職場で心の知能指数(EQ)を発揮することは、これまで以上に重要になっています。
EQの基本は、自分と他人の感情を把握し、評価し、解釈し、管理する能力です。そしてそこから得た洞察を、ポジティブな行動へとつなげる能力です。
こうした配慮を利かせることで、コミュニケーションや人間関係、仕事の成果、働きがいなど、あらゆることを向上させることができます。
以下では、高いEQを持つリーダーが使うキーフレーズを、いくつかご紹介しましょう。
1. 聞いているよ/言いたいことはわかるよ
相手の話に耳を傾けていると伝えることは、侮れない力を持っています。誰かと話している最中に、ろくに視線を合わせてもらえなかったり、中途半端にうなずかれたりといった経験は、誰でもあるものです。
相手がこちらの目を見て、ひとこと「聞いているよ」と言い、話に集中していることを示してくれることほど、自分を認めてくれている、尊重されていると思えることはありません。
相手が自分の話を聞いているだけでなく、話を受け止め理解してくれていることがわかると、心強く感じられます。
「そうだね」「わかるよ」というフレーズを用いることで、相手の意見や考え、経験がもっともなものだと伝えることができます。
2. くわしく教えて
同じように、コミュニケーションに長けた人は、本当はわからないのにわかっているフリをしたりしません。相手が自分の考えをうまく伝えられなくても、馬鹿にするような態度をとったりもしません。
そうした場面で、EQの高い人は「くわしく教えて」「そこのところをもっと聞きたい」などと促すフレーズを使います。
真剣に話を聞いていることを示しつつ、相手を責めることなく、不明な点をはっきりさせるのです。
3. 君に感謝する(I appreciate you)
「good job(頑張ったね、ご苦労様)」という、よく使われる軽い挨拶だけではなく、もう一歩(または数歩)踏み込んだフレーズを使うと、今後の人間関係がもっと強固になります。
「ありがとう」や「いい感じだね」も悪くはありませんが、appreciateという、その仕事の背後にいる人物を評価する意味をもつ言葉を口にすれば、感謝の念や結びつきをいっそう強調することができます。
「君に感謝する(I appreciate you)」というフレーズを使うことに抵抗がある場合は、「君の仕事はとてもよかったので、ありがたいよ(I appreciate your work on this)」などの、近いフレーズから始めてみましょう。
4. 信頼してるよ
人間は、細かく口出しされたり、質問責めにあったりするときよりも、応援され、信頼されているときのほうが力を発揮できるものです。
「信頼してるよ」というフレーズを使うことで、相手の判断や能力を根本的に信じていることが伝わり、良い結果や士気の向上につながります。
5. あなたの考えは? 私は何か見落としていないかな?
同僚でも上司でも、EQが高い人は、都合の悪い意見を排除したり、フィードバックを無視したりしませんし、自分がほかの誰より物事を知っている、と決めつけたりもしません。
『The Conscious Project Leader』(意識的なプロジェクトリーダー)の中で、著者のColin Ellis氏はこんなことを述べています。
EQが高いリーダーは、いろいろな意見を受け入れる性質を備えています。彼らは常に、ほかの人の考えや見方を話し合いに取り込む機会を探っているのです。
これを実践する方法のひとつは、ほかの人たちからの有意義な貢献を積極的に呼びかけ、認める環境をつくることです。
6. 私の見方は違う
EQを発揮することは、職場で「無駄な揉めごとを起こさない」ことではありません。意見の衝突を敬遠することでもありません。
自分の考えが同僚たちと一致しないとき、沈黙を続けたり(そして、他の人の意見が通ったことをずっと気にしたり)、あるいは、「賛成できない」と切って捨てたり、「お言葉を返すようで恐縮ですが……」と鼻につく言い方で反論を始めたりするのではなく、代わりに「私の見方は違います(I have a different perspective.)」というフレーズを使いましょう。
意見の違いを尊重した議論の扉が開きます。
7. 体調は大丈夫?
チームメイトが期限を守れなかったり、期待した成果を上げられなかったときは、ついイライラしたり、怒ったりしてしまいがちですが、そんなときこそ、相手に共感を示し、心身の状態を気づかってあげるのが、EQの高い職業人の姿勢です。
いつもは頼りになる同僚の仕事ぶりが期待を下回っていたら、がっかりする気持ちはわきにおいて、まずは親身になって様子を尋ねてあげましょう。
8. ごめんなさい
謝ることは、弱さのあらわれなどでは決してありません。
むしろ、高いEQを持つことの紛れもないあかしです。間違いを認め、責任を負い、後悔の念と、改善に向けた意欲を示すことは、生産的な人間関係を構築するための基礎です。
ただし、「ごめんなさい(I’m sorry)」という言葉は、誰かを傷つけたり、辱めたり、信頼を裏切ったりしてしまったときのためにとっておきましょう。遅刻したり、質問があるたびに口にするのはやめましょう。そんなときのフレーズについては次で述べます。
9. 理解して下さってありがたいです(Thanks for (your) understanding)
私たちの多くが、何かにつけて謝りすぎる傾向にあります。
自分の見た目や気分のことで謝るときもありますし、仕方のない事情でまごついたり、遅くなったりしたときも謝りすぎる場合があります。
「I’m sorry(わたしはすまなく思っています/ごめんなさい)」は、あなたと、あなたの感情を中心に据えた言葉です。一方、「Thanks for (your) understanding(理解して下さってありがたいです)」を用いると、フォーカスが自分から相手へと移ります。
今度、子どもを迎えに行くために早退しなければならなかったり、何かの提出が事情で遅くなったりしたときは、「ごめんなさい」の代わりに、「理解して下さってありがたいです」を使ってみましょう。
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Source: Amazon, Verywell Mind