かつて、米国の進路指導室の壁や職場のパーティションにはモチベーションを高めるためのポスターが貼られていて、「失敗は選択肢ではない」と書かれていたものです。

このメッセージによって失敗は回避されたかもしれませんが、さらに悪い結果として、後悔がもたらされました。

今では、失敗は選択肢の1つになっています。少なくとも目標達成に向けて挑戦したという意味で、認められるようになったのです。

挑戦しなければ、後悔することは目に見えているから。そして後悔は、死に際に押し寄せるものだから。

とはいえ、人生に後悔はつきものです。後悔などないと言う人は、たぶん嘘をついているのでしょう(そしてそのことを後悔するはずです)。

後悔は喜ばしいことではないかもしれませんが、後悔しながら生きることは可能ですし、そればかりか後悔から学ぶことも可能です。

そのようにするには、いったいどうしたらいいのでしょう。

後悔とともに生きる

臨床心理学者のJohn Amodeo博士によると、「後悔しないために、やるべきことはすべてやるべき」という考え方には、何のメリットもありません。博士は2018年にPsychCentralに掲載された記事に、こう記しています。

後悔してはいけないと考えることは、二重の危険をもたらします。私たちは、後悔を経験することで、なぜそうなったのかを考えます。

後悔がないということは、誰からも注目されてこなかったか、現実から目を背けて生きているいるだけ。誰もが、ときにはヘマをするものです。

後悔を人間にとって平凡な感情の1つととらえるだけでなく、「自己研鑽のチャンス」と考えるといいでしょう。Amodeo博士はこう言います

後悔を、自分自身、他者、あるいは人生そのものへの理解を深めるためのきっかけとして利用するのです。

後悔から学ぶ

まずは、モチベーション向上ポスターや#NoRegretsなどのタグが付いたSNSは無視しましょう。そして、後悔に対する考え方を変えましょう。

後悔は失敗の同義語ではなく、学びのチャンスととらえてください。具体的には、自分の意思決定スキルを磨くチャンスなのだと。

たとえば、想定されるリスクや利益をよく考えもせずにビジネスの意思決定をしたとします。厳密には、幸運に恵まれてすべてが望み通りになる可能性があったかもしれません。

でもこのシナリオでは、それは起こりません。そして彼らは、慌てて決断をしたことを後悔するのです。

こちらの2008年の論文を含む数々の研究で、そのような経験をした人は自身のミスから学び、次の大きな意思決定時には十分な時間と労力をかけるようになる傾向があることが示されています。

言い換えると、私たちは過去の自分の行動や他者の扱いについて後悔の念を抱くと、その後悔を受け入れることができず、同じような行動を二度としなくなるのです。

Image: Shutterstock/Source: John Amodeo, PsychCentral, BBC, ScienceDirect