決断力の話になると、何かと「自分の直感を信じろ」と言われがちです。でも、直感が必ずしもあてにならないのも、みなさんは経験からご存知のはず。
このような、直感では決められないケースで大いに役立ちそうなのが、認知行動療法(CBT)の手法です。
この手法では、感情と行動がその人を正しい方向に導いてくれている状況(つまり、直感が全く役に立たない時とは真逆の状況)を把握し、そのような状態へ意識を持って行くようにします。
これにより、より良い決断ができるうえに、自分のくだした結論への満足度も高まります。では、具体的にどう始めたら良いのか、わかりやすい例で説明しましょう。
メンタルノートをつける
「Fast Company」に掲載された記事は、心身の健康の専門家Paula Rizzo氏によるアドバイスを紹介しています。
「自分がくだした決断への感情」と、「決断をくだしたあとの感情」の2つに注意を払うように、というアドバイスです。
あるタスクを実行する前・実行中・終了後に感じていることを書き留め、「メンタルノート」を取るように、Rizzo氏はすすめています。
「中には、どうしても好きになれないタスクもあるかもしれません。心の底から嫌でしかたないのなら、そのタスクを今後はもう二度と引き受けることがないよう、記録しておくべきです」と同氏は解説します。
「反射的に“やります”と答えたくなるかもしれませんが、心の中に不安がわき上がってくるようなら、“できません”と断るほうが身のためです」。
別の例に置き換えてみましょう。
あなたはいろいろな人と交流する会合に招待されていて、出席すべきか、不安を覚えていました。
でも、思い切ってその会合に出てみたところ、とても楽しい思いをした(あるいは、悪くない時間を過ごした)なら、今後の同じような行事に対しては、これまでほど不安を感じなくなるかもしれません。
一方、ぎっしり予定が詰まっている時に、もう1つ用事を頼まれて、不安を感じている場合はどうでしょう?
このケースでは、用事を引き受けた時、そして実際に頼まれたことを実行する時に自分がどう感じるか、その点に注意を向けてみましょう。
すると、今後何かを頼まれた時に、断る機会を増やしたほうが良いのかどうかが見えてくるかもしれません。
こうしたテクニックは、認知行動療法のほかの手法と組み合わせることで、最大の効果を発揮します。
これは特に、あなたがこれまでの人生で培ってきた心のクセや、心の奥底にある信念を改めて自覚し、これらの思考が今の現実に合致しているのかどうかを見極める際に有用です。
ここで参考書としておすすめしたいのが、Seth J. Gillihan氏の著書『Cognitive Behavioral Therapy Made Simple: 10 Strategies for Managing Anxiety, Depression, Anger, Panic, and Worry(認知行動療法入門:不安、うつ、怒り、パニック、心配を収める10の戦略)』です。
日記をつける
もう1つのおすすめは、日記をつけることです。
この日記には、ある状況について、必ず起きると思えること、起きるのではないかと不安なことを書き留めていきます。そのうえで、これらの予想が現実になったかどうかをあとで検証し、その経験から学んだことも記入します。
というわけで、次に「決断をしなければならないけど、ちょっと不安だな」という場面に遭遇した時は、なぜ不安を感じているのか、その理由に目を向けてください。
不安に思うのは、もはや今の現実にそぐわない自分の信念のせいかもしれません。あるいは、未来の出来事に対する過大な不安のせいかもしれません。あるいは、自分の限界や価値観、倫理の枠を超えた決断を迫られているからかもしれません。
もしくは単純に、「絶対やりたい!と思えないなら断るべき」という状況で、絶対やりたい!という気分ではないだけかもしれません。
さらに、決断をくだした後は、その時の自分の感情を意識するとともに、決断した結果が事前の予想通りだったかどうかについても、振り返ってみてください。
こうして事後に検証することで、次に何かを決める時は、より良い決断をより素早く、自信を持ってくだすことができるはずです。
──2019年12月24日の記事を再編集のうえ、再掲しています。
▼ライフハッカー編集部のPodcast配信中!
Image: Shutterstock/Source: Fast Company(1, 2), Think Act Be, Derek Sivers/訳:長谷 睦(ガリレオ)