たった1人からはじめるイノベーション入門 何をどうすればいいのか、どうすれば動き出すのか』(竹林 一 著、日本実業出版社)の著者は、株式会社オムロンで、新規事業の立ち上げや新たなアイデアに対する事業化の検証などに携わっている人物。

日常的にイノベーションと向き合っているわけですが、そんななか、「イノベーションというのは結果だ」と実感するのだそうです。

かつてイノベーションについて、次のように教えていただいたことがあります。

「自分の意志に従い、信念を持ってやり続ける人がいる。それに賛同した人が集まって、新しい価値が生まれる。最後に外部の人たちがその価値に『イノベーション』というレッテルを貼る」

つまり、「自分は、イノベーションを起こしているんだ!」なんていう人はいなくて、「自分がやりたいと考えたこと」をやりきった後に新しい価値が生み出されている。それを「イノベーションだ」と外部から言われるわけなんですね。(「プロローグ」より)

事実、著者も「イノベーションを起こそう」と意識したことはなく、「こんなことをやったら、おもしろいんじゃないか」と信念を持ってやり続けているだけなのだといいます。

したがって、そういう意味では「イノベーションとは、たったひとりからはじまる」ともいえるということ。もちろん、多くの人の協力や応援があって初めて、それが実現するわけですが。

いずれにしても本書で著者は、自身の実体験をもとに、失敗と成功を繰り返しながらつかんだ「イノベーションを実現させるための考え方と方法」を明らかにしているわけです。

きょうは第3章「イノベーションは『ちょっとしたWILL』からはじまる」のなかから、「イノベーションのきっかけは『ちょっとしたWILL」から」に焦点を当ててみたいと思います。

「やりたいこと」のスケールを上げすぎない

京都大学経営管理大学院客員教授という肩書きも持つ著者は、大学の授業やセミナーなどで「やりたいことって、どうやったら見つけられるんですか?」と質問されることが多いのだそうです。

そんな彼らを見るにつけ、「やりたいことがないとダメだ」と難しく考えすぎるあまり、自分で自分の首を絞めているように感じるのだとか。

たしかにそのとおりで、本当に大切なのは「やりたいこと」のスケールを必要以上に上げすぎないことであるはず。

人から称賛されそうな「やりたいこと」がなかったとしても、決して問題ではないのです。たとえば、「最近友だちに会ってないな。来週ご飯を一緒に食べに行こう」と思いつくことだって、立派な「やりたいこと」。もしかしたらその食事の席で話が弾み、そこからもっと大きな「やりたいこと」が生まれるかもしれないのですから。

イノベーションについても同じことが言えます。

新商品やサービス開発にせよ、組織改革にせよ、およそイノベーションというものは、1人ひとりの「こんなことをしたい」という「WILL(意志)」からはじまります。いわば「WILL」とは、イノベーションの根幹であり、原動力です。(97ページより)

「個人の力」は、「I believe」「I will」「I think」「I do」と大きく4つに分けられるそうです。そして、だいたい「I think」「I do」(自分で考えて、自分で行動すること)はできるもの。

ところが、ときどき「You think, I do」する人がいるというのです。先生や上司に、やることを考えてもらうような人。

しかし、そういうタイプが偉くなると「I think, You do」になってしまいます。つまり、「私は君たちがやることを考えた。だから、そのとおりにやればいい」ということになるわけです。しかし、当然ながらそれではよくないので、まずは「I think、I do」をきちっとやることが大切だという考え方。(96ページより)

「WILL」の大切さ

そしてもうひとつ大事なのが、この「WILL」です。どれほどの意志で、どこまでやるつもりなのか。本気で業界を変えたいのか。社会的課題を解決したいと本当に思っているのか。(97〜98ページより)

「WILL」のある人は、本気を出せるものです。でも、もし「WILL」がなくて「THINK」だけなのだとしたら、イノベーションはやめたほうがいいと著者はいいます。なぜなら、それだと本気が出るはずはないから。

また、「WILL」が小さかったら、「THINK」も小さくなります。そして「WILL」が大きくなると、今度は「BELIEVE」が大切になってきます。したがって、そうなったら「自分はできる」と信じてやることが重要。

ただし「WILL」が大きくても、いきなり大きな「DO」をやったらコケてしまう可能性があります。そのため、着眼大局、着手小局を心がけるべき。すなわち広い視野でものごとを大きく捉え、着手する際には細部にも目を配る必要があるということです。(97ページより)

そこで、まずは自分の「WILL」が何かわかることが大切です。「WILL」がわかってくると、それに賛同する人が現れてきます。さらに「WILL」に論理やプロセスを重ねていくと、共創ビジネスになるんです。(98ページより)

しかし、だからといって最初から「自分も立派な『WILL』を持たなければ」などと考える必要はないと著者はいいます。なぜならイノベーションのきっかけは、「ちょっとしたWILL」からだから。

たしかに、「自分はイノベーションでこの世の中を変えるんだ」という意気込みを持つこと自体は間違っていないかもしれません。しかし本当に大切なのは、自分がおもしろいと感じたことを、本当に小さなことからやりはじめること。つまりはそこから、やがて「WILL」が生まれてくるわけです。

ただし、もしいま「WILL」が見つからなかったとしても、落ち込む必要はないようです。なぜなら「WILL」とは、ちょっとした好奇心や気づきから生まれてくるものだから。(98ページより)

イノベーションを起こすまでには、いくつもの壁にぶつかるものです。しかしその壁は、とらえ方を変えるだけで乗り越えられることもあるのだと著者はいいます。

だからこそ、イノベーションに興味を持っている人はもちろんのこと、いま壁にぶつかっている人にも本書を読んでほしいのだそうです。目の前の壁を乗り越えるために、手に取ってみてはいかがでしょうか?

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Source: 日本実業出版社/Photo: 印南敦史