大量に覚えて絶対忘れない「紙1枚」勉強法』(棚田健大郎 著、ダイヤモンド社)の著者は、不動産の取得や処分、管理、投資のアドバイスなどをする不動産コンサルタントであり、宅建合格をサポートするYouTubeチャンネルの運営も行っているという人物。

特筆すべきは、働きながらわずか3年で、独学によって9資格の取得試験に合格したという事実。つまりここでは、そうした実績を生み出した「大量に覚えて忘れない」勉強法を紹介しているわけです。

すべての試験に一発合格できたわけではなく、1年間必死でがんばったにもかかわらず合格できなかったこともあったそう。独自の勉強法にたどり着くまでには紆余曲折があったわけですが、あるとき「暗記さえできれば合格できる」ということに気づいてから可能性が大きく開けたのだといいます。

不合格になる原因の多くは「忘れる」から。そのため、勉強したことを試験日まで「絶対に忘れないようにするしくみ」をつくれば、再現性のある勉強法になるというのです。しかも、やり方はいたってシンプル。それが「紙1枚勉強法」だというわけです。

用意するのは紙1枚とペンだけ。

・一度覚えたことを絶対に忘れない

・スケジュール管理ができ、学習効率が大幅アップ

・「見える化」により、モチベーションがとぎれない

(「はじめに 大量に覚えて絶対に忘れない『紙1枚』勉強法とは?」より)

こうしたメリットのある勉強法を確立してからは、学習効率が大幅にアップしたといいます。きょうは第1章「紙1枚でできる『忘れさせない大量記憶法』」のなかから、基本的な考え方を抜き出してみましょう。

なぜ「忘れて」しまうのか?

著者はまずここで読者に向け、「きのうのお昼になにを食べましたか?」と問いかけています。さて、思い出せたでしょうか? では、3日前のお昼は?

3日前となると、さすがに忘れてしまっているのではないでしょうか? しかし無理もない話で、人は直近の出来事こそ覚えているものの、数日経過すると忘れてしまうものなのです。

そして、同じことは勉強にもいえるのだと著者は指摘しています。事実、自身が行政書士の資格勉強をしていたときもそうだったようです。3カ月くらいかけて行政法を終えて憲法に進んだものの、それから1カ月後にひさしぶりに行政法の問題を解こうとしたら、驚くほど忘れていたというのです。

宅建士や行政書士といった資格の試験は法律知識を問うものであり、計算問題よりも暗記問題が多いのが特徴。つまりは覚えることさえできれば合格できるわけですが、現実的には、必死に勉強してもなかなか覚えられなかったということ。

気になるのは「どうやって勉強していたか」ですが、具体的には、買ってきた参考書を頭から通して読み、そのあとは徐々に問題集の問題を解いていったのだとか。いわば、参考書と問題集という一本道のレールの上を、ただ前進するだけの単純なやり方だったわけです。

しかし、結果的にはそのやり方に問題があったのだと振り返っています。

ちなみに、そのことについての考え方を述べるにあたって引き合いに出しているのは、小学生時代に担任の先生から教わった「復習」についての考え方です。

「その日学校で学んだ内容を、家に帰ってからもう一度復習しましょう」といわれたことは誰にでもあるはず。学んだことをその日のうちに復習することで、より理解が深まり、記憶として定着しやすくなるわけです。

この「復習」は、資格試験の合格を目指すうえでものすごく大切です。

そして大事なのは、暗記と復習を「計画的」に行うこと。「久しぶりに復習してみようか」と、思いついたときに復習してももう遅いのです。(36ページより)

勉強しても忘れてしまったり、どうしても覚えられないという場合、その原因は勉強法にあるということ。「暗記」と「復習」の本質を理解しないまま、ただがむしゃらに勉強してしまっているからだというのです。(34ページより)

「忘れるタイミング」をなくせば絶対忘れない

著者も最初は、覚えられないのではなく、覚えた知識を忘れてしまうことに悩まされたようです。そのため自分に合う記憶法を見つけるべく試行錯誤を重ねた結果、たどりついたのが「落語の記憶法」。

落語家のなかにも勉強が苦手な人はいるはずなのに、それでもみなさん長い落語を暗記しています。そこには、なにか秘密があるからなのではないか? そう考え落語について調べたところ、落語家の立川談笑さんが落語を覚える際に実践している記憶法に出会ったというのです。

いきなり全部覚えるのは難しいため、落語を一定の段落ごとに分割し、徐々に覚えていくという方法。

1日目、小分けにした落語を徹底的に覚えます。

2日目、1日目に覚えた落語を思い出し、覚えていることを確認したうえで、次の小分け部分を暗記します。

3日目、1日目と2日目に覚えた部分を復習し、覚えていることを確認したうえで、次の小分け部分を暗記します。

前日覚えた部分を翌日に復習して思い出す。そして記憶が定着してきたら徐々に復習する間隔を長くしていく。すると最終的には、月に1回思い出せば忘れなくなる状態まで記憶に定着します。(39ページより)

この記憶法は「忘れる前に思い出す」ことで、「忘れる」という部分を徹底的にケアしていくやり方。これを計画的に実施すれば、長期的に忘れない状態を維持できるわけです。

著者がこのやり方に希望を感じたいちばんの理由は、誰にでもできるという点だったそうです。そしてポイントは、「思い出す」ことと、思い出す周期を「計画表で管理する」ことの2つ。難しいテクニックは一切必要ないのです。

このやり方を試験勉強に応用できれば、覚えた知識を忘れないよう維持したまま、新たな知識もどんどん覚えていくことが可能。しかも思い出しのスケジュールを表にして管理すれば、忘れる一歩手前で確実に思い出すことができます。そこで著者はこの記憶法を「忘れさせない大量記憶法」と名づけたわけです。(37ページより)

以後の章では、「忘れさせない大量記憶法」を生かした勉強法やテクニックが掘り下げられていきます。もちろん資格試験のみならず、大学受験や公務員試験、その他のあらゆる勉強(英単語や歴史の暗記など)にも応用可能。時間がなくてもできるので、活用してみる価値は大いにありそうです。

>> 「Voicy」チャンネルでは音声で「毎日書評」を配信中【フォロー大歓迎】

Source: ダイヤモンド社/Photo: 印南敦史