最近、疲れを感じることはありませんか? もしそうだとして、その思いを人に話せていますか?

話を聞いてもらうだけでも気持ちがスッと落ち着いたり、助言をもらうことで新たな気付きを得て解消したりすることも多いもの。

一方、多くの人がそのような状況にはないようです。事実、2021年5月に野村総合研究所が実施した調査によると、20~30代の2人に1人が孤独を感じているといいます。

もしも疲れやストレスを感じていて、誰かに聞いてもらえる状況にないなら、今回のメソッドはきっと役立つと確信します。「がんばらなくていい」「逃げてもいい」。そんなメソッドです。

認知行動療法をベースとしたストレス対処法「ストレスコーピング」理論に基づく“戦略的サボり方”をご紹介します。しんどい時こそ、ぜひ取り入れてみてください。

ストレスは「事実」ではなく「虚像」

「仕事がうまくいかない。最悪だ…」

「上司の言い方がキツい。できないやつと思われただろうな」

「特急仕事ばかりで、やっていられない!」

このように、心のモヤモヤがつきまとうことは多いもの。でも、ここで重要なのは、ストレスは「事実」ではなく、「評価」がつくり出した虚像でしかないと認識すること。

そして、その「評価」には人によって独自の傾向があります。

たとえば、仕事が上手くいかなかった場合、「いつもこうだな…」とマイナスに捉える人は、どんな時でもマイナス思考になる傾向があり、「もっと丁寧に教えるべきだ」とイラつく人は、怒りっぽい傾向があることなどがわかっています。

そしてストレスがたまる際は、たいていの場合こうした思考パターンに陥っているケースが多いのです。

ストレスに直面したら「評価コーピング」で対処

ここでまずやっていただきたいのが、「評価コーピング」。

ストレスコーピングでは、この「評価」の癖に気付き、別の見方ができないかを考えます。「その考え方はフラットじゃないよね」とツッコミを入れるイメージです。

たとえば、先程の例で実践してみると以下のようになります。

「いつもこうだな…」:自分を許すツッコミを入れる

「いつもと言っても3割くらいでしょ。充分じゃん!」

「完璧なんてない。完璧は幻想」

「もっと丁寧に教えるべきだ」:相手を許すツッコミを入れる

「“べき”とは言い切れないな」

「相手にも事情がある」

「自分とは考え方が違うだけ」


ストレスを感じたら、「ほかの見方はないかな?」「許すことで、ポジティブな捉え方はできないか?」「今ではなく、将来の視点で考えたらどうか?」と、積極的に評価コーピングを行ない、視点を変えて考えてみることをおすすめします。

▼評価の「ストレスコーピング」はこちらでも詳しく解説しています

思考を転換。「心の疲労」を溜めないセルフトーク法 | ライフハッカー[日本版]

思考を転換。「心の疲労」を溜めないセルフトーク法 | ライフハッカー[日本版]

「サボり」はパフォーマンスを上げる戦略的な選択

とはいえ、いくら「評価コーピング」をしてもスッキリしない時もあります。

その場合は「物理的コーピング」を用いることもおすすめ。いわば、“臭いものには蓋をする“発想で、その場や環境から離れたり遠ざけたりすることも、実は戦略的なコーピングの1つなのです。

この考えに基づくと、「本当にしんどい時は休んでもいい」ということ。サボったってOK、手抜きをしてもいいのです。

「怠けてはいけない」「ここで根性のなさを露呈させてはいけない」といった考えは捨てましょう。オーバーヒートを起こしかねません。

こう考えるといいかもしれません。たとえばガス漏れが起きていたとして、

「臭いと思うから臭い。実はこれも香りである」

と評価コーピングをしたところで、かえって危険が増すだけなのと一緒。このケースは、その場から避難する(逃避)のが賢明でしょう。

「本当にしんどい」時も同じ。「有給休暇をしっかりとる」「残業をやめ、サクッと帰る」などの回避をすることも戦略です。

筆者も「疲れたな…」と感じる時は、戦略的に休んでいます。あえて明日に仕事をまわし、ゆっくりする時間を設けたり、「まあいいか」と仕事を中断して夜の9時に就寝したり、月曜日まで休日にして3連休にしたり…。

これも、パフォーマンスを発揮し続けるための戦略的な選択なのです。

心地良く働ける環境を整えるのも「スキル」の1つ

なかには、「戦略的サボり」が難しいと思う人もいるかもしれません。そんな人におすすめなのが、場所を変えること。

心理学では「環境改善」と呼ばれ、環境を整えるだけでもポジティブな作用が見られるのですから、やらない手はありません。

なお、集中したい時は、無音よりもある程度騒がしい場所のほうが良いでしょう。

ほかにも、考えを整理したりアイデアを練ったりするなら、歩きながら仕事をするのが有効。「歩いている時は、座っている時よりも創造性が60%向上する」といった、スタンフォード大学の研究結果があるように、歩きながら仕事をすることで想像力の高まりが期待できます。

スティーブ・ジョブズ氏が、アップル社があるパロアルトの公園を歩き回りながら、仲間とアイデア整理をしていたことは有名な話。

筆者も、研修の構成を考えたり、本の執筆内容を整理したりする際、あえて歩きながら行なうようにしています。太陽の光を浴びながら考えると、不思議と「難しい」と感じていたことに対しても、ひらめきが舞い降りてくることが多々あります。

「しんどい」と感じたら場所を変えてみる! たった、これだけのことでも随分とリフレッシュできます。心地良く働ける環境を持つことも、これからの重要なスキルと考えてもいいでしょう。


今回は、ストレスの解消方法に焦点を当てた対策を解説しました。ぜひ今回のセオリーを取り入れ、改善すべきことがないか考えてみてください。そして、まだやるべきことがあるなら、早速次の機会に実践してみてください。

今回の内容が、ストレス緩和に向けての一助になれば幸いです。

伊庭 正康 株式会社らしさラボ 代表取締役

伊庭 正康 株式会社らしさラボ 代表取締役

リクルートグループ入社。残業レスで営業とマネジャーの両部門で累計40回以上の表彰を受賞。その後、部長、社内ベンチャーの代表を歴任。2011年、株式会社らしさラボ設立。リーダー、営業力、時間管理等、年間200回以上の研修に登壇。リピート率は9割以上。現在は、オンラインを活用した研修も好評。近著に15万部を超える『できるリーダーは、「これ」しかやらない メンバーが自ら動き出す「任せ方」のコツ(PHP研究所)』『できる営業は、「これ」しかやらない(PHP研究所)』のほか、新刊の『結局、「しつこい人」がすべてを手に入れる(アスコム)』をはじめ、他多数の書籍がある。

無料メーリングニュース(全8回)

※YouTube「研修トレーナー伊庭正康のスキルアップチャンネル」、音声メディアVoicy「1日5分 スキルアップラジオ」もスタート。

※伊庭の研修をオンラインで学べるUdemyの講座も好評(Udemyベストセラー入り!)

Source: 野村総合研究所, Stanford University