英語の「ジェラシー(Jealousy)」と「エンヴィー(Envy)」はまったく同じ意味ではありませんが、どちらも、自分の欲しい物を持っているように思える他人に対して感じてしまう、ネガティブな感情を表しています。
友だちのキレイで真っ直ぐな髪や同僚の昇進、配偶者が自分より少し魅力的な人と仲良くなった時に感じるのは、「ジェラシー」それとも「エンヴィー」でしょうか?
「エンヴィー」は自分が持っていないものに対する感情
「エンヴィー」のほうがシンプルなので、こちらからはじめましょう。「エンヴィー」(日本語にするなら「羨望」)は、「自分の持っていないものを他人が持っている」という具体的な状況に対して起こる感情です。
この場合、相手の持っているものに意識が向いており、その相手個人に対して感じていることではありません。その人の個人的な特質や所有物に対して、羨ましいと感じているのです。
たとえば、その人の自信、スタイル、車、または、あなたが自宅であくせく働いている間に長期休暇が取れるような高収入な仕事かもしれません。
この感情は複雑なこともあります。自分の持っていないものを、相手が持っていることに対して苦々しく感じているかもしれませんし、相手が自分より良い状態にあると知るまでは、自分の状態に満足していたかもしれません。
しかし、この感情の本質は、「自分の持っていないものが欲しい、羨ましい」という気持ちです。
「ジェラシー」は脅威や裏切りとともに出る感情

純粋に言葉の意味に関して説明すると、「ジェラシー」(日本語にするなら「嫉妬」)は、単に自分が持っていないものを欲する以上のことを感じている状態です。
自分の欲しいものを相手が持っていることも多いですが、それ以上に、「脅威」や「裏切り」を感じています。
「ジェラシー」は恋愛や人間関係で起こる感情です。パートナーがいて幸せでも、誰かがパートナーにちょっかいをかけてきたとします。パートナーが、そのちょっかいをかけてきた人を好きになったらどうしよう?
ここで中心となっているのは、自分の立場が脅かされているという感情です。パートナーを失うことになるかもしれない、という気持ちです。
「ジェラシー」はその人の性格が関係している場合も
「ジェラシー」は3人以上でするもの、「エンヴィー」は2人だけでするものと言われることもありますが、それは正確には正しくありません。恋愛ではない人間関係でも、脅威や裏切りを感じることはあります。
たとえば、職場にライバルがいた場合、その人のほうが長く勤めているにも関わらず、あなたのほうが良い仕事をしていたら、その人はあなたが昇進したり、その人がやりたいと思っている仕事を任されたりするのではないかと不安になるかもしれません。
その感情は「ジェラシー(嫉妬)」です。
また、「ジェラシー」は個人の性格の可能性もあるということにも注意してください。その場合、虐待をする危険性もあります。
たとえば、付き合っている彼が、あなたが一緒に出かけている相手をいつも疑い、煩わしいくらい何度も確認し、彼抜きで他人と付き合うことを止めてくるなどしたら、それは良くない状況です。
健全な恋愛をしている人であれば、そこまで不安や独占欲を感じることはありません。
「ジェラシー」と「エンヴィー」の言葉の意味の違いについて話を戻すと、実際には「ジェラシー」と「エンヴィー」を同時に感じることもあります。
「Jolene」という歌の歌詞で、主人公の女性はJoleneが自分の彼を取るんじゃないかと嫉妬していますが、その女性は、Joleneの赤褐色の髪やエメラルドグリーンの瞳を羨ましくも思っています。
「ジェラシー(嫉妬)」は「エンヴィー(羨望)」でもありうる
さらに混乱させるかもしれませんが、羨ましいと思っている対象に、英語で「Jealous of」を使うことがよくあります。
たとえば、誰かが美味しそうな食事をしていたり、素敵な旅行に行っていたり、夜熟睡できていたりすると、「羨ましい(エンヴィー)」という意味で、気軽に「I'm so jealous(すごく羨ましい)」と言ったりします。
これは「ジェラシー(嫉妬)」という言葉の、長年続いている一般的な使用法なので、間違っているというわけではありません。
しかし、この場合は「エンヴィー(羨望)」のほうが、言いたいことをより正確に表している言葉であることは、今回わかっていただけたと思います。
Source: NEW DIRECTIONS, Marriam-Webster