新しい働き方が浸透する中、「お互いの状況がわからない」といったことはないでしょうか?

そうなると、見えない不安を抱えながら、日々がんばっているメンバーがいても不思議ではありません。特にこれからの時期は、職場などさまざまな場で新しい人間関係を構築するタイミングでもあり、小さな不安の積み重ねが大きなストレスになる恐れも

今回は、ちょっとした工夫で職場の見えない不安を解消し、むしろ変化を利用しながらより強いチームにするヒントを紹介します。

「会話量を減らさないこと」が絶対の条件

出社、リモートワーク、ハイブリッドと、先進的な働き方が定着する一方で、同僚との会話が減っている職場は少なくありません。

ただ、「会話量」は極めて重要です。この問題には、アメリカの心理学者ブルース・W・タックマンが提唱した、チーム発展説「タックマン・モデル(チームの発展段階)」が非常に参考になります。

Image: らしさラボ

まず、着目すべきは第一ステップの「形成期」。新しい年度に入ると、新入社員、異動で別の部署に配属された方は不安を感じる人が少なくないでしょう。この段階では、よそよそしさがあり、それを取り除くことが鍵となります。

解決には、まずお互いが会話をする時間を持つだけでOK。一緒にランチを食べる、ミーティング前の5分間を雑談の機会とする。その程度のことでも十分に効果があります。これはオンラインでも同様です。

一例を紹介しましょう。日立中央研究所が実施した、コールセンターの「もしもしホットライン(現りらいあコミュニケーションズ)」での実験・調査結果です。

昼食をさまざまなメンバー(4名単位)と組み合わせてとるようにしたところ、なんと受注率が13%も上がったと言うのです。これは、風通しが良くなり、いろいろな情報(ナレッジ)がスムーズに広まるようになったからだそう。

この実験も参考にしつつ、ぜひあなたらしい方法で会話量を増やす機会をつくってみてください。

“混乱期”は「会話の質」にこだわること

職場が思った以上に混乱してしまうことや、変化が激しいために不安を感じていたなら、もはや「形成期」ではなく、次の段階「混乱期」にステージに移っています。

このステージに到達すると、会話の量だけでは乗り切れません。ここでは会話の「質」にこだわることが重要になってきます

会話の質とは、「何に喜びを感じる」のか、「不満を感じる」のか、また「どんなことが得意」で、今後は「何をやりたい」のかなど、1人ひとりの「考え方」にお互いが関心を持つことを指します。

そこで、たった1日で「会話の質」を高める方法をご紹介しましょう。

お互いを知るためには、実は1日もしくは半日を使って研修をしてみるのがオススメ。意外と日常の会話では、お互いのことを表面的にしか把握できていないものです。

「今の職場は何点?」

「何があると満点になる?」

「どんなことに取り組むべき?」

そんな会話をすることで、お互いの価値観や思いを理解することができるでしょう。人数によっては、1~2時間でもできるので、ぜひトライしてみてください。

私も研修講師として、この手法をさまざまな企業に提供しているのですが、毎度のことながら、思った以上にお互いのことを知らなかったと驚きの声があがります。

事業のスピードがますます速くなる今、短い時間でお互いのことを深く知る工夫も必要になってきています。

やる気アップに「感謝の総量」を増やす仕掛けづくりを

感謝されると、誰もがやる気が高まるものです。では、感謝される、あるいは感謝を伝える機会を最大化する方法を考えてみてはいかがでしょう。

ここでは、もっと感謝を受け取る機会を増やす方法を紹介します。3つの方向から感謝の気持ちが耳に届くようにしてみてください

1. 上司から

「がんばってくれてありがとう」「助かったよ。ありがとう」などとシンプルに伝えましょう。最低でも、1週間に1回もしくは2週間に1回は伝えるのがオススメです。

2. 同僚から

同僚からの感謝の言葉は、上司のそれとは異なり、チームに受け入れられていることを実感できる効果があります。

この感覚を「組織への適合感」と呼び、チームへのエンゲージメント(絆)を高めると言われています。

普段の会話で感謝を示すことはもちろん、職場で表彰をする方法(チームが選んだベストプレイヤーなど)や、メンバーの誕生日を祝う(感謝を添えて)といった方法もあります。

3. エンドユーザー(お客様)から

エンドユーザーのアンケートで得られた声、ネットでの口コミ、また実際に得たエンドユーザーの声をメンバーに共有しましょう。自分達の自信につながり、行動が強化される効果があります。

エンドユーザーの評価を集める(アンケート、電話など)、エンドユーザーの声をSNSやメールで配信する、コメントをオフィスの壁に掲示するなど、さまざまな伝え方があります。ぜひ検討してみてはいかがでしょうか?

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今回は、「部下・同僚の不安を解消するためにできること」に焦点を当て、その対策を解説しました。

ぜひ、今回のセオリーを取り入れ、改善すべきことがないかを考えてみてください。そして、まだやるべきことがあれば、早速次tの機会に試してみてください。

今回の内容が、チームワーク向上の一助になれば幸いです。

伊庭 正康 株式会社らしさラボ 代表取締役

伊庭 正康 株式会社らしさラボ 代表取締役

リクルートグループ入社。残業レスで営業とマネジャーの両部門で累計40回以上の表彰を受賞。その後、部長、社内ベンチャーの代表を歴任。2011年、株式会社らしさラボ設立。リーダー、営業力、時間管理等、年間200回以上の研修に登壇。リピート率は9割以上。現在は、オンラインを活用した研修も好評。近著に15万部を超える『できるリーダーは、「これ」しかやらない メンバーが自ら動き出す「任せ方」のコツ(PHP研究所)』『できる営業は、「これ」しかやらない(PHP研究所)』のほか、新刊の『結局、「しつこい人」がすべてを手に入れる(アスコム)』をはじめ、他多数の書籍がある。

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