ウィズコロナ時代、仕事内容や気分によって働く時間や場所を自由に選ぶ働き方ABW(Activity Based Working)が新ワークスタイルの新常識として定着しつつあります。

テレワークの普及に伴い、作業環境による生産性の違いを体感した方も多いのでは?

「適度な雑音があるほうが集中できる」「人目のない場所のほうが作業が捗る」など、自分に合った作業環境を知ることは自身のパフォーマンスを最大限発揮することにも直結します。

今回、コクヨが竹中工務店と共同で6万人のオフィスワーカーを対象に調査を実施したところ、ワーカーの性格タイプが5つに分類できることが明らかになりました。

さらに、各タイプは同じ業務を行なう場合でも、オフィスで座席選ぶ際にそれぞれ異なるポイントを重視していることが判明したのだとか。

各タイプでどのような違いがあるのでしょうか? それぞれの特長をチェックしてみましょう。

調査対象: 20才以上の会社員/ 調査期間: 2020年12月15日〜18日/ 聴取内容: 性格特性 6万人、空間選定要件817人 
調査対象: 20才以上の会社員/ 調査期間: 2020年12月15日〜18日/ 聴取内容: 性格特性 6万人、空間選定要件817人 
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1. 周りが見えると安心する「協調タイプ」

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1つ目は他人の様子が見えると安心する「協調タイプ」。環境としては遮るものが少なく、すぐに上司や同僚の様子を伺い知ることができる席だとストレスが少ないようです。

これまでのオフィスでは、お互い顔の見える位置でコミュニケーションをとる機会が多くありましたが、コロナ禍では感染予防として仕切りを設けたり、個室タイプの作業スペースを導入する企業が増えています。

こうした取り組みが、実は協調タイプにネガティブな影響を与えている可能性も。

環境が変えられない場合は、周囲が定期的に声がけをする、オンラインでやり取りをする際には互いの様子が気兼ねなく見渡せるような工夫をする、など意識的な対策が必要になりそうです。

2. おこもりスタイルを好む「職人タイプ」

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協調タイプとは180度異なり、ひとりこもって作業するのが好きなのは「職人タイプ」。パーテーションで囲われ、人目に邪魔されることのない環境を好むそう。

筆者はまさにこのタイプ。PCとネット環境さえあればどこでも仕事ができるのですが、コワーキングスペースやカフェでは周囲の環境が気になり、まったく集中できません。

普段仕事する自宅では極力デスクにものは置かず、音楽やラジオも完全オフ。筆者の経験則ですが、視界から余計なものを排除し、音をシャットダウンすると作業に没入することができます。

3. 周囲との雑談を好む「活発タイプ」

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「活発タイプ」は文字通りほかへの働きかけが多いタイプ。広めのデスクで、通りすがりの人と気軽に雑談できる席を選択する傾向にあるのだとか。

このタイプも協調タイプ同様、密を避けるコロナ禍では孤独やストレスを感じがちな属性かもしれません。リアル・オンラインいずれも雑談の機会は失われがちで、気軽に声をかけ合うことが憚られることもあるでしょう。

ウィズコロナ時代に合わせてオフィス自体をデザインし直す、Slackや社内掲示板で雑談専用のチャンネルをつくる、会議でも雑談に充てる時間を別途確保しておく…など、今後はオープンコミュニケーションを意識的に促進する工夫が必要となりそうです。

▼『グッドカンパニー研究』でも紹介~ウィズコロナに合わせたオフィスリデザイン例

グッドカンパニー研究 Vol.2|次世代オフィスで実験する『コクヨ』が考える2つの視点 | ライフハッカー[日本版]

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4. 全体の状況を把握しておきたい「主導タイプ」

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「主導タイプ」は遮るものが少なく、周囲の雰囲気を感じ、全体の状況を把握できる席を好みます

コクヨマーケティングの調査によると、コロナ禍においてフリーアドレスを導入している企業は増加傾向にあるそう。全社員分の席を用意しておく必要がないため、テレワークとの併用に適しており、同じ部署の人間が全員出社する日でもソーシャルディスタンスを取りやすい、などといった点が評価されているようです。

もし自社がこのような取り組みをしている場合、主導タイプは視野が開けて周りを見渡せるようなスポットを選ぶと、作業が捗りそうです。

5. マルチな環境に対応できる「バランスタイプ」

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最も環境への適応能力が高いのが「バランスタイプ」

ほかのタイプの席に座っても適応力が高く、快適に過ごせる傾向があるそうで、全タイプの中では最も柔軟性が高いと言えるでしょう。

なお、以下は企業が今後オフィスの見直しの方向性として検討中の上位6項目です。

● レイアウトの変更:79.3%(前回調査未実施)

● 専有面積の縮小:35.9%(30.9%)

● コワーキングスペースやレンタルオフィスの契約:25.0%(14.8%)

● 拠点の集約:17.4%(12.3%)

● 規模縮小のための移転:14.1%(4.9%)

● 拠点の分散化:8.7%(14.8%)

(出典元: 『月刊総務』、n=121、かっこ内は昨年調査)

今後オフィスがいかなる形態に変化したとしても、バランスタイプであればマルチに対応できそう。

身近にこのタイプがいたら、あらゆる場所に適応するためのコツを聞いてみるのも1つかも⁉︎

重要なのは「自分に合ったワークスタイル」を理解すること

今回ご紹介した各ワーカータイプと環境選択のポイントは、あくまで1つの指標です。

作業内容によってベストな環境はその時々で異なることもあれば、その日の気分で仕事が捗る場所が変わることも。

重要なのは自分がどういったタイプ(価値観)で、その時々でどのような働き方であれば最大限パフォーマンスを発揮できるのかを、自分で把握しておくことです。

今回の調査とはまた異なる視点で自身の価値観を探ることのできるタイプ分け。年代において志向に関する傾向はあるものの、すべての年代においてこの6分類が一定程度存在しているそう。
今回の調査とはまた異なる視点で自身の価値観を探ることのできるタイプ分け。年代において志向に関する傾向はあるものの、すべての年代においてこの6分類が一定程度存在しているそう。
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自分に合った働き方を知るには、普段さまざまな視点から自身の志向や価値観を探る意識づけをしておくと多角的に自分を捉えるヒントになるかも。

自らをより良く知ることで、理想の作業環境が整わない時でも能動的に対策をとったり、生産性を高める工夫ができそうです。


今後ますます多様化するであろう私たちの働き方。変化を軽やかにとらえながら、自身が心地よくフィットするあり方を探っていきたいですね。

Source: コクヨ(1, 2, 3), 月刊総務