読者のみなさんの中にも、最近になってリモートワーク中心の仕事に転職したという人がいらっしゃるでしょう。
部屋着のスウェットを着たまま仕事ができる、通勤が不要になるといったことから、ワークライフバランスの改善まで、リモートワークにはたくさんのメリットがあります。
でも、こうした働き方の最大の難点の1つが、一緒に働く同僚の「人となり」を知るのが難しいことです。
オフィスで働いている場合は、ランチルームで交流やおしゃべりをしたり、仕事のあとに「ビールでも一杯飲みませんか?」と誘ったりするのはそれほど難しくありません。
しかし、Zoomでのリモートミーティングでカメラ越しに手を振るくらいしか交流の方法がない場合、オフィス勤務の時と同じような仲間意識を築くにはどうしたら良いのでしょうか?
この記事ではこの問題の解決策を探っていきます。
1. 新たに所属したチームのコミュケーションスタイルを知る
いきなり仕事仲間の中に飛び込んで仲良くなろうと努力する前に、リモートで働くチームが好むコミュニケーションのスタイルを知ることが不可欠です。
場合によっては、あなたを雇った会社の側が、リモートで働く同僚たちに早く溶け込めるよう、ツールや戦略を用意しているかもしれません。
まずは会社に対して、コミュニケーション戦略に関する新入スタッフ向けの説明書があるか、尋ねてみましょう。ここには、使用可能なコミュニケーションツールや、それぞれのツールを利用すべき状況が説明されているはずです。
さらに、オンとオフの両面で新しい同僚とつながり合うための最適なツールは何なのか、きちんと把握しておきましょう。
検討すべき選択肢には、以下のようなものがあります。
メッセージ用ツール
「Microsoft Teams」などのソフトウェアを使えば、リモートで働くチームと、リアルタイムでコラボレーションできます。
こうしたツールでは、チャンネルの作成や、メッセージや文書などの共有ができます。
コミュニケーション戦略が明示されている職場であれば、メールや通話ではなく、メッセージ用ツールを使うべきケースについて、方針が示されているでしょう。
「非同期型」のソリューション
あなたのリモートチームのメンバーが複数のタイムゾーンに散らばっている場合や、いわゆる「Zoom疲れ」を避けたい場合は、リアルタイムで話さなくて済む「非同期型」のコミュニケーションツールが最適かもしれません。
この場合は、「Loom」や「Yac」などのソフトウェアを使って、上司や同僚向けのメッセージを録音し、返事が来るのを待つことになります。

リアルタイムで会話するオプションも
あなたの新しい職場が、リアルタイムのやりとりを好んでいる場合は、「Zoom」や「Google Meet」などのツールを使ったビデオ通話に加わるよう促されるかもしれません。
こうしたビデオ会議用ソフトウェアを使う際のエチケットとして、社内に取り決めがあるかどうかも確かめておきましょう。たとえば、自分が発言する時以外はマイクをミュートにする、発言したい時は手を挙げて示す、といったものがあります。
2. 入社時の小さな悩みは、「バディ」に相談する
理想を言えば、入社時に同僚との顔合わせがスムーズに進むように取り計らってくれる役割の上司がいると助かるでしょう。
これに加えて、入社時に「バディ(相棒)」をつけてくれる会社もあります。
これは、転職してきた社員が、配属されたチームの既存メンバーと意思疎通をはかるのに、とても有効な方法です。上司にわざわざ訊くほどではない、ちょっとした質問を尋ねやすくなります。
Chili PiperでSEOコンテンツ・マネージャーを務めるCarlos Silva氏も、新規採用された社員が、リモートワーク主体の組織に配属された時には、バディ制度を大いに活用すべきとの考えている1人です。
Microsoftも、新たに採用した社員にバディをつけることで知られています。Microsoftの公式ブログにも、成功を収めているこの制度についての記事が投稿されています。
その記事によると、新たな職場で仕事をはじめてから90日以内にバディと1回以上接触する機会があった新規採用者のうち56%が、「生産性を高めるために、この制度が役立った」と回答しています。
会った回数が2~3回になると、この割合は73%に跳ね上がります。さらに、8回以上接触した人の場合は、なんと97%に達しました。
リモートで働いている場合は、仕事以外の面で職場になじむために、バディにメッセージを送ったり、バーチャル版のコーヒーブレイクを予定に組み込んだりする必要が生じるかもしれません。
