2022年に入り、米国のインフレ懸念などの影響で相場が下がり、合わせて日本の株価も下落傾向にありました。株価が大きく下落した「コロナショック」の時期から投資をはじめた人は、それまでが調子がよかったので、少々慌てたかもしれません。
また、これから投資をはじめようかと検討していた人は、やはり「投資は怖い」「損をするところだった」などとネガティブに捉えてしまったのではないでしょう。
一方で、ある程度投資経験がある人たちは、「チャンスでは?」「安いよね(バーゲン的に)」「少し買い増ししておこうか…」などとプラスに捉えている人も実は多いのです。
長期的には成長をしていくだろう銘柄なのは大前提ですが、将来を見越していく観点でみて、今がチャンスでは? と考えているから。
では、この相場が下がっているなか、初心者はどのように投資をとらえ、はじめるべきでしょうか。今回はそこを考えてみましょう。
初心者は、長い目で見て資産を増やす投資を
結論から言えば、投資信託を長期的に積み立てていく手法であれば、投資をはじめる時期に相場が良いとか悪いとか、気にする必要は一切ありません。
選べるなら、心臓には多少悪いかもしれませんが、はじめ時は相場が悪いほうが良いのです。その分、相場が上がった時に、有利になりますから。
ですから、初心者の方にお伝えしておきたいのは、投資で成功する秘訣は「長い目で見て淡々と取り組む」こと。
投資に必要なマインドは「株価の上下に一喜一憂しない」こと
相場は日々、刻々と変化します。投資のプロであれば、そういった変化にも敏感に対応し、マーケットの歪みを拾っていくのですが、私たちは投資以外の職業を持つ素人。相場の変化1つずつに反応していられません。
これまで全世界や米国、先進国(日本を除く)の代表的な株価指数を振り返ると、暴落した時期が幾度とあるわけですが、数年経つと相場は回復しています。2008年のリーマンショックを覚えている方も多いかと思いますが、この時も株価が暴落しました。
しかし、その後5年ほどで経済は回復しました。2020年のコロナショックも同様です。株価が一時的に強く、もしくは長期的にだらだら下がっても、永遠に下がっていたわけではないのです。
資産を形成させるというゴールに向けては、途中の上がり下がりは当然ありますから、そこで一喜一憂や楽観悲観をすること自体がおかしいと言っても良いでしょう。
もちろんみな人間なので、評価が下がっていると、心は辛いかと思います。ですが、そもそもそれが投資であって、避けられないところ。
だからこそ、これから投資をはじめる人のなかには「株価の動きが気になって仕方がない」という人もいるかもしれませんが、あえて気にしないようにするのも大切です。
私自身、情けないのですが、「相場が悪く、ひどく評価が下がっているときは気絶してよう」って自分に言い聞かせたりしてきました。そんなもんです(笑)。
キーワードは「インデックスファンド」「分散投資」そして「低コスト」

話を、そもそもに戻します。今述べてきたことには、先も少し触れたように前提があります。個別株とか、暗号資産、不動産などで当てはまることではなく、かつ、一般的に取り組んでいける資産形成をしていくには、どんな投資でもよいわけではないと思っています。
「インデックスファンド」の積み立て投資を選ぶ
おすすめするのは、株式指標に連動する値動きを目指した投資信託のコストを意識し、動きもわかりやすい「インデックスファンド」の積立投資です。
投資信託は1つの商品のなかに、数十から数千の銘柄を含んでおり、1つの商品内で、ある程度の分散投資ができています。ですから、比較的投資商品の中ではリスクは低い金融商品です。
株式を複数組み合わせ「分散投資」を選ぶ
さらに、全世界や先進国の企業の株式を対象につくられていたり、債券が集められていたりと、商品特徴がありますから、複数を組み合わせてさらに分散投資をしリスクを抑えることが可能です。
そして、指標に連動するようにつくられているので、その値動きはテレビニュースなどで「日経平均」「S&P500」などと聞くように、簡単に知ることができてわかりやすいメリットがあります。まさに初心者向けなのです。
ネット証券などの「低コスト投資」を選ぶ
初心者は投資額も大きくはないでしょうから、まずは株式中心につくられた投資信託を選択し、さらには全世界を投資対象としているものを選ぶとよいでしょう。あとは米国、先進国、新興国を組み合わせ、リスクを分散させていきましょう。
さらに、「低コスト」も意識すると良いでしょう。ネット証券などは100円から購入することができ、コストの面でも、商品数でも豊富なのでおすすめです。
投資をはじめる前に準備していただきたいこと
こういった投資をはじめる前には、ただやみくもにはじめてはいけません。
まず、貯金があること。万が一の時に生活を守ることができる生活防衛資金と生活やりくり資金として、月の生活費の7.5カ月分~12カ月分ほどが準備できていることが理想です。
もし、貯金が十分ではないという場合は、貯金をつくることを中心としながら、その一部を投資に積み立てていくように、貯金と投資を並走させる方法もよいでしょう。
もちろん、毎月の収支が赤字ではないことも条件の1つです。初めから貯金を投資に回していく計画であればよいのですが、毎月の貯金可能額を投資に回していく場合、収支が赤字の状態では本末転倒となります。
貯金を持っておくことは、生活を守る目的のほか、投資に慣れてきたときに相場が下がる場面に遭遇した場合、積立ではなくスポット的に投資商品を購入する原資にもできますから、現金をある程度貯めておいて損はありません。
投資をはじめるなら、投資だけに偏ってもよくないですし、貯金だけに偏っても効率が悪い。両者をバランスよく持つことが大切なのです。
はじめる環境を整えながら、長い目で見つつ、どっしり構えて投資をはじめる。このように考え、取り組んでいくと、初心者も投資をはじめやすいのではないかと思います。
ぜひ、初めの一歩を踏み出すことを検討してみてください。
横山光昭(よこやま・みつあき)

家計再生コンサルタント、株式会社マイエフピー代表。お金の使い方そのものを改善する独自の家計再生プログラムで、家計の確実な再生をめざし、個別の相談・指導に高い評価を受けている。これまでの相談件数は23,000件を突破。書籍・雑誌への執筆、講演も多数。著書は60万部を超える『はじめての人のための3000円投資生活』や『年収200万円からの貯金生活宣言』を代表作とし、著作は累計330万部となる。
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