれくらいの頻度でつなぎ言葉を使っているかわかると、実際に話す時につなぎ言葉をどれくらい使っているか意識できるようになります」とSmithは言っています。
ステップ5:間を恐れない
つなぎ言葉に頼るのは、大抵発言の冒頭や別の考えに移っている時など、何を言うか考えている時です。次に何を言うか考えようとすると、気まずい沈黙をなくすために間を埋めようとします。
つなぎ言葉に頼らないようにするには、間を恐れないのが一番です。
落ち着いて、自分の考えをまとめ、そして考えてから返答すれば、「えーと」などと言うよりも、自信に満ちた力強い発言ができます。
「ハーバード・ビジネス・レビュー」では、「準備ができるまで話し出さないことが大事です。立ち止まり、考えて、答えましょう」と書いています。
「言うは易く行うは難し」ではありますが、間を適切に使うことで、自信に溢れつつも、不確定な要素があるということを伝えられます。むしろ、話し手を良く見せるツールでもあります。
耳で聞くために書くように一文を短くする
淀みなく話すもうひとつの方法は、話す一文を短くして、つまづきやすい言葉や表現を避け、文章が重ならないようにします。
コミュニケーションの専門家Lisa Marshallは「Toastmasters」で、「頭の中の処理の負荷を減らすと、流暢さが増す確率が高いと研究で証明されています」と書いています。
彼女は、スピーチの準備をする時は話し言葉で書き始め、それから自分の伝えたいことに書き直し、「目で読むのではなく、耳で聞くために」書くようすすめています。
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Source: ハーバード・ビジネス・レビュー,Quantified,Ramona J. Smith,Real Simple,Toastmasters