ストレスを軽減する方法」は数え切れないほど存在します。ただ、継続的なルーティンや、スケジュールの変更、毎日すべきアクティビティなど、長期的な取り組みを必要とする事柄があまりにも多いような印象を受けます。

人によっては、こうしたことを実行すると考えるだけでも、余計なストレスがかかってしまうでしょう。

Googleのサンダー・ピチャイCEO最近紹介した、あるストレス抑制テクニックに、人々の注目が集まったのはそのためです。ピチャイCEOは、2022年2月に行なわれたウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のインタビューで、この手法について紹介しました。

それは、瞑想ではありません。ダイエットでもありません。日記を書くことでもありません。

それは、「眠らずに深い休息を取る」というリラックス方法「NSDR(Non-Sleep Deep Rest)」をガイドしてくれる一連のポッドキャストです。ピチャイ氏は、このポッドキャストを聴きながら、リラックスしているそうなのです。

NSDRとは

NSDRは、スタンフォード大学神経科学部のアンドリュー・ヒューバーマン(Andrew Huberman)教授が名付けた手法です。

「Business Insider」の記事は、このNSDRについて詳しく解説しています。ヒューバーマン教授によると、NSDRとは、「意識を何かに集中」しつつ、「穏やかな状態を自己誘導すること」とだそうです。

具体的には、NSDRの2つの重要な構成要素として、「ヨガニドラ」と「催眠的状態(hypnosis)」をヒューバーマン教授は挙げています。

前者は、「身体を静止させて、身体の一部や自然なリズム(たとえば呼吸)に意識を集中するよう促すもの」です。後者は、まさにご想像どおりと思われますが、「周囲を締め出して、集中力の高い状態を得ること」だとヒューバーマン教授は説明しています。

なぜ短期的にストレスを軽減できるのか

こうしたあり方は、とりわけ、常に動き回り、毎日非常に多くの仕事をこなす多忙な経営幹部層の人たちにとっては、「言うは易く、行なうは難し」と思われるでしょう。

試行錯誤の末に私が気付いたのは、すでに慣れているアクティビティとNSDRを組み合わせるのがよさそうだということです。そのアクティビティとは、たとえば皿洗いのような、機械的で、最小限の精神的努力しか必要としない活動にとどめておくことをおすすめします。

そうしたアクティビティは、NSDRの助けがなくても禅のように感じる人もいるでしょう。ですが、さらなる平穏が必要なら、NSDRは、実際にすぐにそこへ到達する手助けをしてくれるのです。私の経験から、その理由を以下で説明します。

いつでも「心を落ち着かせる状態」に入ることが可能になる

忙しいCEOにとって、周囲からの影響はストレスの最たるものです。従業員、投資家、そして地域社会からの要望や要求、アピールは尽きることがありません。

ほんの数分であっても、周囲からの影響を取り除くよう自分を訓練することができれば、NSDRの実践中でなくても、1日中いつでも心を落ち着かせるためにこの手法を適用できるようになるでしょう。

ストレスから「意図的に」回避できるようになる

NSDRにおけるヨガの要素は、自分の体の中でストレスを抱えている部分を認識する訓練になります。

このことを意識化しつつ、リラックスしようという信号や、溜め込んだストレスを解放しようという信号を意識的に送ることは、次の2つの理由で役に立ちます。

  1. まずは、ストレスが高まっていることを感じ取り、ストレスに圧倒されてしまう前に意図的に「退避」できるようになります。
  2. 身体のなかにストレスを「感じ」、それを解放することで、継続的にストレスをコントロールできることでしょう。

これらの利点はどちらも、1日のどのタイミングでも享受することが可能です。そして、NSDRのサポートがあれば、無意識のうちに行なわれる「習慣」にすることもできます

朝や夜に行なう「リラックスのためのルーティン」の場合は、手間や、スケジュール変更などが必要ですが、NSDRでは、そうした手間などがなくても、同じ効果をすぐに得られるようになるのです。

日常に少しでもNSDRを

何か良いきっかけを探しているなら、Apple PodcastsまたはSpotifyで「A Bit of a Boost:NSDR」をチェックしてみてください。また、ヒューバーマン教授のウェブサイトでは、健康に関する数々の洞察にも触れることができます。

確かに、リラクゼーションやストレス管理のテクニックは無数にありますが、どれも万能というわけではありません。

ですが、ストレスを「その瞬間に」制御する方法を学べば、そのぶんだけ、「何もせずにリラックスする時間」と「ただひたすら忙しい時間」を区分する必要はなくなっていくと思います。

そうすれば、どんなに慌ただしいスケジュールであっても、心の穏やかさとともにこなしていけるようになるでしょう。

Source: WSJ MAGAZINE, BUSINESS INSIDER, Spotify, Apple Podcasts Preview, HUBERMAN LAB/Originally published by Inc. [原文] Copyright ©︎ 2022 Mansueto Ventures LLC.