先日Fast Companyでは、「自分の労働時間が長すぎるかどうかを知る方法(英文記事)」という記事を紹介しました。
労働時間が長すぎるというと、早く出社して遅くまで残っている、というイメージが浮かびますが、そのとおりです。標準的な週40時間を超えて働いている、というような意味です。
では、労働時間を短くしたほうが生産性が高くなる場合もあるのでしょうか? 自分にとって理想的な1日もしくは1週間の労働時間を見つけるには、どうすれば良いのでしょうか?
タスクの組み合わせを最適化する
週の労働時間という概念は、製造業から生まれました。要は、シフトの時間が長いほど、より多くの製品をつくれるという考え方です。
一方、知的労働者の場合、労働時間と生産性には、それほど直接的な関係はありません。
知的労働者の仕事5タイプ
知的労働者が行なう仕事には、一般に、大きく分けて5つのタイプがあります。
- 組織内での情報伝達(会議、電子メール、電話など)
- 顧客や取引先とのやり取り
- 作業成果物の作成(報告書、注文書、コーディング、分析)
- アイデア出し
- 知識とスキルの向上
電子メールやチームメッセージアプリの台頭により、これらのうち最初の要素(特に会議と電子メール)に費やす時間の割合が大幅に増加しています。
こうした変化には、3つの欠点があります。
まずは、アイデアを出したり新しいことを学んだりといった、もっと将来を見据えた活動に使える時間が減少してしまうこと。
次に、電子メールやテキストベースのコミュニケーションは恒常的に利用可能であるため、延々と業務時間を消費しがちなこと。
最後に、新しいビジネスを生み出すのではなく、情報の受け渡しに多くの時間を費やしているだけであっても、前進しているような錯覚を生み出してしまうことです。
これらのタスクのなかから、自分に最適な組み合わせを選ぶことができるとしたら、それはどういうものかを考えてみる価値はあるでしょう。
コミュニケーション、現在のビジネスへの注力、将来の機会の開拓について、最適な組み合わせをつくることに重点を置いてください。
「仕事の質を高めることにつながらない、仕事の側面」を削減する方法を探してみると良いでしょう。
仕事の取り組み方を考える
コツコツ取り組むことが最適な場合
仕事上の課題には、コツコツ取り組むことで最もうまく解決できるものもあります。
アンジェラ・ダックワース氏が提唱する「GRIT(やり抜く力)」のような人気のあるアプローチは、このようなケースに焦点を当てる傾向があります。
たとえば、ダイソンの創業者であるジェームズ・ダイソン氏は、紙パック不要の掃除機をつくる方法を思いついたのち、プロトタイプの開発に5年を費やしました。
良いアイデアを持っていることはわかっていました。必要なのは、信頼できる製品として使える、具体的な構造を見つけ出すことだけでした。
しかし、それ以外の仕事の課題は、長時間労働だけでは解決できそうにありません。
仕事から離れることが最適な場合
日々解決しようとしている課題が、現在の仕事の範疇を超えた創造的なものである場合、机の前に座ってひらめきが来るのを待つだけでは、最良の方法とは言えないかもしれません。
外に出てみましょう。体を動かしましょう。しばらくの間、問題から離れてみましょう。解決すべき特定の課題とは関係のないことに、目を向けてみましょう。
課題から離れるこうした時間が、変革をもたらすのです。課題に立ち戻った時、以前とは違う説明ができるようになり、それが新しい道へと導いてくれるはずです。
逆説的ですが、仕事の重要な要素として創造性が必要な場合、仕事から離れることで生産性が向上するケースもあるのです。
仕事から離れることで得る気づきもある
何年仕事をしてきたとしても、常に、将来の成長に目を向けていなければなりません。
ビジネスの世界は急速に変化しており、それに適応するためには、新しい知識やスキルが必要になります。
ですが、あなたが知るべきこと(そしてその方法を知ること)の多くは、現状の仕事と関係した範疇にあるとは限りません。
実際、趣味だと思っていることが、業務にもフィードバックされることがあります。
たとえば、私が30代半ばでサックスをはじめたのは、もともと楽器を習いたいと思っていたからです。明らかに、これは心理学の教授としての私の仕事とは関係ありませんでした。
ですが、ジャズを演奏した経験から得た多くの教訓が、リーダーシップやキャリアに関する心理学について書いたり話したりする方法にフィードバックされています。
もし私が、仕事から離れて、この新しいスキルを身につけなければ、これらの類似点に気付くことはできなかったでしょう。
要するに、「次の素晴らしいアイデア」がどこから生まれるかは、絶対にわからないのです。ある分野の専門知識が必要だということは、自分が取り組んでいるプロジェクトと関係があるとわかってから、初めて判明することなのです。
長時間労働には、機会費用が伴います。つまり、その時間をほかの経験に費やせば、将来の生産性につながるかもしれないのです。