また、会社側がSlackチャンネルに「Donut」ボット(週に1回ランダムでペアを組める仕組み)のような社内交流ソリューションを組み込み、気の合いそうな同僚と出会えるようにするのも良い方法です。
3. バーチャル井戸端会議に参加する
リモートで働く場合、雇用主である会社の側が、気のおけない会話ができる場所をメッセージチャンネルに用意していることもあります。
これは新規採用者にとって、ほかのチームメンバーの「人となり」を知る格好の手段になります。
仕事でのビデオ会議をしているなかで気づいたそれぞれの個性を、より詳しく知ることもできるでしょう。
バージニア大学ダーデン・スクール・オブ・ビジネスの教授Toni Irving氏は、この点について以下のように説明しています。
(リモートワークの)結果として、社員がお互いに、より一層親しみを持つようになるという現象が起きています。同僚はいまや、パーカーやTシャツといった格好で働いています。また、飼っている猫の姿を見かけることもあるでしょう。
会社で働く人たちは、Zoomを使うことで、ほかの手段では決して得られなかった形で、同僚それぞれの個性あふれる暮らしぶりについて知るようになりました。
あなたの新しい職場のSlack上のワークスペースにも、「#random(雑談)」や「#watercooler(井戸端会議)」といったチャンネルが設けられていることがあるでしょう。
これは、仕事に関係のないトピックについておしゃべりをすることが奨励されているチャンネルです。
こうしたチャンネルで、好きな楽曲や、昨晩一気見したNetflixの番組について、自分の思いを書き込んでみてはどうでしょうか? あるいは、飼っているペットの写真を投稿するのも良いでしょう。
同僚からの感想には必ずリプライをすれば、すぐに仲良くなれるはずです。
4. メンターと良い関係を築く
企業に新たに採用された人にとっては、メンターからのサポートが役立つこともあるでしょう。こちらは、先述したバディとは違い、会社での働き方や個人の能力向上といった、仕事関連のテーマにフォーカスした役割です。
メンターがいる職場では通常、定期的にメンターとの面談機会を設定し、新しい会社になじめているか、業務はどこまで進んでいるかといった話題を話し合います。
ただ、メンターに任命されるのは、チームでも上の立場にあり、何かと頼りにされている人が多いので、話をしようとしても忙しくて難しいケースもあるでしょう。
メンターとの面談の時間を確保するには、「Calendly」のようなスケジュール管理ツールを使うのが一般的です。

リモート環境で働いていて、会社の側がメンターを置くことにあまり積極的ではない場合でも、社内での人脈づくりやチームメンバーとの交流の重要性を決して軽視しないでください。
今後の自分のキャリアのためにも、積極的に自分をアピールし、良い印象を持ってもらうことが大事です。
ですから、正式なメンターがいない場合は、チーム内の経験豊富なメンバーにアプローチして「新しい環境で働きはじめた自分のサポートをしていただけませんか?」とお願いしてみましょう。
5. バーチャルの交流イベントには積極的に参加する
「Microsoft Teams」を使った新規採用者向け歓迎セッションは、もとからいる社員たちと打ち解けるためのすばらしい手段です。
それ以外にも、チーム構築ツールの「Gatheround」などを使えば、会社側も簡単に交流イベントを企画できます。
こうした場なら、あなたもリラックスして、同僚と談笑することができるでしょう。
最初のうちはちょっと気まずい思いをするかもしれませんが、こうしたチームの歓迎イベントには、できるだけ多く参加し、すばらしい職場文化をつくり出すために催されていることを、忘れないようにしましょう。
新しいチームに早くなじむために必要なことは?
リモートワークで同僚との距離を縮めることは、従来のオフィス環境でのコミュニケーションに比べると、ハードルが高いかもしれません。けれども、決して不可能なことではありません。
大切なのは、親しみやすい態度で、自分から積極的に行動し、訪れたあらゆるチャンスをフル活用することです。そうしていれば、新しい職場で初のZoomパーティーに出席するチャンスも、そう遠くないはずです。
Source: Microsoft(1, 2), loom, yac, zoom, Google Meet, Chilipiper, donut, Forbes, slack, Calendly, GATHEROUND/Original Article: How to Get to Know Your Remote Team in a New Job by MakeUseOf