『はぶく勉強法 20万人が証明 インプットを8割削って一発合格』(並木秀陸 著、秀和システム)の著者は、自身の立場とキャリアについて次のように記しています。
資格試験の予備校を経営する傍ら、いまも現場で自ら講義を担当し続けており、講師業にありったけの情熱を注ぐ現役の予備校講師です。
講師業務は20年におよび、教え子は延べ20万人を超えています。講義時間も、通算2万時間を超えました。(「はじめに」より)
興味深いのは、「資格試験勉強の8割はぶいていい」と主張している点です。資格試験の勉強は、語学や教養を身につけるためのそれとは違い、あくまでも試験に合格することを前提とした勉強。その目的を念頭に置いた場合、試験に出ないことを延々と勉強するのは無意味だということです。
だとすれば、受かる勉強とはどのようなものでしょうか?
誤解を恐れずに結論から言うと、それは「サボる」ことです。
試験範囲が広い難関の資格試験で、その10割を完璧にこなすことは不可能です。私は「すべてやらなくていいので、まずは2割を完璧にしてください」と言っています。つまり「8割はぶいていい」ということです。
あまり知られていませんが、満点を取らなければ合格しない資格試験は存在しません。7割取れば充分に合格できます。
つまり、参考書や問題集を10割すべてやらなくても合格できるのです。(「はじめに」より)
本書では“落ちる勉強をしてしまうAさん”と“受かる勉強をするBさん”とを比較しながら話が進められていきます。
「ぜひBさんタイプの勉強を実践し、人気の難関試験に一発合格していただきたい」という著者のメッセージを頭にとどめておきながら、第2章「インプットは2割! 10割極めようとすると落ちる」内の「長時間勉強する人は落ちる、時短勉強をする人は受かる」に目を向けてみましょう。
時間がないなら「どうすればいいか」考える
不動産会社に勤める2人。勉強時間を確保できるときには1日中勉強に励むAさんと、勉強時間が確保できず、なにかと「時間がなくて」が口癖のBさん。
この2人であれば、やはり合格するのはAさんだろうと思うかもしれません。
しかし、Aさんのように長時間勉強しているだけでは、合格するかはわかりません。どれだけ長い時間かけても、合格するために役立つ勉強をしているかどうかによって、その効果は違ってきます。
効果のない勉強を長時間続けても、合格率が上がるはずがありません。(66ページより)
そもそも人間は、長時間にわたって集中し続けることができません。つまりAさんもずっと集中し続けているわけではなく、現実的にはボーッとする時間や、他のことに気を取られている時間だってあるはずなのです。
対するBさんは、長時間勉強し続けることができず、向いてもいません。そこで自分には集中力がないと割り切り、時間がなければないなりに、「どうすればいいか」と考えたのだそう。
その結果、申し込みはしたものの、多忙のためなかなか通えていなかった予備校の講義を、通学から通信で映像を見ることができるコースに切り替えることにしたのだといいます。
さらに、時間がないことから、どの講義も倍速で聞くようにしたのです。講義といっても講師がしゃべっているだけですから、知識をインプットするためであれば、Bさんとしては聞き取れれば充分でした。倍速にしても問題なかったため、90分の講義を半分の時間で聞くことができました。(67ページより)
自分の短所を認めたうえで「できること」を考えれば、そこから手段が見えてくるのかもしれません。(66ページより)
悩むより人に聞くほうが早い
そしてBさんは、他にも時間を短縮する方法を考えたようです。
たとえば、わからないことがあっても、悩む時間も調べる時間もないのだから、悩むよりも調べるよりも人に聞くほうが早いと割り切りました。
そこで、わからないことがあったら、申し込みしている予備校の講師に質問しに行けばいいと決めたのです。(68ページより)
もちろん、わからないことがあったらそのたびに聞きに行くということではありません。わからないことをまとめておいてから聞きに行ったわけで、たしかにそうすれば、かかる時間を短縮することができます。
さらに講師に質問する前には、必ず「合格するために必要ないことなら、わからないままでかまいません。それだったら、教えてくれなくてもいいです。私には時間がありませんから」と断っていたのだとか。
つまり資格試験の勉強をする際に大切なことのひとつは、Bさんのように限られた時間を活かす勉強をすること。極端なくらいに知識を絞ることになりますが、そのほうが本当に必要な力だけを、ピンポイントで鍛えることができるようになるというのです。(67ページより)
割り切ってポイントを絞ろう
目標を決め、それに向けて力を発揮するためには、割り切ってポイントを絞ったほうがいい結果が出ることが多いと著者はいいます。資格試験のための勉強が、まさにそれにあたるわけです。
ですから、勉強時間が長いか短いかは、試験勉強で合格するための能力アップと、必ずしも関係があるわけではありません。
重要なのは、試験突破に要求される知識だけを最短距離で身につけ、合格点に至るまでの問題を解く能力を鍛えることです。(68ページより)
誰にとっても、1日は24時間しかありません。しかも、Aさんのように時間を確保すればいいというものでもないわけです。
大切なのはひたすら勉強し続けることではなく、「勉強時間を短縮することはできないか?」と考えてみること。結果的にはそれが、合格への時間も短縮することになるということです。(68ページより)
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学生はもちろん、社会人や主婦、さらには何度も落ちている人でさえ、本書で紹介されているメソッドを利用すれば短期で一発合格できると著者は太鼓判を推しています。資格試験の合格を目指す人は、ぜひ参考にしたいところです。
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Source: 秀和システム