手帳、使っていますか?

Googleカレンダーなどスケジューラーアプリ全盛の現代ですが、今も手書きの手帳を愛用する人は少なくありません。それは「アナログならでは」のよさをどこかで求めているからではないでしょうか?

ライフハッカー[日本版]の特集「深化するメモ術」でも登場した手帳評論家の舘神龍彦さんに「手帳メモ習慣」のメリットを教えてもらうとともに、習慣化するためのポイントについて寄稿してもらいました。

今回は最終回です。

第1回と第2回はこちら

なぜ手帳メモ習慣が続かないのか? 押さえるべきたった一つの原則 | ライフハッカー[日本版]

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「手帳をとにかくマメに開くこと」がタイムマネジメントの基本のキ | ライフハッカー[日本版]

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舘神龍彦(たてがみ・たつひこ)

舘神龍彦(たてがみ・たつひこ)

デジアナリスト・手帳評論家。主な著書に『凄いiPhone手帳術』(えい出版社)、『意外と誰も教えてくれなかった手帳の基本』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『手帳と日本人』(NHK出版新書)など。「マツコの知らない世界」(TBSテレビ)「HelloWorld」(J-WAVE)はじめテレビ・ラジオ出演多数。文具の製品開発、講演等を行っている。Yahoo! Japan クリエイターズプログラムで文具・手帳の動画を発信中。2022年4月30日によみうりカルチャー横浜にて講演予定。twitter:@tategamit

手帳への記入のハードルは「不可逆性」

手帳のスケジュール欄になかなか予定を書け込めないという人がいます。

これにはさまざまな理由が考えられます。

まず、印刷された予定記入欄の時間が絶対的なものと感じること。日本の手帳は、もともと国が作ったものでした。また暦もその時々の為政者が決めてきました(詳しくは拙著『手帳と日本人』(NHK出版新書)参照)。

つまり、“お上”が決めた時間軸にそって、個人が自由な意志で決めたことを記入することへの抵抗感のようなものが、無意識に残っている可能性があるのです。

また、紙にペンで記入すると、消すことができません。

つまり、絶対性を感じさせる時間軸に沿って、消すことができない予定を書くわけです。客観的にはたかだか紙にペンで記入するだけですが、それぞれの意味づけが重なってやりにくい行為になっている…。

これが、手帳に記入しにくいという感覚の正体ではないか。筆者はそんなふうに考えています。

消せるボールペンを使う

では、どうすればいいか。消せるボールペンを使って予定を記入するのは、ひとつの解決策でしょう。

油性や水性のボールペンは消せませんが、たとえば「フリクション」(パイロット)を使って記入するのです。

フリクションには、単色やマルチペンタイプなどいろいろな製品があります。最も細いペン先は0.38。手帳に記入するのにとても便利です。

記入するのは仕事の開始時間と終了時間。そして関連する内容をメモ欄に記入します。

もし予定が変更になったら、いったん消して書き直しましょう。あるいは、別の色のフリクションで実際の予定を書くテクニックもあります。

これは、予定と実際、いわゆる予実が記録できる方法でもあります。

フリクションはかつて色が薄いという難点がありましたが、最近の製品はこれが解消されています。記入しても普通のボールペンと遜色ない発色です。

消せる筆記具としては、シャープペンもあります。最も細いペン先は0.2ミリと手帳との相性もとてもいい文具です。

ですが、消しゴムが不可欠だったり、色が黒に限られていたりと、使い方の工夫が求められるものでもあります。

フリクションの場合はマルチペンタイプもあり、また本体末端に消去用のゴムが標準装備されています。扱いが簡単なのです。

なので、手帳に予定を記入するのに抵抗感がある人は、まずフリクションを使ってみましょう。

手帳の巻末ページにウィッシュリストを作ろう

この連載第1回でも触れたように、手帳には予定管理機能以外の役目もあります。

たとえば仕事関連のメモもそれです。手帳は、使う人の各種情報を一元的に管理するための紙の情報媒体なのです。

その根っこにあるのは「時間」というリソース。だから予定やタスクなど、時間と関連する情報の管理に、手帳は向いているわけです。

一方で、予定として決まっているわけではないけれど、「やりたいこと」もあると思います。たとえば「地方に旅行へ行きたい」「英語の勉強をしたい」などです。こういうことも手帳に書いておきましょう。

具体的には手帳の巻末ページを使います。

巻末ページには単なる横罫のノートがあると思います。ここにまず「やりたいこと」とタイトルを書きます。

次に1行ごとに縦に「1」「2」「3」…とナンバリングをしていき、それぞれにやりたいことを1行で書いていきます。

このときのポイントは、できるだけ簡潔に書くことです。また「○○したい」より「○○する」と書いたほうがいいでしょう。

そして、折に触れてちょくちょく見直します。自分が何をやりたいのかは、実は自分でもよく分かっていません。やりたいことを忘れず明確にするのに、こういうリストを使うわけです。

「やりたいこと」が実現に近づく

こういうことを書くと、「それって“引き寄せの法則”なんじゃないの?」と思う人もいるかもしれません。

「スピリチュアルじゃないか」という声も聞こえてきそうですが、これはいわばカラーバス効果の応用です。特定のテーマについて意識していると、それに関する情報が集まってきやすくなるのです。

手帳の巻末にこういうページを設けてちょくちょく見ることで、その「やりたいこと」に関する情報への感度が高くなり、実現が近くな手帳にはこういう使い方もあるということを知っておいてもらえればと思います。

舘神さんおすすめ文具

フリクションボール3ビズ

消せるボールペン「フリクション」のビジネスタイプ。高級ボールペン的な仕上げで赤黒青の3色が使えるため、使い勝手がいい。

Source: GettyImages